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シュールストレミングを食べてみた話

きっかけは友人の一言だった。
「一緒にシュールストレミング食べない?」
わ〜い、人生で一回はやってみたい世界一臭い食べ物のコト消費!

という訳でコト消費バカ(コト消費と聞けば何でもやりたくなる人)の我々は、人里離れた某所にてシュールストレミングの開封を行うことになった。

ちなみにどこでそんなもん売ってるの、に対してはAmazonや楽天というめちゃくちゃ簡単な答えがある。一缶5000円前後、翌日配送で調達可能なので大人の遊びには丁度良いね!


開封レポ前に、覚えておいてほしい下準備をご紹介する。

まず最も大事なポイント、シュールストレミングは発酵が進みすぎているため、常温保管すると中身が消えてなくなるそう(場合によっては爆発する)。従って、開封前及び開封場所への移動中も必ず冷蔵状態にて保管しないといけない。
理由は後述するが、爆発や中身の消失まで行かなくとも、きちんと冷蔵保管するかどうかで食べる時の難易度が大きく変わる。

開封時の持ち物に関しては、

・缶切り
・ビニール袋(出来れば透明の高密度ポリエチレン袋、あればあるだけ困らない)
・ゴム手袋(開封及び盛り付け用)
・バケツ(水中開封しない場合には不要)
・ウォッカもしくはコーヒー
・捨てても良い服
・紙皿
・チャッカマン
・ビニール手袋×人数分(掴んで口に運ぶ用)
・キッチンペーパー
・お口直しのお菓子など
・マスクの替え

くらいかな。多いよ!

とにかく持参したあらゆるものに臭いがつくことは覚悟した方が良い。
缶の状態によっては洗えば落ちる程度の臭気ではあるが、そもそも洗ってまでまた着用したい服・鞄などは身につけないようにしましょう。

さて、満を持しての開封である。

開封方法としては

①何重かに重ねたビニール袋の中で開封
②バケツ等の中で水に沈めた状態で開封

の二通りがあるらしい。
本体よりも汁が劇物という情報があらゆるソースから出てくるため、汁の飛び散りリスクを避けるため水に沈めて缶切りで切っていくことにした。

ゴム手袋を付けつつ、缶切りで少しずつ上部を切り崩していく。缶を1/3ほど開けた辺りでポコっと少しだけガスが出てきた。なるほど、溶け出す汁の量が増えるにつれて変な臭いはするが、叫び出すほどではない。一周ぐるっと切り目をつけてようやく……ご開陳!

思ったより全然魚の形をしている。
というかあらゆる動画やブログで見たものよりも状態が良さそう?
ブログ等で見かける中身はもっとピンクがかっており、魚の輪郭がどろどろしている印象だが、我々の缶はしっかり切り身の形を保っている。

出来る限り水気を切って、クラッカーの上に載せる。
(本当はパンの方が良いらしいが、生憎開封前に寄ったコンビニでパンは売り切れだったのでクラッカーで代用。)
臭み消しのための生玉ねぎとカマンベールチーズを載せる。
これも本当はサワークリームを載せると良いらしい。ただチーズでも役割は十分に果たしてくれると思う。

という訳で、シュールストレミングのオープンサンド完成〜〜!

わーすごい、見た目はちゃんとしたオシャレごはんっぽい!


引きで写真を撮ってみる。

絵面が食品開封のそれではない。

何はともあれいただきま〜す!
まずは顔に近づけて臭いを嗅いでみる。
YouTuberがよく言っているような下水っぽい臭いは全くせず、拍子抜けする。
まあこれを食す地域はあるだろうな、と思える程度の食品として認識可能な臭い。
少なくとも、普段納豆やくさやを食品として扱っている我々が、食えるだの食えないだのを臭いだけでとやかく言って良い食べ物ではなさそうだ。
一口齧る。

