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模造品対策の新展開
繊維業界における模造品対策の新展開
ネット通販の普及などを受け、高級アパレルの模造品が後を絶たない。こうした課題に取り組む事例として、石川県小松市に拠点を置く中川産業が注目されています。同社は、繊維製品に特化した製造を手がけ、ブランド品メーカーの知的財産保護に一役買っています。
【会社概要】
会社名 : 中川産業株式会社
代表 : 代表取締役 中川 善勝
本社 : 〒923-0824 石川県小松市軽海町ラ19
事業内容: 織ネーム製造業
URL : https://nakagawa-textiles.com/
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日本企業の模倣品による損失
SNSを通じた模倣品の販売が急増しています。2020年、日本企業の模倣品による損失は約3.2兆円で、そのうち衣類が989億円に上ります。模倣品とは、オリジナルの商品を模倣して作られたもので、素人でも見分けがつきますが、偽造品はプロにしか見破れないものです。
偽造品は、ブランド所有者の商標を無断で使用し、消費者をだまして本物と信じ込ませることを目的として作られています。消費者が本物か偽物か見抜けず、誤って購入するケースも少なくありません。企業はさまざまな対策を講じていますが、費用対効果が低く、偽造品による被害は増加の一途をたどっています。
中川産業の取り組み
中川産業は1960年の設立以来、衣料品のブランド名を記したタグ「織ネーム」を製造し、年間の売上高は5億円程度あります。取引先からの模倣品問題に対応すべく、偽造製品識別用の繊維「SHIRUSHI(しるし)」を開発しました。この繊維は幅0.15~0.75ミリメートルの糸にブランド名をプリンターで印刷し、タグに編み込み、正規品か否かをタグで判別できる仕組みです。
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独自技術で模倣品からブランドを守る
独自技術で開発された特殊な偽造防止糸「SHIRUSHI」は、0.15~0.75ミリ幅の繊細な糸にブランド名をプリント可能で、織ネームに織り込まれています。スマートフォンのカメラで拡大すると、本物の織ネームが判別できます。高級ベビー服メーカーやカジュアルアパレルメーカーに導入され、偽物流通への対策として大きな成果を上げています。
低コストで導入可能な偽造防止糸
2010年、愛媛県今治市のタオル組合からの相談を受け、3年の開発期間を経て誕生した「SHIRUSHI」は、低コストで導入可能です。レーザーマーキング技術の20分の1以下の価格で利用でき、アパレルやネームタグ商品に適用可能です。内製化を進め、国内の高品質ブランドメーカーを偽造品や模倣品から守ることを強調しています。
家具・インテリア商品への展開
2024年6月1日からは、家具やインテリア商品にも偽造防止糸サービスを展開する予定です。これにより、より幅広い製品において偽造品対策が可能となります。
成功ポイント
同社の取り組みの成功ポイントは、高価格帯のアパレル用品への導入が進んでいることです。特にベビー用品ブランド「マールマール」などでの導入が顕著であり、これにより偽造品の流通を抑制する効果が期待されています。
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他社での再現性
この取り組みは他のアパレルメーカーや繊維関連企業にも応用可能です。例えば、他社が類似の織ネームやタグを製造している場合、SHIRUSHIの導入によって模造品対策を強化し、ブランド価値を守ることができます。このように、繊維業界全体において模造品対策の新たな展開が期待されます。
織ネーム:衣料品のブランド名を記したタグのことで、製品のブランド価値を示す重要な要素です。
結論
模造品対策は繊維業界における重要な課題であり、中川産業の取り組みはその解決に一石を投じています。また、SHIRUSHIの導入により、模造品対策の新たな展開が可能となり、他社にも示唆を与える事例となっています。
引用: 2024/06/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8ページ
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