唐揚げにレモン論争はもう遅い!?「いかに美味しく食べる​か」から「いかに食うか」の時代​へ​​『目玉焼きの黄身 いつつぶす』(おおひなたごう)

出された食事、みなさんは美味しく食べるために何をしますか?

今まで「調味料は何をかけるか」というテーマは食事漫画では頻出していますいた。それどころか日常的にも話題になる問題と言ってよいでしょう。「目玉焼き醤油ソース塩問題」「からあげレモン問題」は相当な知名度があります。

この調味料問題は意識しやすい「食べ方」の問題です。なぜ意識しやすいかというと「美味しく食べるため」の行動なので、心の中で何をかけるべきか判断するというステップが入るからです。

しかし世間には意識せずに意識している深層意識の「食事のこだわり」が存在します。それを気づかせてくれる作品が

『目玉焼きの黄身 いつつぶす』(おおひなたごう)

この作品は何気なさすぎて誰も意識していなかった食事の仕方の、人事の違いがあることを教えてくれます。その違いというのは「いかに美味しく食べるか」のさらに奥、「いかに食べるか」に関してです。

それを象徴するのが第一話。の第一話は主人公が彼女の家で、朝食に目玉焼きを食べるシーンから始まります。この冒頭で彼女は様々な調味料を持ってきて何を選ぶか問いかけてきます。

今までの食事漫画であれば、どの調味料がもっとも目玉焼きにあうかという非常に平凡なテーマへシフトしていったでしょう。しかし、ここで主人公、彼女ともにソースを選択。すなわち調味料の選択なんてありきたりな題材じゃないよ!と読者に突きつけてきます。

このまま食事は続き、主人公は彼女が目玉焼きの黄身を最後まで残してることに気づきます。そう、第一話のテーマは、タイトルどおり「目玉焼きの黄身をいつ食べるのか」それのみです。


みなさんは食べ方なんて一種類に決まっているだろうと思うはずです。しかし現実は違うのです。世の中には先に食べる派と最後まで残す派、ご飯の上にのせて混ぜる派など種々の派閥が存在しており
互いが互いの存在を認識していませんでした。

この漫画は「黄身をいつ食べるか」というさりげない日常すら論争をうむほど業が深いテーマだと教えてくれます。食事のパンドラの箱です。他にもミカンの皮をどう食べるか、とんかつのキャベツいつ食べるか、カレーのルーはどう食べるか。etcを扱っています。

直接的に食べ物を美味しく食べる方法には関係しないが、各個人が無意識に決定した「食事のこだわり」というパンドラの箱を、この漫画を読んで開けてみませんか。

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