見出し画像

青梅マラソン、コールアンドレスポンス

2月18日、青梅マラソンを走った。
最高気温18℃の晴れで、2月なのに暖かかった。


これまでの最長はハーフだったので、初めての30km。
なんとか完走できたものの、間違いなくこれまでで最も辛く苦しいレースだった。

まず調整を失敗して、前々日から膝が痛かった。前日の練習も走り出してすぐ痛みが出たので、2kmで断念。
これはヤバいと思いながら当日を迎え、とりあえず行ったけれど、河辺駅の階段が既に辛い。

ただ幸いにもレースが始まってしばらくすると、アドレナリンのせいか痛みが気にならなくなった。
前半15kmの登りは問題なく走了。
後半は降りなので走りやすいと楽観視をして、調子に乗りペースを上げる。

あと10kmくらいのところで、急激に足の痛みが襲いかかる。膝だけでなく足の全パーツが痛くてたまらない。
遂に歩いてしまった。
そこからは、少し歩いて少し走っての繰り返し。
さっき抜いた人たちにも追いつかれ追い抜かれ。
歩いているうちに汗も冷えてきて「ああ、散々なレースだな」と絶望感に覆われていた矢先。

「*****〜!」
全く聞き取れなかったが、後ろから大きな声が聞こえて、振り返るとゲストランナーの高橋尚子さん。
僕の方を見て「あっ黒いお兄さん目があった!一緒に走りますよ〜!」と声をかけてくれた。
高橋尚子さんの周りには既に10数名の集団ができており、みんながこちらを見て微笑んでいた。
僕は驚きと恥ずかしさから苦笑いを返しつつ、反射的に走り始めた。
自分でも信じられないが、僕はここからゴールまで一度も歩かずに彼女の後ろを走り抜くことになる。


高橋尚子さんといえば、その名を知らない人はいないハイパーウルトラレジェンドアスリートなわけで、そんな人とまさか一緒に走れるなんて、本当に奇跡だった。
そのうえ「大丈夫ですからね〜!走れますよ〜!」などと何度も励ましてくれる。心強すぎて、涙が滲む。
しかし泣いている場合じゃない。彼女に置いていかれたらもう走れないだろうと思い、必死で着いていくことにした。

「遠くは見ちゃダメですよ、頭を真っ白にして、前の人の背中だけ見て走りますよ〜!大丈夫、大丈夫〜!」
高橋尚子さんはその後も繰り返しみんなを励ましながら、無理のないペースで走ってくれた。その間、歩いている人を見つけては声をかけて、次々に復活させていく。
雪だるま式に人が増えて、気づけば僕らは巨大な集団になっていた。
沿道で見物する人たちが「あっQちゃんだ!周りの人すげえな!」と言っているのが何回も聞こえた。いや、本当に凄い光景だった。

「ここからはカウントダウンです!私が、あと〜?と言うので、4キロって言ってくださいね〜!いきますよ〜!あと〜?」「よんきろ〜!」
終盤になると完全に僕たちは心を掴まれていて、コールアンドレスポンスで一体感を高めていく。
「あと〜?」「さんきろ〜!」
「あと〜?」「にきろ〜!」
「あと〜?」「いちきろ〜!」
「***〜?(聞き取れなかった)」「うおー!」
アイドルとオタクの関係性だ。
足は物凄く痛いのに、楽しく走り続けることができた。

かくして、なんとか30kmを完走。
ゴール直後、感極まって「Qちゃんありがとうー!」とか叫んでしまい、後で少し恥ずかしくなった。
でも、つい叫んでしまうくらい身も心も救われたし、強い感謝の気持ちがあった。


高橋尚子さん、本当にありがとうございました。


今回で自分のランナーとしての至らなさを思い知ったし、走れなくなるほどの痛みと絶望も味わった。苦しくても前を向いて走ることを教えてもらった。自慢のエピソードもできた。
今までで1番辛かったが、得たものも大きいレースだったと思う。

レース後、高橋尚子さんのTwitterにみんなで走ってる写真があがっていて、しっかり僕も写っていた。
それから帰ってオードリーの東京ドームライブを配信で視聴して、謎の達成感を味わいましたとさ。めでたし。



※高橋尚子さんや周りの人たちの言葉・様子については、必死で走っていた僕のうろ覚えなので、事実と異なるものがあるかもしれません。ご了承ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?