思い出のテントうどん

思い出のテントうどん 2009年10月25日08:26 

【N文庫エピソード8】
これは知り合いの女医さんがあるサイトに投稿してた心に響く逸話を本人の了解を得て転載させて頂いてます。

私は中学の頃、学習塾に通っていました。終わりが夜遅くなるので帰りは母の車で迎えに来てもうのために大通りまで出て母の車を待つのが習慣でした。
狭い路地を抜け通りに出た交差点にいつも屋台のうどん屋さんが居るのです。車を上手く利用したテント張りみたいでベンチもあります。
暗いからこの交差点で待っていたのですが美味しそうな臭いに誘惑され不思議なテントで食べたいな~って思ってたのです。
母に食べたいって何度言っても「あぁ~ダメダメ!」って無視られてました。
ある日母の都合が悪く父が迎えに来る事になったのです。
そこで思いついたのです。父ならなんとかなる・・
案の定父を簡単に丸め込んで待望のテントうどんを食べました。
そして味噌煮込みうどんを食べたのです。今思えばあの名古屋の八町味噌味ではなくあわせ味噌で煮込んだ味でした。
寒さに耐えて待っていた身体にしみこむ美味しさでした。
30代の店主は偶然父を知っていて「先生の娘さんですか?○○塾でっか?そうか~ほなあんたもお医者さんになるんかな?ええお医者さんになってや」みたいな事を言ってました。

そして月日は流れ20年近が過ぎました。

知り合いが美味しいおでん屋さんがあるとの事で、大阪市内から少し離れた郊外のお店に連れられて行った時の事です。
20席にカウンターのお店でした。ご主人と奥さんと思える女性にアルバイトの女の子がひとりで席は7割程度の入りだったけど私達はふたりなのでカウンターに座りました。
おでん以外にも麺類、煮物、お造りなどがメニューにありました。
ご主人の顔を見た時に思わす ( ̄-  ̄ ) ん?この人知ってる!って思いました。それはあのテントうどんの店主だったのです。
そうかぁ~あれから頑張りはってお店を持ったんや~って一度しか行かなかった思い出のテントうどんを思い出しました。
そして味噌煮込みうどんを注文してしまいました。
味は洗練され濃い目の味に進化していてその後の成功を裏づけする様でした。
連れは「え・・なんで・・それ?」みたいに言うから経緯を話すと
「うっそ!奇跡やな~それ」って意味も無く感動してました 

あとがき そのおでん屋さんにそのエピソードを話す事は無かったそうです。


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