精神医療のとんでも本?真実?

精神科医療にはいろいろな批判があることも事実で、首肯せざるを得ないこともままあります。安易な診断薬の過剰投与など。
ましてや臓器等の病気と違ってまだまだ明らかになっていないこともたくさんあります。

こういうような背景ですから、世の精神医療のバッシング本は世の中に多数出ているわけですが(まあがんは治すな!って本も出るくらいですから)。
だからできるだけ関わらないように生きている(本屋でそういう本のタイトルを見るだけでもうんざりする)のですが、ネットサーフィン(死語?)をしていて、残念ながらその本のリンクに飛んでしまい、更に腹立たしくなったので、そういういらだちを文章にしてみました。

リンクも貼っていませんが、例えばこの毒々しいデザインの本です。もう悪意に満ち満ちています。
そしてこういった本の特徴は「正しいデータも書いている」ということみたいですね。
ある方が書かれているこの本のAmazonのレビュー一部を引用させていただきますと…

なまじ本当で大切なことが書いてあるから非常に困った本なのである。
精神科を受診する前の10の心得などはその通りだと思う。
抗うつ薬・抗不安剤の副作用や離脱症状のおそろしさ、抗精神病薬をやめたときに起きる症状は再発よりも薬からの離脱症状を考慮に入れるべき。また精神科の多剤併用は問題が多く、使われる抗精神病薬の多くはそれほど効果がないこと。「モノアミン仮説」はとうに否定されており、抗うつ剤等が病気を治すことはありえず薬の投与は対症療法でしかないことなど、大切なことが多く書かれている。
以上のことは文献や新聞記事などからの引用もあり、その通りだという説得力もある。
しかしそれ以外のところがとんでも本なのである。それ以外のところがとんでも本なので上のことも一気に説得力を失い相手にされない「とんでも本」なるのである。本当に困った本だ!!

ほんとは読んでない人間が批判する権利はないし、全く読む気はないのですが、多分このレビューが正しいのでしょう。

と言いながら、この本のタイトルでググったらなんとまあ絶賛の嵐!
レビューを読んで、その文章の抜き出しを見る限り、絶対絶賛の嵐はありえないと思うんだが…人格的にも…

正しいんだろうなと思うのはこれですかね。現役の精神科医の方が書かれていたレビュー。

虹ぷしゅのブログ 『「内海」精神界は今日も、すっ飛び放題』 『お笑い草 「精神医学本」』

…まあ最近私も反省するのは「鬱はこころの風邪」っていう文句で安易に心療内科を勧める、あのキャンペーンは間違っていたと思います。
確かに飲む必要のなかった方が薬を飲んでしまったということはあるでしょうし、それは大いに問題だと思います。

でも確実に「薬を飲まなければならない」人間は存在します。
現に統合失調症や双極性障害は「脳の病気」であることが明らかになりつつあります。

一番怖いのは我々のような患者にこの本を薦めて、「ほら、あんたなんか病気じゃないんだ」と言われること。

この本を読んだ人ではありませんが、親しい人にも「障害って認めてしまったのは逃げじゃないのか?」と言われた時は大変ショックを受けました(酒の席の事だったのですぐ訂正していただきましたが)
他にもセラピーチックな仕事をされる方にも似たようなことを言われたことはあります。

どこまで勉強してそのセリフを吐いてるんだ!

と口に出すの何とか飲み込んだこともたまにはあります(笑)
あー、書いてて涙が出そうになってきた(笑)

単純に言えば「確かに投与しなくてもいい人に投与してしまっている現状はまずいが、確実にうつ病は存在するし、薬を必要としている人間もいる」
ということです。

うちの父みたいに「治そう!という気合が大事なんだ!」と精神疾患を抱えているものに言わないでくださいね(笑)

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