刑事訴訟も電子化へ

法務省は2022年2月10日、刑事手続きへのIT活用を議論している検討会で最終報告書の案を示しました。逮捕や家宅捜索に必要な令状や裁判資料などの書類の電子化に加え、捜査や公判でもデジタル化を進めるとしていました。

今までの刑事手続の主張・立証・事実認定

これまで、収集・保全された証拠の内容や、訴訟関係人による主張・裁判所による裁判の内容が、主として書面により記録され、保管されてきました。

例えば、司法警察職員は、被害者から被害申告を受けると、
その供述を供述調書等の書面に記載する、
令状を請求するときは、令状請求書や疎明資料といった書面を作成し、これらを持参して裁判官のもとに赴いてその審査を受ける、
事件を検察官に送致するときは、証拠書類を検察官のもとに運び込む
などしてきました。

また、検察官が公訴の提起をするときは、起訴状という書面を作成し、これを裁判所に提出し、そのほかにも、裁判所・検察官・弁護人による訴訟行為に伴って、書面が多く用いられてきました。また、刑事手続においては、その多くの部分が、人が対面する形で行われてきました。

このように、たくさんの書面が作成され持参されてきました。また被疑者・参考人の取調べや弁護人等との接見は対面で行われ、公判手続は、法廷という場所に裁判官・裁判所書記官、検察官、被告人・弁護人が集まり、証人・鑑定人・通訳人にも、法廷に出頭することを求めてきていました。

そして本日、最終報告書がまとまる

本日、2022年3月15日、刑事事件の捜査・公判手続きのIT化を議論してきた法務省の検討会は第11回の最終会議が行われました。

前回までの10回の会議でたたき台が示され、3月15日に最終の報告書が作成されました。
刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会 第11回会議(令和4年3月15日)

デジタル化は合理化・迅速化だけでなく、セキュリティにも配慮し、社会の変化についていける法整備をめざすとしています。

報告書によりますと、
▽逮捕状などの関係書類を電子データとして作成管理し、請求や発行などの手続きをオンライン化

することや、

▽法廷とは別の場所から応じる「ビデオリンク方式」での被告の公判出廷は一定の要件を満たす場合のみに限定し、「リアル」の出廷を原則とすべき

だとしました。

裁判という特殊な世界はなかなか動かしがたいこともあるでしょうが、こうしたデジタル化とともに、裁判の可視化が進んで、冤罪のない社会へ進んでほしいと願います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?