技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕

平成21年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
選択科目【17-3】地質

Ⅰ次の2問題(Ⅰ-Ⅱ-2)について解答せよ。

Ⅰ-1 次の10項目の中のⅠ-1-1 ~Ⅰ-1-2 から1項目,Ⅰ-1-3 ~Ⅰ-1-10 から2項目,合わせて3項目を選び,それぞれの項目について定義及び内容を解説し,次に,応用理学部門地質科目の技術士の立場から考えるところを述べよ。(項目ごとに答案用紙を替えて解答項目番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2次の8設問の中から1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 粘土鉱物
Ⅰ-1-2 活構造
Ⅰ-1-3 準岩盤強度
Ⅰ-1-4 リムグラウチング
Ⅰ-1-5 地震基盤面
Ⅰ-1-6 河道閉塞
Ⅰ-1-7 地下水の流向・流速
Ⅰ-1-8 地中熱利用
Ⅰ-1-9 速度検層
Ⅰ-1-10 原位置浄化
Ⅰ-2-1 更新世の海成段丘において小土被り(5m以下)の山岳工法でトンネルを設計する場合,設計に必要な情報を挙げ,それを取得するための調査方法について説明せよ。また,このような条件下で施工を行う場合の問題点を2つ挙げ,問題点を解決するための掘削工法,補助工法の選定について述べよ。

Ⅰ-2-2 ダム基礎掘削面の地質と岩級の観察・スケッチを行う際に留意すべき点を3つ挙げ,その理由と望ましい方法についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-3 超軟弱地盤に構造物を計画する場合,圧密沈下の発生が余儀なくされる。このような場所で採用される圧密沈下対策工法について2種類を挙げ,それぞれの工法を説明し,地質条件に応じた適合性について述べよ。

Ⅰ-2-4 大規模な岩盤地すべりをボーリング調査により掘削調査したが,いくつかの深度でコアの乱れがあり地すべり面が特定できなかった。考えられる原因を2つ挙げ,それぞれに対し効果的な調査についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-5 水みち(水脈)が発達する地盤間隙構造を3つ挙げ,水文地質的観点からそれらの特徴について説明せよ。また,そのうちの1つについて地下水開発に際して必要な検討項目と調査の留意点について述べよ。

Ⅰ-2-6 地下の1次エネルギー資源は化石エネルギー資源、原子力資源、及び再生可能な自然エネルギー資源の3つに大別されるが,それぞれの代表的な資源名を挙げ,その特徴と利用上の技術的な課題を述べよ。また,原子力資源の技術的課題については,その対応策についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-7 物理探査を用いたモニタリング技術を1つ挙げ,その目的,手法の概要,技術的課題を述べるとともに,今後の展開についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-8 土壌汚染対策法における不溶化技術について述べるとともに,土壌汚染対策法における位置付けを整理せよ。また,不溶化技術を実施するにあたっての適用条件や留意点について述べよ。

平成22年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅰ-1次の10項目の中のⅠ-1-1 ~Ⅰ-1-2 から1項目Ⅰ-1-3 ~Ⅰ-1-10 から2項目,合わせて3項目を選び,それぞれの項目について定義及び内容を解説し,次に,応用理学部門地質科目の技術士の立場から考えるところを述べよ。(項目ごとに答案用紙を替えて解答項目番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 シーケンス層序
Ⅰ-1-2 ジオパーク
Ⅰ-1-3 地山強度化
Ⅰ-1-4 ダム基盤岩盤の原位置せん断試験
Ⅰ-1-5 広域地盤沈下
Ⅰ-1-6 斜面の動態観測
Ⅰ-1-7 現場透水試験
Ⅰ-1-8 砂岩型ウラン鉱床
Ⅰ-1-9 微動アレイ探査
Ⅰ-1-10 ナチュラルアナログ
Ⅰ-2 次の8設問の中から1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2-1 山岳工法でトンネルを計画する場合に予測される特殊な地山条件を2つ挙げ,それぞれの状況を説明したうえで,その調査方法と調査から得なければならない情報,更にその特殊な地山条件に対して計画時に考慮しておかなければならない補助工法について述べよ。

Ⅰ-2-2 軟岩を成図的に3つに区分し,その地質工学特性を整理するとともに,重力式コンクリートダムの基礎岩盤として課題となる項目及び対応策等を述べよ。

Ⅰ-2-3 土質調査の基本的な原位置試験のひとつである標準貫入試験について,以下の項目について述べよ。

(1)試験方法

(2)N値に影響を及ぼす要因

(3)N値の補正

Ⅰ-2-4 広い範囲にわたって道路・民家などに地すべりによると思われる変形が生じた。地表踏査を行った結果,地すべりブロックの境界は不明瞭であった。数本のボーリング調査を行い,地中変位を測定したところ,深度50mを超える地すべり面が確認された。

このような場合,調査・対策を行ううえで考慮すべき事項を4つ挙げその理由を述べよ。また,考えられる対策工事を3つ挙げ,その留意事項と施工順序に関する留意点について述べよ。

Ⅰ-2-5 花崗岩分布域の水理地質構造モデルを作成するために,水理地質調査の手法を段階的にまとめるとともに,技術的課題及び今後の展開について述べよ。

Ⅰ-2-6 ピークオイル(peak oil)について,その概念と意味するものを説明し,問題点を挙げるとともに,ピークオイル到達時期を遅らせる方法についてあなたの考えを述べよ。

