「さぬきメタモルフォーゼ」
今ではすっかり
どっぷり慣れてというか
普通にやり過ごす事が出来るまでになっているが引っ越して来た当時はよその土地ならではの戸惑いや不慣れがあった
最初に気がついた違和感は食べ物屋さんで気がついた
こちらはうどんが美味しいうどん県
大体どこに行って食べてもめちゃくちゃ美味しいうどんが出てくる
しかも激安で混んでいても地元民なので回転も速くて時間の無いビジネスマンも時間たっぷりある近所のリタイアン(オジイ)もあしげく通う
それプラスある時気が付いた
お店の方は初対面でも気さくでフレンドリーでまるで旧知の友達と話すように思いっきりタメぐちだ
かと言って友達でもなんでない
仕事終わりに家に呼んで一緒に酒でもみたいな関係ではない
でもタメぐちなのだ
なんだったら若干怒られ気味になる時もある
さぬきうどん屋さんは各店で特にセルフうどん方式のお店は初見では戸惑う
お店それぞれ独自の
ハウスルールが存在するのだ
なので並んでる前の人がしている方式を採用してアレンジなくなぞらえて自分もそうしなければならない
今はやっていないが引っ越してきた当時に人気店に行ってフルセルフではないけれど先に並んで各人注文してそのままお盆を持ってレジで支払う方式のお店で
「えっと、かけうどんの小くださ
「こちらが聞いてから注文して」
衝撃である
被せて言われてしまう
しかも思いっきりタメぐち
そういえば前の人は聞かれてから答えていた
なので行列になってるし気を使って
ぐずぐずしないように早めにコールするとイエローカードなのだ
例えば若者数人で居酒屋に行く
みんな口々に
「オレ生中!」
「ボクは酎ハイレモン」
「私日本酒ぬる燗で」
そして
「あ、オレも〜!」
どの「も」やねん!
という事なんだろうなと
心を落ち着ける
中には注文のセリフに輪唱のように被せてくるお店の人に食ってかかる人もいるがうどんは食えてない
美味しかったからしばらくしてまたそのうどん屋さんに行くと店内所狭しと注意書きで埋め尽くされてそこはまるで書道教室の壁のようになっていた
入り口横にあるガラスの冷蔵庫にはデカデカと
「勝手に開けるな」
給水機の正面にも大きく
「水と氷の切り替えスイッチを勝手に変えるな」
もうここが一体何処なのかわからなくなってしまう
店主がよっぽど腹立ったんだろうと言うのがヒシヒシと感じるフォントで書いてある
そんな事より美味しいうどんを食べにきたので列に並んで待っていると例の「輪唱」が前の方で始まった
アレだけ注意書き書いてるはずなのに怒られてうどん食わずに食ってかかるいつもの光景だ
でもその注意書きが
見当たらない
お店もそこを注意書きしたらいいのにと思って最後にお金払おうとしたらレジにちっちゃく
「こちらが聞いてから注文する事」
つんのめりそうになる
勇気を出してやんわりその事をレジのお姉さんに言うと
「列の所に大きく書いてるよ」
相変わらずゆうちゃみの様なタメぐちで言う
よく見たらめちゃくちゃ大きく書いてある
書いているが大きすぎて
2m位離れないと全体像が見えないサイズなのだ
席に座ってそっちを見ると
ガッツリわかるトリックアートの世界
よっぽど切に表現したかったのだろうと思うとなんか可哀想で抱きしめて背中を撫でて
「もう、大丈夫やで」
とタメぐちで言ってやりたい
#さぬきうどん
#ハウスルール
#タメぐち
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