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リンゴジャーニー Vol.5〜ラストピース

始まりが思い浮かばない終わりかもしれない

と、ふと思い戸惑った。そんなことってあんまり体験したこと…ないよな。登山でも登頂すれば次の山、レコードも本も。ま、いいか、終わるも始まるも自分次第でコントロールできることなんだから。

前回は日本からハワイへの経路について、これだ!という確たる証拠は掴めず、比較的現実性があるのは人の手によるレコードよりもラジオによる拡散だろうと、一旦結論づけた。その中で触れた映画の話しについて深掘りしたことを少し書いておこう。

2023年12月21日〜お酒の席は宝庫
この日音楽以外を通して出会った方たちT島さんとN嶋さんとの忘年会。出会ったきっかけは違えどなんだかんだ言って話題は音楽のことばかり。みんなジャンルレスに音楽を楽しんでいるけど、コアにあるものは異なるから面白いし話が尽きないんだな。それぞれの仮説について判っていることを聞いていただいた。矢先、二人から「映画の可能性は?」と。

ここへきて新仮説、映画!
盲点!!ということで、早速調べたのだが、当時のハワイやアメリカで、リンゴ追分が挿入歌の映画『リンゴ園の少女』が上映されたという情報が全く掴めなかった。T島さん曰く、日本人の小さなコミュニティーの中で話題にはなっていたはずだろう、と。その話題が火元になって劇場公開されていたら直接的な影響力は大きかったと予測されるが、その記録が見つからない。『リンゴ園の少女』から視野を制作の「松竹」に拡げて調べても出てこない。いつか映画をきっかけにリンゴ追分を知ったという人や情報が出てくるかもしれない。それは楽しみに残しておこう。

さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれない。忘れたわけでも隠していたわけでもないが、一つ書いていないことがある。

もう一つのRingo Oiwake
本シリーズVol.2でDJ Dさんが教えてくれたArthur Lymanの他にも、リンゴ追分をカヴァーしたハワイのアーティストがいたのです。

それが、こちらのMartin Dennyさん。ハワイでは少なくとも2人のアーティストにカヴァーされていました!ということで、Arthur LymanとMartin Dennyどちらのバージョンがジャマイカへ伝わった、もしくは参考にされたのか?ということになりました。ここでふと思い出したのが、リンゴジャーニー Vol. 2にも登場したKさんからの一言。
 「音楽的アプローチで探るのもおもしろいかもよ!」
ということで、両方聴いてみよう。
・・・どちらも「カヴァー」だとしか聞こえない…。精々頑張っても使ってる楽器が違うね、ってことぐらい。自分一人ではこんな程度だったアプローチ方法が、とても面白い展開に!

2023年12月24日〜最後のピース
今日はDさんが新宿でDJだ。今日はDさんの他に日本を代表するスカのバンドのアーティストI川さんもDJ、そして同じバンドのメンバーAcさんも遊びに来る、ということで、みんなに見てもらうためにリンゴ年表を拡大コピーして持参した。アーティストの2人へ供覧したのは、
 1958年 Arthur Lyman
 1959年 Martin Denny
の部分。2つのバージョンのどちらがThe Skatalitesにカヴァーされた可能性が高いか?である。

お気付きだろうか?
筆者は二人から言われて気付いたのだが。ちなみにオリジナルはこちら。

曲の始まりにご注目(耳)
美空ひばり:たったらった〜たったらった〜
Arthur Lyman:たったらった〜たったらった〜
Martin Denny:リンゴ〜の〜

で、The Skatalitesのバージョンがこちら。
 The Skatalites:たったらった〜

そうなんです!Arthur Lymanはオリジナル同様にイントロから始まりテーマへと続く構成。Martin Dennyはイントロなしにテーマから始まる構成。
で、The Skatalitesバージョンはというと、Arthur Lymanと同じイントロ〜テーマの構成!

ひゃ〜もうこれはArthur Lymanバージョンのカヴァーで決まりだー!!
ついに最後のピースを、ぱちりとパズルに嵌め込む。
やっぱり、アーティストは違うなぁ〜!この時の乾杯の味ったら!!とか言って、興奮しすぎて記憶なし。

2023年12月25日〜サンタクロースは来ない
さてさて、完成したパズルの全貌を見てみましょうか。
「日本で生まれたリンゴ追分は、日本から海外へ発信していたラジオの電波に乗りハワイへ到達。そこで二人のアーティストにカヴァーされたが、オリジナルまたThe Skatalitesバージョンと同じ曲の構成を持つArthur Lymanバージョンが当時流行していたエキゾチカ人気の波に乗り北米へ到達しレコードリリース。北米でも人気となったArthur Lyman/Ringo Oiwakeがジャマイカへ伝わりThe Skatalitesにカヴァーされた。」
が、一番リアリティーがある新説だ!!

なんだか清々しい気持ちと寂しい気持ちが織り混ざった複雑な気分である。10月から始まったリンゴジャーニー。行く先々の音楽コミュニティーでこの話題を振って、いい加減鬱陶しがられるんじゃないかと思うこともあった。しかし予想に反して初対面の方含め皆さん興味津々に耳を傾けてくださり、本当にたくさんの情報を共有してくださった。それが楽しくて励みになり、このNoteまで始めてしまった次第だ。リンゴジャーニーに関わってくださった皆さん、本当にどうもありがとう🍎

と、大団円を迎えるはずだったのだが…。
続く……かも!?



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