Ⅰ-2-7 反射法地震探査と屈折法地震探査について,データ取得・処理・解析方法を説明し,両者の長所・短所と具体的利用方法について述べよ。

Ⅰ-2-8 記録の照合により,ある工場において数年間にわたり燃料油の補給量が使用量を上回っていたことが明らかになった。これを契機に地下油送配管を点検したところ,配管の損傷が発見され,油が土壌に漏れていることが確認された。また,現地調査の結果,工場敷地内の井戸にも油膜の存在が確認された。

このような場合,油汚染問題の基本的な考え方を述べ,基本的な調査の流れについて4項目以上を挙げて説明せよ。また,対策目標を拡散防止と油含有土壌の浄化とした場合の対策工事を2つずつ挙げ,適用性又は留意点を述べよ。

平成23年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅰ次の2問題(Ⅰ-1,1-2)について解答せよ。

Ⅰ-1 次の10項目の中のⅠ-1-1 ~Ⅰ-1-2 から1項目Ⅰ-1-3 ~Ⅰ-1-10 から2項目,合わせて3項目を選びそれぞれの項目について定義及び内容を解説し,次に応用理学部門地質科目の技術士の立場から考えることを述べよ。(項目ごとに答案用紙を替えて解答項目番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2次の8設問の中から1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 テフラ
Ⅰ-1-2 地質リスク
Ⅰ-1-3 トンネルの偏圧
Ⅰ-1-4 ダムの漏水調査
Ⅰ-1-5 泥炭
Ⅰ-1-6 山体崩壊
Ⅰ-1-7 不飽和浸透流
Ⅰ-1-8 シェールガス
Ⅰ-1-9 地震探査アトリビュート
Ⅰ-1-10 バイオレメディエーション
Ⅰ-2-1 火山山麓に山岳トンネルを計画する場合に予想される問題点を3つ挙げ,それぞれの現象例を示すとともに,調査方法と調査から取得しなければならない情報について説明せよ。また,例示した3つの現象に対して計画時に立案すべき対策法について述べよ。

Ⅰ-2-2 あるダムサイトにおいて「低角度割れ目」が認められた。ダム形式・規模及び,低角度割れ目の分布位置・性状などの地質状況を自ら設定したうえで,その低角度割れ目が存在することによる課題点を整理し,調査方法及び対応方法について応用理学部門地質科目の技術士としての立場から述べよ。

Ⅰ-2-3 平野部の未固結地盤において不整合が存在することによる地質現象が社会生活上の問題となる事例を2つ挙げ,それぞれの課題点を整理し,次にその調査方法及び工学的な対応方法について応用理学部門地質科目の技術士としての立場から述べよ。

Ⅰ-2-4 平野部に隣接する正陵地において,新規に数km2以上の大規模な宅地開発を早急に計画・実施することになった。この計画地内には大規模な切士法面の出現が想定される。

大規模切土法面の変状に関して,①計画時,②調査・設計時,③施工時,④維持管理時のそれぞれの段階において最も考慮すべき事項を挙げ,その理由・対策などについて技術士としての観点から述べよ。

Ⅰ-2-5 地下水や湧水を保全する地域活動の事例を1つ挙げるとともに,この活動を行うに当たって,専門家としてアドバイスを求められた場合,留意すべき課題を3つ挙げ,それぞれの課題に対して解決策を検討するために行うべき調査について述べよ。

Ⅰ-2-6 変動帯にある日本の地熱発電と,欧米の安定陸塊における地熱発電(Hot Dry Rock)との相違を示し,その理由を述べよ。
また,それぞれの地熱発電を実施するに当たっての技術的課題及び今後の展開について技術士としての観点から述べよ。

Ⅰ-2-7 陸域と海域にまたがる沿岸から極浅海における地下地質調査として,物理探査を行う対象となる事象を2つ挙げ,それぞれについて,調査目的,効果的な物理探査手法と,期待される調査成果について記述し,専門の技術士から見た問題点を述べよ。

Ⅰ-2-8 地層処分とは,放射性廃棄物を人工バリアと天然バリアという複数のバリアシステムによって地下に処分することである。これらについて知るところを述べるとともに,技術的課題及び今後の展開について技術士の観点から論ぜよ。

平成24年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅰ次の2問題(Ⅰ-Ⅱ-2)について解答せよ。

Ⅰ-1次の10項目の中のⅠ-1-1 ~Ⅰ-1-2 から1項目Ⅰ-1-3 ~Ⅰ-1-10 から2項目,合わせて3項目を選びそれぞれの項目について定義及び内容を解説し,次に応用理学部門地質科目の技術土の立場から考えることを述べよ。

(項目ごとに答案用紙を替えて解答項目番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1-1 続成作用
Ⅰ-1-2 蛇紋岩
Ⅰ-1-3 特殊地山
Ⅰ-1-4 ダム再開発
Ⅰ-1-5 埋没谷
Ⅰ-1-6 地震地すべり
Ⅰ-1-7 地下水の塩水化
Ⅰ-1-8 酸化還元フロント
Ⅰ-1-9 VSP
Ⅰ-1-10 酸性土壌
Ⅰ-2次の8設問の中から1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2-1 片側1車線の山岳トンネルにおいて,坑口部以外に小士被り区聞がある場合,小士被り区間に関して①計画時(概査を含む),②設計時(詳細調査を含む),③施工時,④施工完了後の各段階での技術的課題とその対応策を述べよ。

