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0083劇中の好きな台詞について語るだけのコーナー③【2話ネタバレ有】

 0083劇中の好きな台詞についてただただ語るだけのコーナー。
 今回は第2話から。
「第2話 終わりなき追撃」って、サブタイからして良いよね。2話の時点で「終わりなき」ってワード使っちゃうの、本当にしんどい戦いが待っているんだな、と予見させられる。

 今回の台詞はこれ。


「や、やははは、実戦だってさ、コウ、参っちったな、ははは」


 なんとも情けない台詞である。

 どんな状況で使われた台詞だったか、簡単に振り返ってみよう。


 基地ではひよっこ扱いのコウやキースにとって、初めての実戦が始まってしまう。
 ジオン軍残党によりガンダム試作2号機は強奪、不意打ちで基地司令は戦死というショッキングな戦況が続く中、ガトーとの交戦で興奮状態にあったコウを小隊長のサウス・バニング大尉が落ち着かせる。

 そのバニング大尉と一緒に合流したキースから、依然として緊張状態にあったコウへ向けて発せられた台詞が、上の「や、やはは以下略」である。

 一見無神経な発言にも見えるが、キースはその実、自分の命が掛かっている場面で能天気になれるほど肝の太い人間ではない。キースなりに場を和ませようとしたものと思われる。
 こんな状況、笑うしかないよな、という諦めにも似た態度で泣きを入れる、というどうにも格好のつかない台詞だが、このキースの様子を見たコウは逆に毒気を抜かれて緊張を解き、安堵したような表情を見せる。

 ああ、コウがつるんでいる相手がキースみたいな奴で本当によかったな、としみじみ実感できる場面である。
 コウは答えが無い問題も自分で解決しようとして堂々巡りに陥るタイプなので、このシーンみたいに参っちったな、で済ませてしまう人間が居て初めて、答えが出ないまま前に出るという選択肢が視野に入る。どうしようもないけれどとりあえずやるしか無いんだ、とフリーズから脱して頭をリセット出来るのだ。
 この後も、アクセル全開のコウに対してキースが時にハンドルに、時にブレーキになって、コウの調整弁になれたり全然なれなかったりする。

 キースは決して英雄になるタイプの人間ではないけれど、作中でずっと彼は彼なりに全力で生きているので、そうだよな、軍隊に入ったからって何も人間やめなくたっていいんだよな、というスタート地点を何度でも再認識させてくれる。
 0083における灯台みたいな人。

 ちなみに、直後に基地から入る「バニング小隊!敵の攻撃により、現在、我指揮能力なし!強襲揚陸艦アルビオンと連絡を密にされたし!おわり!」の通信もかなり好き。
 要は「何も出来ねえ!」ってだけの話なんだけど、何も出来ねえってことを伝えることと、だからこうしてくれ、ってところまで伝えてるのが、なんとも大人の仕事だなあ、って感じ。

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