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カタールW杯北中米カリブ海最終予選 3節を終えて

W杯予選もいよいよ佳境。アジアと同じく北中米カリブ海地区でも最終予選に入りました。

この地区の最終予選は、今までは予選を勝ち抜いた6チームによる3.5枠をめぐる戦いでしたが

今回は同地区のFIFAランキング上位5チームそれ以外のチームによる予選を勝ち抜いた3チームで行われます。

その結果、今回の最終予選進出チームは


ランキング上位5チームである

メキシコ、アメリカ、コスタリカ、ジャマイカ、ホンジュラス


予選を勝ち抜いた3チーム

パナマ、カナダ、エルサルバドル


以上の8チームとなりました。

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結果的にすべてのチームがW杯出場経験国となり大きなサプライズはありませんでした。


8チームのホーム&アウェー総当たりのリーグ戦なので合計14試合行われますが、11月に2試合行われるのを除けば9月、10月、1月、3月は3連戦となります。

かなり日程が詰まっており、チームの層の厚さや指揮官の舵取りはかなり重要になってくるでしょう。


強豪と呼ばれるチームでもアウェーゲームやチーム状況次第では大苦戦を強いられるのがこの地区予選の特徴で、メキシコやアメリカという盟主であっても例外ではありません。


前々回予選ではメキシコが予選敗退危機に陥り

めひこ



前回予選に至ってはアメリカが最終節で敗れ予選敗退を喫するなど

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決してレベルが高いわけではないですが、かなり難しい予選であることがわかると思います。


そして9月に3試合が終わり、暫定でこのようになりました

メキシコ


以下、各チームの個人的な雑感です


■1位 メキシコ 2勝1分0敗 勝ち点7


  2-1ジャマイカ(H)〇

  1-0コスタリカ(A)〇

  1-1パナマ(A)△

この地区の盟主の力を見せつけた形だ。スコアこそロースコアだが内容はどの試合も相手を下回るものがなく、気が早いが今回も余裕の予選突破を予感させる。苦戦しつつもしっかり勝ち切り、難敵相手のアウェー2連戦を負けずに乗り切ったのも大きい。(前々回予選は勝ち切れずに苦しんだ)

経験豊富なジェラルド・マルティーノ監督に加えてメンバーの質も相変わらず高く、それでもこの3連戦はベストメンバーではないという層の厚さを持ち(怪我明けのイルビング・ロサーノラウール・ヒメネスが今回招集外)、舵取りを誤らない限り大崩れする様子はないだろう。東京五輪で銅メダルを獲得するなど若手も充実し、ますます機運に乗るか。


■2位 カナダ 1勝2分0敗 勝ち点5


  1-1ホンジュラス(H)△

  1-1アメリカ(A)△

  3-0エルサルバドル(H)〇

2次予選で難敵ハイチを退け、6大会ぶりの最終予選進出を果たしたカナダも悪くないスタートを切った。ホームでのホンジュラス戦は引き分けたが、次のアメリカ戦はアウェーながら引き分けに持ち込んだ。アルフォンソ・デイヴィスが負傷交代しケチがついたが、3節のエルサルバドル戦はジョナサン・デイヴィットら攻撃陣が躍動し完勝を収めた。

メンバーの質自体は以前から地区屈指であったものの、組み分けの運の無さや大事な試合での勝負弱さに泣き続け最終予選進出を逃してきた。次回開催国(アメリカ、メキシコとの共同開催)であることを考えれば、弾みをつけるために今回は是非とも出場したいところ。36年ぶりの悲願達成のためには「勝ち切る試合」をすることが求められる。


■3位 アメリカ 1勝2分0敗 勝ち点5


  0-0エルサルバドル(A)△

  1-1カナダ(H)△

  4-1ホンジュラス(A)〇

前回まさかの予選敗退を喫したアメリカ。とはいえ質の高い若い世代が台頭してきており、再びメキシコと共に他国を圧倒・・・とはならず2試合連続引き分けスタートとやや不安なスタートを切った。カナダ戦でセルジーニョ・デストが負傷し、ホンジュラス戦も先制を許す苦しい展開になったが終わってみれば4得点で逆転勝利。

チームの歯車に若干の懸念はあるが、クリスチャン・プリシッチジョシュ・サージェントらのタレントが力を発揮できれば予選突破は難しくないかもしれない。難しいアウェーゲームで負けないことはもちろんだが、ホームでの試合を落とさないことが2大会ぶりのW杯に近づくカギだ。


■4位 パナマ 1勝2分0敗 勝ち点5


  0-0コスタリカ(H)△

  3-0ジャマイカ(A)〇

  1-1メキシコ(H)△

2次予選でキュラソーとの死闘を制して今回も最終予選に駒を進めた前回W杯出場国。コスタリカを圧倒しながらスコアレスドローに終わったものの続くジャマイカに快勝。強敵メキシコとのホームゲームでも勝ち点1を拾ってみせる上々のスタートを切れた。

