ジェリー・サインフェルドに憧れて

私はスタンダップを聞いたりもする。アメリカンジョークは面白くないとか、日本人の笑いの感覚とアメリカ人のは違うとかよく言われるが、それはちゃんと聞いたことがないのではないかと思う。

私が一番好きなコメディアンは昨年亡くなったノーム・マクドナルドであるが、今回は私が初めて聞いたコメディアンのジェリー・サインフェルドの話をしよう。

彼のジョークの内お気に入りの一つに、ポール・ニューマンとゴーカートをしに行ったときの話がある。彼らはお互い車が好きで、車の話で盛り上がりゴーカートに行くことになった。その時に彼はポール・ニューマンに向かって言ったのだ。「レースの時は、いつも精子だった頃を思い出す。誰もが最初のレースに勝っているんだ」

このネタはNetflixのComedians in Cars Getting Coffeeで披露されたものである。このネタは、彼を史上最高のコメディアンたらしめる着目点の素晴らしさが表れていると思う。レースから精子の話への飛躍、そして精子という言葉から下ネタに移るかと思ったら、受精という科学的な方向にシフトしている。

同じ番組での彼の発言で、「ジョークは科学と同じだ。仮説を挙げてそれを証明する」(だいぶ前に見た内容なので原文と違うかもしれません)というのがあったが、まさに彼の面白さはそこにあるのだ。見当はずれに見える仮説を挙げ、それが証明された時に、我々は腑に落ちると同時に可笑しさを感じてしまうのだ。彼の目の付け所に憧れて、私はこのnoteを書き続けているのかもしれない。

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