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VOGUE 보그 5月号 RAPMONSTER インタビュー訳

脳がセクシーな怪物ラッパー

 ほぼ毎日のように修正されるHIPHOPシーンで最近最も騒がしかったのはRAPMONSTERだ。作曲家バン・シヒョクが手がけたアイドルグループ、防弾少年団のリーダーであるRAPMONSTERはデビュー初期、『アイドルがどんなラップをやるってんだ?』というような偏見に苦しめられた。その後、某公演会場では他のラッパーから直接攻撃を受け、HIPHOPシーンではお馴染みの『ディス戦』もやはり無視する事はできなかった。わずか正規アルバム1枚を発表したに過ぎないグループの一員であるにも拘わらず、ノイズと騒乱はスター級に負けず劣らずだ。「僕をよく知らないのに僕を好きでない方は劣等感を抱いてるんじゃないかな?と思います。『こいつ欲求不満なんじゃないの?』『どっから突っかかってくるんだ?』って(思います)。僕は劣等感と表現したくはないのですが、ある程度はそうだと思います。」例えばこんな歌詞だ。『俺の人生は一部が消された落書き 拾っても拾ってもキリがない破片 こんなのが俺をより一層隅に追いやった 殺意を持って迫ってくる闇は俺の首を絞める ("Runch Randa")』

 今年で22歳だが、RAPMONSTERは暗くて重い。彼の歌詞は絶え間なく自分自身を点検し証明して出てきた言葉であり、羞恥心や嘘など一つもなく吐き出す言葉は書ききれないほどだ。「正直な気持ちを込めた事に対する恐怖はありますよ。けど僕は至らない部分も自分の好きじゃない部分も見せようと思ってます。どんなに尊敬されている人でも確実に、恥ずかしいと思っている部分はあると思ってますから。」RAPMONSTERは4月に初のソロMIXTAPEを発表した。MIXTAPEはHIPHOPミュージシャンが既存のトラックを使い、新たに編曲したうえで出す方式のアルバムであるが、彼はジャケット写真で(顔を)黒と白で分けて塗った。まるで自分自身の善と悪を決め、両面を露わにしたように。「二面性に興味を感じると思います。」RAPMONSTERは、自分に対する批判や非難、そして誹謗中傷までも気兼ねなく受け入れた。

 RAPMONSTERは詩を書く"クソガキ"だった。世界を悲観的に眺めて楽しんでいたし、普通の日常や物事に対しても皮肉って眺めたりしていた。「幼い頃から詩がとても好きで、見栄っ張りな所がかなりありました。そのうち、中学校に入学し音楽にハマり、そこから自然とHIPHOPにハマりましたね。」ラップはRhythm & Poetryの連なる言葉。好きで一人ノートに書いたりしていた小学生の時期は自然とライムができたり歌詞ができたり、フローにノッた。だからRAPMONSTERのRAPは絶え間なく自分自身に質問を投げかける。青春、喜び、若さを楽しみ、活気に満ち溢れた防弾少年団の音楽とは正反対のカラーだ。自虐として遠まわしに勝ち気が感じられるし、歪んだ寂しさも感じられる。「歌手が曲の題名通りに歌ったからって俺も名前に従うのは違うんじゃないかとも思ってます。」RAPMONSTERという名前は元々彼が練習生時代に歌っていた曲の歌詞の一部だ。それが自然と愛称となり、今は一人前の公式ネームとなった。「好印象な名前ではないと思います。『モンスター?どれだけ上手いのか見てやろう』という反応をよくされますから。」彼の怪物のような危険な態度の陰には寂しさも感じられる。RAPMONSTERはMIXTAPEの1番と2番トラック『Voice』『Do You』を単調なピアノの旋律、ビートと自分自身の声だけで完成させた。「孤独というキーワードが好きです。孤独を憎みながらも楽しんでいる部分があると思います。誰でも自分自身を、突然変異した怪物だと思う時の寂しさがあるという事です。」ありとあらゆる罵倒や悪運、そしてディスの中でも彼が自分だけのリズムとフローを維持できる理由だ。

 RAPMONSTERが向かう所敵無しのラップだけで注目されてるわけではない。彼は、最近頻繁に聞く流行語『脳がセクシーな男』の内の一人だ。「学生時代は3つの事しかやりませんでした。1つ目は詩を書いて音楽をやる、2つ目は勉強、そして3つ目はゲーム。何一つとして疎かにはしませんでしたよ(笑)」そのおかげで高校時代、全国模擬考査で上位1%に入った事もあり、番組内で認証された彼のIQは140代なのだ。最近では『脳がセクシーな男』をコンセプトとしたバラエティ番組『脳セク時代 - 問題の男』にも出演中だ。「いまだになぜ僕をキャスティングなさったのかよくわからないんです(笑) 恐らく事前会議の際に僕が個人的な話、社会的な話をたくさんしたので興味を持たれたのでしょう。」番組でRAPMONSTERは難題の数学、物理、言語問題に挑戦している。ジョン・ヒョンム、キム・ジソク等のヒョン達と息を合わせながら番組を進行する姿は確実に、ステージ上で荒々しくラップを吐き出す怪物とはまた異なる『二面性』だ。「番組を通して反感を持つ方が減ったみたいです(笑) 良かったと思ってます。」

 所属事務所代表のバン・シヒョクは様々な場所で度々「RAPMONSTER一人を見て防弾少年団を組んだ」と言う。5月、RAPMONSTERは防弾少年団としてカムバックする。音楽は依然として青春の肯定的なエナジーを礼賛するダンスチューンだ。ある時にはアイドルの活気溢れるエナジーで、またある時にはラッパーの論争的な舌でステージを盛り上げている男。脳も心もアツいRAPMONSTERは今怖いものなしである。

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