奇跡の初出場から3年。代表に貢献してきたベテラン達が去っていった後はしばらく苦戦が続いたが、各ポジションで世代交代は進みメンバーの質だけなら前回に勝るとも劣らずマイケル・ムリージョエドガー・バルセナスなど欧州で活躍する選手も増えてきた。以前からの課題である勝ち切れない試合を減らし、偉大な先人たちを超えられるか。連続出場の快挙は、そこにかかっている。


■5位 コスタリカ 0勝2分1敗 勝ち点2


  0-0パナマ(A)△

  0-1メキシコ(H)✖

  1-1ジャマイカ(H)△

北中米を代表する強豪が苦しんでいる。アウェーでパナマに試合を支配され、メキシコ・ジャマイカとのホームゲームでも勝ちを拾うことができなかった。メキシコは兎も角、不調だったジャマイカ相手にもホームで互角の内容だったのは苦しい。キーパーのケイラー・ナバスの好セーブがなければ3タテをくらっていた可能性すらあった。

ライバル国の世代交代が進む反面で若手の台頭は少なく主力の年齢層は上がり、以前は多かった国外組も少なくなった印象だ。W杯ベスト8を知るブライアン・ルイスジョエル・キャンベルらの経験値は何にも代えがたいが、不安を一掃させるような試合ができなければ、かつてエクアドルやホンジュラスを本大会に導いたルイス・フェルナンド・スアレス監督の手腕をもってしても予選突破は困難なミッションになるかもしれない。


■6位 ホンジュラス 0勝2分1敗 勝ち点2


  1-1カナダ(A)△

  0-0エルサルバドル(A)△

  1-4アメリカ(H)✖

前回はオーストラリアとの大陸間プレーオフの末に敗れ本大会出場を逃したホンジュラスだが、今回も道のりは険しい。アウェー2連戦は引き分けと悪くなかったが、ホームでのアメリカ戦では先制しながらも後半に4失点を喫し大敗。前半は押していただけに、勝ち点が欲しいホームで非常に惜しい試合となってしまった。

攻撃陣はロメル・キオトアンソニー・ロサーノ、今回招集外だったアルベルト・エリスなど非常に強力な顔ぶれが揃う反面、守備陣はW杯に連続出場していた時と比べるとややタレント不足にも見える。前回予選のように、守り切りたい場面で守り切れないという事にも繋がりかねない。それでも2010年W杯予選以降、粘り強く戦い逆境をひっくり返してきたのがホンジュラスの強み。まずは10月の予選で勝利を掴み、出場権争いに加わりたいところだ。


■7位 エルサルバドル 0勝2分1敗 勝ち点2


  0-0アメリカ(H)△

  0-0ホンジュラス(H)△

  0-3カナダ(A)✖

2次予選では伏兵セントキッツ・ネイビスを退けて3大会ぶりの最終予選進出を果たしたエルサルバドルだが、今回も難しい戦いを強いられることになりそうだ。ホーム2連戦はスコアレスドローで終えるものの、アウェーのカナダ戦では完敗。唯一の3試合連続無得点と苦しいスタートを切った。

とはいえこの苦戦は想定外というわけではないだろう。戦力的に考えれば8ヶ国中では最下位で選手・チーム共に国際経験は浅いが、チームの組織的な戦いは浸透しておりボール支配率では3試合全てで相手を上回っている。課題である決定力を改善しホームで勝ち点を積み上げることができれば、少なくとも「草刈り場」にはならないはずだ。コレといったタレントはいないが、オランダ生まれでオランダの2部でプレーしている20歳のエンリコ・エルナンデスに期待。


■8位 ジャマイカ 0勝1分2敗 勝ち点1


  1-2メキシコ(A)✖

  0-3パナマ(H)✖

  1-1コスタリカ(A)△

昨年のFIFAランキングにより最終予選にシードを得たジャマイカだが、まさかの最下位発進となってしまった。アウェーでメキシコに終盤の失点で惜しくも敗れるとホームでパナマに完敗。未勝利同士の対決となったコスタリカ戦は痛み分けと、ここ近年のゴールドカップで見せた強さをまるで発揮できていない。

レオン・ベイリーやイングランド代表から鞍替えしたミカイル・アントニオなど戦力的には決して悪くなく、今回もアメリカやイングランドでプレーする選手が多く揃う。しかし、過去のW杯予選ではメンバーの質は良くても同地区の難敵相手に勝てず敗退というのを繰り返してきた。来たる10月の試合で何とか持ち直したいがアメリカ、カナダ、ホンジュラスと難しい相手が続いている。「レゲエ・ボーイズ」にとって試練の3連戦だ。


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