Ⅰ-2-2 コンクリート式重力ダムのグラウチングに当たって,問題となる地質事象を1つ挙げ,調査・設計・施工上の留意点を述べよ。

Ⅰ-2-3 下図は,ある海岸平野部の河口付近における既存ボーリング柱状図である。

この図から読み取れる②,④,⑥,⑦各層の支持地盤としての適性について評価し,ここに橋梁構造物の基礎を計画する場合の調査・設計上の着眼点について2つ述べよ。


Ⅰ-2-4 貯水池の湛水に伴う地すべりの調査・対策・管理について概説し,通常の地すべりとの違いについて述べよ。

Ⅰ-2-5 平野にある井戸において地下水位が下がり,揚水で,きる量が減少した。このことについて考えられる代表的な社会的要因のうち,広域的要因を2つ,局所的要因を1つ挙げ,それらの回避・低減策を述べよ。

Ⅰ-2-6 非在来型石油資源を2例挙げ,それぞれ在来型石油資源との相違点を示すとともに,その特徴について説明し,開発に当たっての技術的課題及び今後の展望について技術士としての観点から述べよ。
Keyword:シェールオイル、オイルサンド、合成石油と派生合成石油、石炭液化、液化バイオマス燃料、GTL(液化ガス)

Ⅰ-2-7 地質情報の取得に当たって,地震探査と電気探査を併用することの有用性と技術的課題を説明するとともに,今後の方向性についてあなたの意見を述べよ。

Ⅰ-2-8 近年,社会的要請から地下環境の大規模な利用が,検討あるいは実施されている。それらの主な利用事例について2つ挙げ,内容と地下環境を利用する理由について示すとともに,その技術的課題を技術士の観点から論じよ。

Ⅱ次の2問題(11-Ⅱ-1-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1地すべり対策工のうち抑制工を2例挙げ,それぞれの目的,概要及び適用性について述べよ。

Ⅱ-1-2岩盤の劣化要因としての風化現象を概説し,構造物の基礎岩盤における風化の影響を調査する際の留意点を述べよ。

Ⅱ-1-3地表下数メートルにある空洞を検知するために用いられる地中レーダによる探査手法を概説した上で,その利点と課題について列挙せよ。

Ⅱ-1-4放射性同位体を用いた地下水の年代測定手法の原理を説明した上で,2種類の方法を挙げ,それぞれの特徴について述べよ。

平成25年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅱ-2次の2設問(Ⅱ-2-Ⅱ-Ⅰ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 開発事業に関わる環境への影響を回避・低減するため,様々な項目について調査・評価及び対策が取られている。あなたが地下開発事業の計画・調査段階において環境調査を担当するものとして,以下の問いに答えよ。

(1)開発事業を1つ設定せよ。

(2)環境に影響を与える要因(環境影響要因)と影響を受ける要素(環境要素)をそれぞれ関連づけて複数抽出せよ。

(3)抽出した環境要素のうち,地質に係る要素を1つ選び,その調査及び予測手法を提示せよ。

(4)調査・予測結果を評価する際,予想できる事象と予想できない事象に分けて,その対応上の留意点について述べよ。

Ⅱ-2-2 2地点聞を結ぶ,延長数10kmの社会基盤建設が計画され,あなたがプロジェクトのルート選定に参画することとなった。技術士として,下記の問いに答えよ。

(1)社会基盤の種別を設定せよ。

(2)検討すべき地形・地質の項目を,複数抽出せよ。なお,抽出した項目には,「避けるべき」,「避けることが望まししリ,「通すことが望まししリなど,ルート選定との関わり合いを付記すること。

(3)実施すべき調査項目とルートの選定手順を説明せよ。

(4)特に重要,もしくは注意喚起すべき地形・地質の項目に関する,あなたの考えを述べよ。

Ⅲ次の2問題(Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 IPCC(国連の「気候変動に関する政府間パネル」)の第4次評価報告書(2007年)では,「将来の熱帯低気圧(台風及びハリケ-ン)の強度は増大し,最大風速や降水強度は増大する可能性が高い」との指摘がなされている。そういった状況を考慮して,応用理学部門の技術士として以下の問いに答えよ。

(1)近年の異常気象に伴って発生した自然災害の特徴について,多面的に述べよ。

(2)今後の気候変動によって発現する,想定以上の豪雨災害に対処するために整備すべき,防災・減災施策の現状と課題について述べよ。

(3)その課題の解決に向けて,地質工学的観点からあなたの技術的提案を述べよ。

Ⅲ-2 中央道笹子トンネル事故で,顕在化したように,高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が建設後30~50年を経過し,限られた予算の中でこれらの老朽化による維持管理・更新のあり方が問題となっている。このような状況を考慮し,応用理学部門の技術士として以下の問いに答えよ

(1)これからの社会資本の維持管理・更新の進め方の視点として,社会的な要請のうち3つ以上の項目を抽出し,その内容を概説せよ。

(2)今後の社会資本の維持管理・更新を戦略的に進めていくために,地質工学的観点から取り組むべき技術的課題について述べよ。

(3)(2)で挙げた課題を解決するための技術的提案について具体的に述べよ。

平成26年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅱ次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1構造物の基礎岩盤の岩盤分類について,代表的なものを1つ挙げ,その区分に用いられる指標について説明せよ。