…………急に思い出したけどね!!!私は臭いの強い食べ物が無理な人間だったよ!!!!
一口で鼻腔が拒否反応を示してこれ以上先に進めない。なるべく咀嚼しないようにウォッカで流し込む。
一日炎天下に放置して捌いた生魚を食わされているような臭い。
口の中に入れた食品の匂いを感じ取れるタイプの人間にはちょっと厳しい。

そんな感じで一口でギブアップした私の感想は参考にならないので、同行者3人の感想(意訳)を以下に記載する。

同行者①「生玉ねぎをしこたま積んでウォッカで流し込めば食えないことはない。どちらかと言うと塩辛さのが身体に堪える。2枚くらい食べると、身体が『それ以上塩分を摂るな』という警告めいた拒否反応を示す」
同行者②「大量の生玉ねぎとチーズ、クラッカーで挟み込めば食える(物理)。臭いより泥臭さと塩辛さの方がしんどい」
同行者③「脳が味を認識してしまうとヤバい気がしたから一気に流し込んだ。お口直しに食べたチョコ、美味しいね」

ウォッカで消毒すればあるいは、との話を目にしていたため、コップに注いだウォッカでビタビタにする。



クラッカーに載せ、玉ねぎとチーズ、またクラッカーで挟んで再チャレンジ!
…………確かに臭いはマシになったが、別に完全に脱臭される訳ではない。
いや…………ちょっと…………ごめんなさい…………。


私も食えはしなかったが、暫く風呂に入っていない人間の体臭めいた強い臭いを感じただけで、下水の臭いだとは微塵も思わなかった。
他のブログでも缶の中身が濁っていない写真を掲載している人は「何枚か食べられた」とコメントしているようなので、缶の状態によりもっと耐え難い臭気を放つ可能性はあるが、それにしたって更に発酵の進んだ缶が下水のような臭いに変質するかは疑問である。

今回我々が当たりを引いたのは、「調達先の業者での保存状態が良かった」「大量の保冷剤と共に運んで、一切の常温状態を作らなかった」という事情が多分に影響しているのだろう。常温保存すると状態が悪くなることは先に述べた通りだが、かと言って常温で数時間放置した程度で缶全体がピンクがかるほど発酵が進むものだとは思えない。わざわざ状態の悪い缶を開けて汚物臭いだの何だの騒いでいるとしたら、YouTuberは完全にフェイクである。もっと食文化と真剣に向き合え。

余談だが、ヒカキンはシュールストレミング開封動画のサムネを「世界一臭い食べ物を更に腐らせて食べたら(以下略)」としている。さすが親が子どもに安心して見せられるYouTuber。臭いの具体的な感想ないから下水臭いのかは分からないけど!!!


皆さん2枚くらいでギブアップしたため、ごめんなさいの後片付け。
処理方法に関しては

①燃やす
②流す

の2種類がある。シンプルで良いね☆
燃やす場合にはキッチンペーパーに汁を染み込ませて、缶の中に入れたまま着火すると良いらしい。(缶の臭いもある程度飛ばす算段なのかもしれない。)
我々みたいに水中で開けた人間に①は難しいので、その場合はトイレに流して全てを無かったことにする。
缶やその他使用品はウォッカで洗い流せばある程度臭いが落ちるので、そのまま分別して捨てましょう。
ウォッカの存在をこんなに有り難く感じることは金輪際ないと思う。

ちなみに我々を車で当地まで連れてきてくれた運転手は、この世界一臭いお魚サンドをコーヒーで流し込んでいた。
臭いを消しつつ魚を可能な限り速やかに流し込むための飲み物という条件を考えると、酒に弱い人がシュールストレミングを食べる場合はコーヒーをお供にするのがベストかもしれない。

そんな訳で、シュールストレミング開封後に食べたBBQはそれはそれは美味しかった。家畜は偉大。野菜最高。


追記:シュールストレミングの開封・食事中、周囲に異常なほど小蝿その他の虫が発生しており、私は今ブユに噛まれた腫れと痒みに耐えながらこれを書いている。
開封時は「捨てても良い長袖・長ズボンの服」で臨むことを強く推奨する。

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