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0083劇中の好きな台詞について語るだけのコーナー②【1話ネタバレ有】

0083劇中の好きな台詞についてただただ語るだけのコーナー。
前回と同じく第1話から、またもやマイナーな台詞です。
今回の台詞はこれ。


「美人にだけ?」


 これは本作のメインヒロイン、ニナ・パープルトンの台詞。
 場面はメンテナンス中のガンダムを野次馬的に見学しに来たコウ・ウラキ少尉(主人公)と同僚のチャック・キース少尉。
 現場に居たニナの美貌に惹かれ、早速アタックを掛けるキースと、目の前の試作ガンダム1号機と2号機以外何も見えなくなっているコウが対照的である。

 キースがコウをニナに紹介しようとするが、コウは「よろしくー」と生返事を返すばかりで、そのままずかずかと1号機の足元まで上がり込み、ニナの顰蹙を買う。「照れ屋でね、美人に弱い」とフォローするキースにニナが「美人にだけ?」と刺々しく返す、というシーンだ。

 聞けばわかる通り、ニナのこの一言は「彼、私に興味を示さないまま私の大切なガンダムに触ろうとしているみたいだけれど、それは私が美人ではないからという事かしら?」という強烈な皮肉を詠唱破棄でぶつける高等テクニックである。

 この場面、ニナはコウが自分に関心を示さないことに怒っているのではなく、自分がエンジニアとして担当した大事なガンダムを無遠慮に触られることに対して嫌悪感を示しているので、本来は牽制以上の意味は含んでいない台詞であるが、ニナという女性をよく表したやり取りにもなっている。

 この後の数話を通して観てもらえば分かることだが、ニナは相手に対して不満がある時、直接相手にその旨を伝えるのではなく、相手の言葉尻を取り、その言質に対して指摘を加えるという手法を常用、多用している。

 この後、ガンダムのテストパイロット候補のメンバーと顔合わせをした時も、本当にガンダムのテストを任せて良い相手なのかと不信感を露わにしつつ、しかし最初から「貴方がたの技量に不安を覚えます」と言うのではなく、先に相手が口にした「来る日も来る日もザクばっかりなんだから」という発言を拾って「旧型で訓練している方に、新型の性能がどこまで出せるのか、心配になったものですから」とカマしている。

 ニナはこの辺りの立ち回りが本当に賢く、自分の責任の下に発言をぶつけるのではなく、相手の発言に責任を負わせるというムーブができる女性なのだ。
 本作ではニナがただの守られるだけのヒロインではないことを随所で見せて来るが、この辺は脚本が緻密過ぎて、感心するよりもちょっと引いてしまう。

 最後に、話は変わるがこのシーンの直前の「ガンダムが2機!」とはしゃいでいるコウは即ジブリに出演できるレベルで穢れのない少年の目をしているので、是非見て欲しい。本当に可愛い。
 モーラのニンマリ顔も可愛いね。みんな可愛い。

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