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酒田、この斜陽の町の喫茶店事情

最近ビジネスメール以外で文章を書くという機会がめっきり減っており、ツイッターでつぶやく時ですら言葉の操り方が怪しくなってきたのでリハビリを決意した。逆噴射先生の言うとおりスマッホの使い過ぎであほになっている可能性は大いにある。ラップトップを立ち上げ、キーを叩く、そんなただの筋トレめいた行為を自分に課すことにする。

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自分は今山形県は酒田市という海辺の町に住んでいる。ちょうど去年の同じ頃に越してきたので、やっと1年が経過したところだ。

酒田は江戸時代は海上交易の拠点として栄えに栄え「西の堺、東の酒田」とまで言われたほどだが、今は見る影もない。人口は10万人を切り、中心街はガラガラ。これほどまでに「斜陽」という言葉が似合う町もなかなかない。

自分がこの町に越してきてまず探し求めたものは喫茶店だった。喫茶店はわりと好きだ。カフェというより喫茶店の方が好ましい。可能であればコーヒーは美味い方が良い。落ち着ける場所がほしい。できれば豆を買って帰りたい。

そんな思いでいろいろ廻った。結論から言うと、喫茶店はある。わりとある。居心地の良いところも多い。悪くはない。しかし・・・

えらい昭和なんだ。もう力の限り。

特に地方都市ではこの手の喫茶店はとっくに死に絶えているものだと思っていたので、このサヴァイヴ具合にはびっくりした。どの店も、丁寧に積み重ねてきた時間が凄みを放ち、未だ血が通いみずみずしさを失っておらず、ちゃんと生きている。

その一方で、いわゆるサードウェーブと言うべきような、ここ数年のコーヒーブームの新風はまだこの町に届いていないようである。もう全く気配がない。コーヒーはロースト強めのいかにもな味ばかりで、それも悪くないが、スペシャリティコーヒーの浅入りもたまには飲んでみたいのだ。

前にいた町(これも東北の片田舎)では、このようなクラシックな喫茶店がほぼ全滅し、世紀末のコーヒー荒野になっていたところにぽつぽつと新芽が芽吹いて成長し、いつの間にか立派な若木の林になっていた。

そのようなラディカルな入れ替わりがこの町で起こってほしいとは思わないが、どういう形でかいつか新風がこの町にもやってきて、溶け込み、町の一部になってくれるとしたら楽しいことだ。新しい風よ来い。今のメンツはそのままがんばれ。

P.S. そろそろコメダコーヒーも来てほしい。あれはあれで良いものだ。

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