Ⅱ-1-2一般的な構造物において,液状化の検討を決定づける地盤条件について列挙し,液状化の調査・判定手法について説明せよ。

Ⅱ-1-3地盤又は岩盤中の地下水中の溶質の移動に関わる主要な4つの様式のうち2項目以上挙げ,それぞれの特徴について説明せよ。

Ⅱ-1-4以下の地下資源の中から1つを選び,その地質的成因と探鉱法を簡潔に述べよ。

石油・天然ガス(在来型),石炭,地熱,熱水性金属鉱床

Ⅱ-2次の2設問(Ⅱ-2-1 ,Ⅱ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 ある道路の路面に亀裂や段差が生じ,上方斜面にも地すべりの兆候と考えられる変状が認められた。ただし,現状ではこの道路の通行に支障は生じていない。

あなたは道路管理者から,今後の被害拡大の有無の判定を含め,応急調査と応急対策の検討を求められている。当該業務が,この地すべりによる被害の防止と道路の機能の保全・回復を目的とするものであるとして,以下の問いに答えよ。

(1)応急調査で把握すべき項目を2つ以上挙げ,調査方法について述べよ。

(2)応急調査を受けた応急対策の検討の基本的な手順と留意点を概説せよ。

(3)応急対策の工法を1つ挙げ,その工法の利点及び採用に当たっての留意点について述べよ。

Ⅱ-2-2 地下を対象とした土木事業や開発事業において事前の地質調査は,立地条件や設計条件,開発条件などを明らかにするために実施されるが,地質調査の手法や数量には制約があるため,調査結果には地質的要因による不確実性がつきまう。
事業実施段階(施工段階)において,それらの不確実性に起因する事業コスト増加あるいは採算性の低下が懸念される事象が発生した際の対応について,以下の問いに答えよ。

(1)対象とする事業を1つ設定し,事業実施段階においてコスト増加に繋がる地質的要因を3つ挙げよ。

(2)(1)で挙げた要因のうち1つを選び,コストを最小化するための対応手順を述べよ。

(3)対応に当たって留意すべき点について述べよ。

Ⅲ次の2問題(Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 平成13年から施行されている「大深度地下の公共使用に関する特別処置法」は,公共の利益となる事業に対して大深度地下の利用を容易にし,従来停滞しがちであった大都市圏における都市機能の整備を促進するものである。これに基づいて,既に深度40~100m程度の大深度地下の開発・利用が始まっている。

今後は多様な事業が計画されていくものとみられる。

都市の現況と法の趣旨及び地下地質の特性を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)大深度地下を利用することが有効な都市の社会基盤を,3種類以上挙げよ。それには,各々の事業が要請される背景ないしは理由を簡潔に付記せよ。

(2)大深度地下を利用する社会基盤を計画する際に,検討すべき地盤・環境に関わる課題を大深度地下の特性若しくは周辺環境との関連の説明を添えて3項目列記せよ。

(3)上記のうち,あなたが関心を持つ若しくは重要と考える課題を1つ挙げ,対処するための技術提案と効果を示せ。なお,技術提案には実現する上での問題点・リスクを含めて記述せよ。

Ⅲ-2 地質技術者は,これまで社会基盤等の建設,資源開発,農地開発,防災対策等の事業において,他分野の技術者や専門家と協働しつつプロジェクト推進をはかつてきた。社会情勢の変化や技術の進歩に伴い,今後地質技術者の活躍する領域はさらに広がっていくものと考えられる。

このような情勢を踏まえ,地質技術者と他分野の技術者や専門家との協働プロジェクトについて,以下の問いに答えよ。

(1)協働プロジェクトを1つ設定し,地質分野と他分野の構成を示した上で,各々の分野の技術者や専門家が担う役割について記述せよ。

(2)他分野の技術者や専門家との協働プロジェクトにおいて,あなたが特に重要と考える課題を2つ挙げ,その理由を述べよ。

(3)上記の2つの課題について,解決するためのあなたの提案を課題ごとに述べよ。その際,あなたの提案がもたらす可能性のある負の効果についても触れ,これを最小にするための方法も記述すること。

平成27年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅱ次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 地すべり対策工のうち,抑止工を2例挙げ,工法の概要,その工法の地形地質的観点からの適用性と計画設計上の留意点について説明せよ。

Ⅱ-1-2 沖積低地に地上10階,地下1階の建築物を施工する際に,問題になりうる地盤の現象を2つ以上挙げ,その概要を説明せよ。また,それらの現象から1つを選び,問題を検討する際に必要となる,地盤の状態や物性等の情報と,その調査法について説明せよ。

Ⅱ-1-3 飽和した自然地盤を対象として,ボーリング孔又は井戸を利用して行われる透水試験方法を1つ挙げ,その名称,試験方法の概要,対象地盤,推定可能なパラメ-タとその算定方法について答えよ。

Ⅱ-1-4屈折法地震探査(弾性波探査),反射法地震探査,比抵抗法電気探査,MT法電磁探査,CSAMT法電磁探査の中から1つを選び,その概要(方法と結果)と探査結果の資源探査ないし土木調査での利用法について述べよ。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1 ,Ⅱ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 近年,トンネル工事や地下鉄工事により発生する掘削残土に含有される自然由来の重金属等が問題となることが多い。掘削を伴う建設事業に計画段階から維持管理段階まで携わる地質技術者として,以下の問いに答えよ。

(1)自然由来の枇素が地層中に含まれる理由を述べ,枇素が掘削残土等から溶出する原因を説明せよ。

(2)自然由来の枇素の存在が判明している建設事業において,枇素への対応に関する基本的な考え方について護数説明せよ。

(3)掘削を伴う建設事業において,自然由来の重金属等に対する各事業段階の調査内容と留意点について複数説明せよ。

Ⅱ-2-2 資源開発事業などの操業中若しくは操業後,土木構造物・訪災施設・廃棄物処分場の施工後において,地下に生じている現象や地下の構造物の状態を把握するためのモニタリング(ここでは事象の経時的変化に関する計器による監視)が行われることがある。

将来は,技術の進歩や老朽化した構造物の増加に伴い,多様なモニタリングが行われると考えられるモニタリングを計匝・実施する立場から以下の問いに答えよ。

(1)既に実用化されているモニタリング、若しくは将来行われると考えられるモニタリングの事例を設定し,事業や構造物の種別,対象とする現象,目的などを説明せよ。

(2)上記のモニタリングの具体的な手法(今後,実用化の可能性のあるものを含む。)を複数挙げよ。ただし,手法が1つに限定される場合は,その理由を付記せよ。

(3)(2)で,挙げた手法の内から1つ選び,その測定原理を記述せよ。

(4)モニタリングに含まれる問題点と,それに対するあなたの考えを述べよ。

Ⅲ 次の2問題Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 我が国の国土は様々な特性を有しており,これまでも数多くの自然災害が繰り返し発生し,多大な被害が生じている。この要因として,国土の脆弱性が指摘されている。その国土の脆弱性について,次の項目毎に,地質技術者としての意見を述べよ。

(1)「国土の脆弱性」をもたらす自然的要因を3つ以上挙げて概説せよ。

(2)「国土の脆弱性」によって発生する災害を2つ以上挙げて,その内容を説明せよ。

(3)(2)で挙げた災害のうち1つについて,行政,民間企業,個人いずれかに対する防災や減災に結び付くあなたの提案と理由を記述し,実施可能で,かつ効果的な対策とするための検討の進め方,実施上の問題点,期待される効果を説明せよ。

Ⅲ-2 東北地方太平洋沖地震による東日本大震災を契機に,再生可能エネルギーの利用が注目されている。地質技術者として開発事業に係る立場で,以下の問いに答えよ。

(1)再生可能エネルギーの必要性を化石エネルギー並びに原子力エネルギーと比較ながら説明し,再生可能エネルギーを2つ取り上げ,それぞれの原理と利点について説明せよ。

(2)(1)で取り上げたうちの1つについて技術的課題を述べ,あなたの考える課題の解決方法を説明せよ。

(3)(2)で取り上げた再生可能エネルギーについて,社会や環境への問題点を述べるとともに,それらの問題を解決するためのあなたの提案を述べよ。

なお,その提案を実現する上での解決すべき問題点・リスクを含めて記述すること。

平成28年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅱ次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ原稿用紙1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 重力式コンクリートダムの基礎掘削面のスケッチを行う目的について,3つ以上挙げよ。また,基礎掘削面の岩盤を観察,評価する際に特に着目すべき点,留意すべき点について述べよ。

Ⅱ-1-2 新第三紀の軟岩が分布する地域において,切土や掘削を伴う建設工事を行う際に配慮すべき地山崩壊の素因を2つ以上挙げ,それぞれについて素悶となる理由を説明し,そのうち1つに対する適切な調査方法並びに調査する際の留意点を述べよ。

Ⅱ-1-3 以下に示す地下水の流動状況を把握する調査のうち(1)の中から1つ,(2)の中から1つを選び,その具体的方法と調査から得られる結果を記述せよ。

さらに,そのいずれかについて,測定に当たっての問題点あるいは技術的課題を記述せよ。

(1)主に局所的な地下水流動を把握する調査

・トレーサー試験(単項式を除く。)

・孔内微流速測定

(2)主に広域的な地下水流動を把握する調査

・水質又は同位体分析による地下水流動調査

・地下水ポテンシヤルから地下水流動を判定する手法

Ⅱ-1-4シェールオイル・シェールガスについて,その定義を述べよ。また,いわゆる「シェール革命」を可能にした複数の技術的要関,及び開発に際しての技術的課題を述べよ。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1 ,Ⅱ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 地盤・岩盤の調査においては,土木・資源分野に関わらず弾性波探査がしばしば行われる。その際,周辺の地盤・岩盤より弾性波速度が遅い「低速度層」が出現する場合があり,その評価は調査や工事を進めるに当たって重要なポイントになることが多い。

ある調査対象域において事前に地表から弾性波探査を行ったところ,対象域内に低速度層が分布することが判った。この低速度層に関し,追加調査計闘を立案し,実施する業務の担当責任者として以下の問いに答えよ。

(1)低速度層の原田となる地質現象を2つ以上挙げ,内容について説明せよ。

(2)上述の地質現象が低速度層の原因と想定した際に,調査や工事を継続するに当たって懸念されるリスクを2つ以上挙げ,その内容について説明せよ。

(3)想定した地震現象の確からしさと,懸念されるリスクの程度をより詳細に評価するために追加調査を行うこととなった。その調査の手順を示し,内容について説明せよ。

また,各調査を進める際に留意すべき点について述べよ。

Ⅱ-2-2 1900年初頭から1965年頃まで,沖積平野においては大量の地下水を揚水したことで地盤沈下が発生し,大きな社会問題となった。これを受け,国や関係自治体では地下水揚水規制を実施したため,現在では多くの筒所で低下していた地下水位が上昇していることが確認されている。

一方で,地下水位が上昇することで地盤や構造物に新たな障害が発生している。この現象を踏まえ,以下の問いに解答せよ。

(1)地下水の大量揚水が地盤沈下の要因となったメカニズムを説明せよ。

(2)地下水位上昇が引き起こすと考えられる障害を3つ挙げ,内容を説明せよ。

(3)地下水位上昇が継続している地域で,新たに地下水利用あるいは地下空間開発等を計画するに当たって,実施すべき調査・検討の手順と留意点を述べよ。

Ⅲ次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2 )のうちⅠ問題を選び解答せよ。(解答問題帯号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 近年,社会の地質・地盤に関する知識やリスク評価に関する理解が不足したまま,先入観や漠然とした不安感にとらわれた議論のみが先行していることによって社会的に問題化している事象がある。

このような事象に対しては,技術的課題の解決のみならず,それをわかりやすく説明する上での課題の解決に向けた取組が必要である。これを踏まえ,このような社会問題化した事象のうち,あなたがその解決,又は軽減に取り組めると思うものを1つ想定し,以下の問いに答えよ。

(1)あなたが想定した社会問題化した事象に関して,その内容と複数の技術的課題について概要を述べよ。

(2)上記(1)で挙げた課題のうち,あなたが最も重要と考えるものを1つ挙げてその内容を詳述し,それを解決するための技術提案を述べよ。また,その技術提案の効果やメリット,デメリット,及びデメリットに対する対応策も述べよ。

(3)上記で示した技術提案の内容を,効果やメリット,デメリットを含めて社会にわかりやすく説明することについて,課題とその対応策を述べよ。

Ⅲ-2 高レベル放射性廃棄物の地層処分とは,数万年以上の長期間にわたり,人間とその生活環境に放射性廃棄物の影響が及ばないよう,高レベル放射性廃棄物を人工バリアと天然バリアという複数のバリアシステムによって地下深くに処分する方法である。

最近,日本では,地層処分を行う場所として,科学的により適性の高いと考えられる地域に関する検討が進められ,その要件・基準に関する中間整理の結果が公表されるなど,高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けたプロセスの見直しが進んでいる。

以下の問いについて,地質技術者としてあなたの考えを述べよ。

(1)地層処分について技術的な利点と課題を概説せよ。また,技術的課題について,地層処分の長期的な安全性に影響を与える具体的なリスクを詳述せよ。

(2)(1)で示した内容を解決するための技術的提案と,その提案に合まれる不確かさを述べよ。

(3)技術・社会の両面から,地震処分についてのあなたの考えと,あなたが必要だと考える今後の展開を述べよ。

平成29年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
17-3地質【選択科目Ⅱ】

Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1トンネルがおかれている地山条件には,断層破砕帯や摺曲に伴う擾乱帯など,特殊なものがある。トンネルに対して特殊な地山条件を上記の2つを除いて2つ以上挙げよ。また,そのうちの1つについて内容を説明するとともに,その地山条件が原因となって発生する問題と,その地山の調査において取得すべき情報について説明せよ。

Ⅱ-1-2ダム建設時における貯水池周辺地すべり調査のうち,概査の手順を説明せよ。

また,概査における留意点を複数挙げ,それらについて説明せよ。

Ⅱ-1-3 近年,再生可能エネルギーとして注目されている地中熱利用の仕組みを簡潔に説明せよ。また,代表的な採熱方法であるクローズドタイプとオープンタイプについて説明するとともに,それぞれの利用に当たっての留意点を説明せよ。

Ⅱ-1-4地下を対象とした物理探査を用いたモニタリング技術を1つ挙げ,その目的と手法の概要及び技術的課題について述べよ。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1 ,Ⅱ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 日本列島は,4枚のプレ-トが会合する場所に位置するため,地形・地質が他の国々と比較するときわめて複雑である。このため,土木工事や建築工事などの事業を行うと予期しない地質事象に遭遇し,工事費の増大や工期の延長などのリスクが発生することがある。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)工事の施工段階でリスクが発生する原因を複数挙げ,それらについて説明せよ。ただし,予算や工期などの制約による単なる調査不足に関するものは除く。

(2)地質事象に起因するリスクの程度を評価する方法をリスクマネジメントの観点から述べよ。

(3)地質技術者が事業推進の一員として携わる際に,リスクを回避するために留意すべき事項について述べよ。

Ⅱ-2-2 あなたが現場管理を行っている地質調査のボーリングにおいて,コアが乱れた礫状部として採取された区聞が発生した。この地質調査では,当該区間の地山評価が非常に重要な調査目的となっていた。このような状況を想定し,以下の問いに答えよ。

(1)コアが乱れた礫状部として採取された原因について,想定されるものを複数述べよ。

(2)調査目的を達成するために,以後とるべき対応の手順について,留意点を含めて提案せよ。

Ⅲ 次の2問題Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 近年のICT(Information and Communication Technology:情報・通信技術)の急速な進歩により,社会資本整備においてもICTの適用が広がりつつある。例えば,総務省の平成26年版情報通信白書では,ICTの活用が利益増加につながった企業数がまとめられており,建設業は,1位製造業,2位サ-ビス業に次いで3位となっている。ICTは今後も社会資本整備における重要な技術として利活用されていくであろう。

このような状況の中,あなた自身のこれまでの業務経験も踏まえ,以下の問いに答えよ。なお,解答の目安は(1)及び(2)で2枚程度,(3)で1枚程度とする。

(1)社会資本整備においてICTの適用が想定される事例を複数挙げ,その内容について説明せよ。

(2)上述したICTの適用に対して,最も重要な課題と考えるものを1つ挙げ,その理由を述べると共に,それを解決する技術的提案について論述せよ。

(3)あなたの技術的提案がもたらす効果や更なる発展性と,そこに潜むリスクについて説明せよ。

Ⅲ-2 科学に問うことはできるが,不確実性や科学以外の価値判断を含み,科学者(専門家)が科学的知識だけでは答えられない問題は「トランスサイエンス問題」と呼ばれる。

核物理学者のアルヴィン・ワインパーグにより1972年に提唱されたこの概念では,問題について

「専門家が答えを出せること」

「専門家が確かな結論を出せないこと」

「科学技術以外の価値判断が関与するので専門的知識では答えが出せないこと」

の3段階に分けて考えることの重要性が示唆されている。近年,技術者には専門的知識のみでなくトランス

サイエンス問題を意識した課題解決能力が必要になりつつある。以上を踏まえて,以下の問いに答えよ。なお,解答の目安は,(1)及び(2)で2枚程度,(3)で1枚程度とする。

(1)現代社会において,あなたがトランスサイエンス問題として考えるものは何か,上記の概念とあなたの経験又は知見を踏まえて概説せよ。なお,以下の事例から選択してもよい。

例)地球温暖化,土壌汚染,地震対策

(2)(1)で挙げたトランスサイエンス問題に取り組む上で,特に重要と考えられる事項を複数挙げ,それらに対する具体的方策について述べよ。

(3)トランスサイエンス問題に取り組むに当たり,技術者と公衆の視点の違いを念頭において,技術者に求められる視点を複数挙げ,あなたの考えを述べよ。

平成30年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
Ⅱ次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち2設問を選び解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し,それぞれ1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 軟岩とは,硬い岩石からなる岩盤(硬岩)と土質地盤の中間的領域に位置するもので,特有の工学的性質を持つ岩盤である。我が国における軟岩を岩種や成因に基づいて3つに分類し,それぞれの特徴について述べよ。

次に,軟岩の室内試験を行うに当たっての6つの事項(①試料,の採取,②試料の保存,③試料の運搬,④供試体の作製,⑤供試体の調整,⑥試験前の供試体観察)から2つを選択し,それぞれの留意点について説明せよ。

Ⅱ-1-2地すべりにおけるすべり面の判定は,ボーリング調査と計概機器による動態観測等の結果を用いて総合的に行われる。すべり面の動態観測手法について,以下の問いに答えよ。

(1)すべり面の位置(深度)を把握するための,ボーリング孔を利用した計測機器による異なる原理の動態観測手法を3つ挙げよ。

(2)上記で挙げた手法の中から1つを選び,①原理・特徴,②適用の際の留意点,についてそれぞれ述べよ。

Ⅱ-1-3地下水環境の保全を検討する上で,地下水の流向・流速の把握が必要となる場合がある。地下水の流向・流速を把握する調査について以下の問いに答えよ。

(1)調査範囲を明記し,現地での調査手法を説明せよ。

(2)上記で,挙げた調査手法について,調査を実施する上で留意すべきことを2つ挙げて説明せよ。

Ⅱ-1-4施工段階の山岳トンネルにおいて坑内で実施する切羽前方探査手法について以下の問いに答えよ。

(1)切羽前方の60mからl00mの間にある断層破砕帯の位置を調査することが可能な切羽前方探査手法を2つ挙げ,調査精度と施工性を比較せよ。

(2)上記で挙げた手法の中から1つ選び具体的方法と留意点を述べよ。

Ⅲ次の2問題(Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 道路,鉄道等の社会資本の整備や,大規模建築物等の立地などの地下空間の利活用に関しては,地質や地下水等の状況を詳らかに把握することが不可欠で,そのための手段の1つとして,ボーリング柱状図,N値,土質試験結果,物理探査データ等の地盤情報等の集積と利活用が重要である。このような状況を考慮し,以下の問いに答えよ。なお,解

答の目安は,(1)で1枚程度,(2)及び(3)で2枚程度とする。

(1)地盤情報等を集積と利活用するために,地質調査に携わる技術者として検討すべき課題を多様な視点から挙げ,その理由を述べよ。

(2)上述した検討すべき課題から1つを選択し,それを解決するための技術的提案を示せ。

(3)あなたの技術的提案を実施した場合の国民生活への効果と弊害について論述せよ。

Ⅲ-2 近年,人口減少や急速に進む技術革新に伴い,技術者間での専門的知識,技術の継承が益々重要になりつつある。技術者が継承すべき知識には,専門的事項に限らず失敗を繰り返さないための様々な知恵や方法も含まれる。

このような失敗事例のナレッジマネジメントでは,その原閣や対策等に関わる暗黙知を表出し,継承していくことが必須となる。

これらを踏まえて,以下の問いに答えよ。なお,解答の目安は(1)で1枚,(2)及び(3)で2枚程度とする。

(1)あなたが継承すべきと考える地質分野での失敗事例を1つ挙げ,その事例を挙げた「理由」「失敗の内容」「原因」,「潜在的な背景」,及びそれらの「知識化*」について説明せよ。

(2)一般的に失敗事例のナレッジマネジメントにおいては,知識化された知見が活かされていない例も多い。なぜそのようなことが起こるのか,多様な観点から理由を述べよ。

(3)(2)を踏まえた上で,「知識化」された知見を後進の技術者が継続的に活用するための具体的方策について,それぞれ述べよ。

*ここでいう知識化とは,失敗事例を分析して同様の失敗を繰り返さないための教訓,知識を抽出し,他者が活用できるよう一般化することをいう。

Ⅱ-2-1 自然斜面の崩壊による斜面災害が頻発している。このような崩壊による災害は災害発生前にその発生笛所を把握することが重要である。今回,崩壊箇所を事前把握する調査業務を行うこととなった。あなたが責任者としてこの業務を進めるに当たり,以下の問いに答えよ。

(1)崩壊はすべり面の深度によって表層崩壊と岩盤崩壊(深層崩壊)とに分類することができる。それぞれの崩壊について,発生場と発生機構の特徴を述べよ。

(2)(1)で述べた崩壊のうち,いずれかの崩壊について,その特徴を踏まえた上で調査手順と調査内容を述べよ。

(3)(2)の調査を実施する上での留意点を複数述べよ。

Ⅱ-2-2近年,地形や地質情報等を電子データで表現した3次元地質モデルが事業に利用されるケースが増えつつある。以下の問いに答えよ。

(1)3次元地質モデルを利活用する実例を1つ挙げ,利活用の目的を述べ,併せてメリットを援数挙げよ。

(2)(1)の3次元地質モデルを構築する具体的な手順について述べよ。

(3)(2)で構築した3次元地質モデルを利用する上で,の留意点について複数述べよ。

令和元年度技術士第二次試験問題〔応用理学部門〕
17-3地質[選択科目Ⅰ]

Ⅱ次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1岩盤の粘着力とせん断抵抗角を得られる,原位置試験若しくは室内力学試験の方法を1つ挙げ,具体的な試験方法と留意点を述べよ。

Ⅱ-1-2沖積低地において河川の氾離によって形成される微地形を複数挙げ,このうち液状化リスクの大きなものについて,地盤条件を説明せよ。さらに,そのリスクのある地域で開発事業を計画する上で必要な地形調査・地質調査について述べよ。

Ⅱ-1-3調査対象地の地歴調査を行ったところ有害物質の使用履歴が判明し,地下水が汚染されている司能性が想定された。次の2項目に関わる留意点についてそれぞれ複数述べよ。

①地下水調査のためのボーリング孔掘削

②当該孔を利用したそニタリング用観測井の設置

Ⅱ-1-4帯水層や袖ガス枯渇腐を利用した二酸化炭素地中貯留(CCS)の貯留地点を選定する際に考慮すべき地質・環境条件を複数挙げ,それらを評価するための技術的課題について述べよ。

Ⅱ-2次の2設問(Ⅱ-2-1 ,Ⅱ-2-2 )のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 計画段階の土木構造物の近傍に,ある文献で活断層の可能性がある断層が示されていることが判明した。この断層はその土木構造物位置までは達していないものの、土木構造物へ至る方向である。あなたが,この文献で示された断層に対する調査検討業務の担当者として業務を進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)対象となる土木構造物を任意に設定し,この断層に対する調査において明らかにすべき事項を述べよ。

(2)この断層に対する調査,検討を進める手順について,留意すべき点,工夫すべき点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

Ⅱ-2-2 山岳トンネル工事の施工の第一段階として,坑口付けのための斜面の切土を開始したところ,想定されていた崖錐層より層厚が厚く風化変質を受け一部土砂化した乱雑な堆積物と.その下位に層厚5cmの緩い傾斜の粘土層が出現した。この地山の性状より,坑口付近の斜面に古い時代の地すべりが推定された。

このため,切土作業を中止し埋め戻した上で、地すペり対策工について調査・検討をすることとなった。このような場合の対応に関して,下記の内容について記述せよ。

(1)トンネル坑口が計画されている斜面に関して,現状で早急に行う必要がある調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)トンネル施工を前提とした地すべり対策工の検討業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

Ⅲ次の2問題(Ⅲ-1 ,Ⅲ-2 )のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅲ-1 我が国は,科学技術によって未来を拓くべく「科学技術創造立国」の実現を目指している。今後も「世界で最もイノベ-ションに適した国」の実現に向けて,持続的な成長と地域社会の自律的な発展,国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現,地球規模課題への対応と世界の発展への貢献,さらには知の資産の持続的創出を目指していくために,科学技術がより一層重要となる。

国及び国民の安全・安心を確保し,豊かで質の高い生活を実現するためには,防災・減災や国土強靭化等に向けた取組を進めていくことが重要である。

上記のような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。なお。解答の目安は,(1)で1枚程度,(2)及び(3)で2枚程度とする。

(1)防災・減災や国土強靭化等,自然災害への対応が求められる背景を分析せよ。さらに,技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ抽出せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する解決策を3つ示せ。

(3)解決策に対して新たに生じうるリスクと,それへの対策について述べよ。

Ⅲ-2 経済産業省が平成30年に発表したエネルギー白書やエネルギー基本計画によれば,国内で,は2030年エネルギーミックス実現へ向け(下図),エネルギ一政策の基本的視点(3E+S*)に立って,下表の施策ごとの課題にそれぞれ対応していくことが重要とされている。これらの資料をもとに,以下の問いに答えよ。

*) 3E+S:安定供給(Energy Security)
  経済性(Economic Efficiency)
  環境(Environment)
安全性(Safety)のそれぞれに関する政策目標


図2030年エネルギーミックス実現に向けた電源構成(エネルギー白書より)
表2030年エネルギーミックス実現に向けた主な施策(エネルギー基本計画より)

 ・再生可能エネルギー
 ・原子力
 ・化石燃料
 ・省エネ
 ・水素/蓄電/分散型エネルギーの推進   
(1)エネルギーミックス実現に向けた施策ごとの課題を1つずつ抽出し,簡略に説明せよ。
(2)抽出した課題のうち1つを選び,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)の解決策のうち1つを選び,その解決策に対して新たに生じうるリスクとその対策について述べよ。


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