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BlackBulls Lab #02「退団選手のはなし②」

慌ただしく仕事の準備をする朝。

テレビの情報番組が、
「最近、ヘルメットの売上が上がってます!」と伝えていた。

そうか、努力義務が始まってるのか、
そんなことを考えながら慌ただしく家を出た。

いつもと同じ通勤経路なのに、そんなニュースを見てきたからか、今日はやけにヘルメットをかぶって自転車に乗る人が目についた。

見慣れない光景が生活に馴染んでいく妙な気持ち悪さを感じながら信号待ちしていると、、、


ヘルメットかぶった自転車おばさんが、
ものすごい勢いで赤信号無視して交差点渡っていったんだがっ!?!?!?

身の安全を気にしつつも危険を犯してる、、、
その交差点、まあまあの交通量っすよ、、、

守っているのか、
それとも、
攻めているのか、、、

そうか、
あれが守って速攻、か。(ちがう)

いや、あれはもはや特攻、、、か?


***************


下手な前置きはここまでにして

今シーズンも会場がわっと盛り上がるような守って速攻のシーンが多くあった。

その中でもひとつ、

ボールを奪い速攻に転じたときのベンチの歓声も、
シュートを打つ一瞬の静寂も、
ゴールが決まった後の歓喜の盛り上がりも、

頭の中のネガに焼き付いたんか??というくらい
すべてを鮮明に思い出せる印象的なシーンがあった。


彼女の守って速攻からの初得点だ。



#飛騨高山ブラックブルズ岐阜
#大野里佳子



チームメイトもファンも、ブルズに関わるすべての人が待ち望んであろう彼女の初得点は文字通り"守って速攻"からの1点だった。

それは、
イズミメイプルレッズとのシーズン開幕戦。

ブルズはベテラン勢の多くが退いた一方、期待の新戦力も加わったりして、僕はその日のスターティングメンバーがすごく気になっていた。

現地で試合前の練習を見ながら、わかんないなスタメン、と思いながら勝手に予想していたのがこんな感じだったと思う。

LW豊島 PV平野or柴田 RW高橋
  LB中島   RB伊藤or小林
     CB齊藤

OFばかりイメージしてて、DFのイメージを全くしていなかったのだけど、この日ブルズは守りからのスタートで、

試合開始に向けて6mラインあたりに選手が並び出すなか、左の三枚目で笑顔をみせていたのが大野選手だった。

(たしか左の一枚目からこんな感じだった
豊島 中島 "大野" 柴田 平野 小林)


昨シーズンまでは、なかなか出場機会に恵まれず、
試合終盤に途中交代で入ってもOFでの起用が多かった印象があったので、

彼女がスターティングメンバーでとして三枚目に入っていて、正直びっくりした。

でも、どこか納得できる感じもあって、 

それはたぶん、
体格が一回り大きくなった感じがしたことと、
なにより昨シーズンまで控えめで消極的にみえた彼女から笑顔と自信が感じられたから。

試合が始まると、
最初のOFで齊藤選手と交代して、なるほど、DF専門なんだ、となるのだけど、数年ブルズを応援していて、やっぱり彼女の初得点がみたいなと思っていた。


その期待に応えてくれたのが前半13分。

大野選手が9mラインあたりまで出て、しっかりCBにプレスをかけたことで、CBからRBへのパスが乱れ、こぼれたところを大野選手自らがカットした。

僕はちょうどブルズベンチの反対側の席に座っていたので、ベンチメンバーの表情も見える位置だったのだけれど、

大野選手がパスカットして前を向いた瞬間、
その後ろでブルズのベンチメンバーのほとんどが両手を挙げて立ち上がった。

ベンチメンバーの「行けーーっ!!!」といった歓声に後押しされて、大野選手がひとりでゴール前まで持ち込む。

彼女がシュート体制に入った瞬間

会場中がぐっと息をのんだ

一瞬の静寂が生まれたなかで

ふわっと浮かせたシュートがゴールに吸い込まれる

次の瞬間

さっきの歓声とは比べ物にならないくらいの歓喜が会場を包んだ、、、


ここからは、僕の勝手な想像だけど、

相手DFに当たられながらがむしゃらに打つシュートに比べて、

速攻でひとりで持ち込むシュートの方が何十倍も緊張したんじゃないかと思う。

ましてや、前2シーズンは出場機会にも得点機会にもなかなか恵まれなかった選手の3シーズン目にしての初得点チャンスなら尚更。

その限られた数少ないチャンスでしっかり決めきれたことが、まぎれもない成長の証だと感じて、

コート上の選手にハイタッチで迎えられる姿や、
ベンチで盛り上がる控えの選手たちを見ていたら、
しっかり感動してまあまあ泣いたっす 笑


試合のあと、
ブルズの公式Twitterに掲載された投稿がこちら。

開幕戦で初得点を決めた新人3選手の横で笑顔を見せる姿をみて、またじわっと込み上げるものがあった。

新人3選手を真ん中に据えて、自分は端っこで写るとこなんかも、大野選手らしい控え目な感じがでていて、いいなって思ったり。





この試合を境に、自分でいくorパス、の二択でパスを選択しがちだった大野選手が、果敢に前を攻めるプレーが顕著に増えたと感じた。

ワンプレーでこんなにも変わるのかと驚いた一方で、いままで積み上げてきた努力を解放するkeyが初得点だったんだな、と妙な納得もあった。

守備の要として声を出して守る姿も、

積極的に攻める姿も、

試合を重ねるたび、どんどん力強く頼りがいのある選手に成長していくのが見ている側にも伝わって、わくわくしたし楽しかったなあ。


ブルズとしては、あと1点とか2点が取れていたら、、、という悔しい試合が多かったな、とだけ思っていたのだけど、

今こうやって振り返ってみると、

大野選手が守りの司令塔として機動力のある粘り強い守備をしたことで、接戦に持ち込めたんだなと今更ながら思ったり。



1シーズンでこれだけの成長を見せてくれたので、
来シーズン以降のさらなる飛躍をほんとに楽しみにしていた選手のひとりだったこともあって、

最終戦のあと退団されると知ったときは、
えっ!?!?
というショックの方が大きかったのが正直なところ。

あとは、高橋選手とのおそろいリストバンドが見れなくなるのも
ちょっと寂しいな、と


けど、大野選手の勇断を受け入れるのがファンの務めであると思うし、

ひょっとしたら入団時から"3年間"としっかり期間を決めて頑張ってきたんじゃないかと思うくらい、

集大成の一年を見せてくれたという満足感もある。


それに、

同じく初得点を決めた田村選手や吉野選手、相変わらず攻守に運動量の多い高橋選手に、7mを絶対に外さない小川選手と、3年目(次4年目)選手の躍進は目まぐるしいものがあって、

きっと同期が大野選手の分を補っても有り余るくらい活躍してくれる気がしてるので、

来シーズンは同期たちの活躍を見ながら大野選手のことを思い出したりするんだろうな、と楽しみにしている。


最後に、

たくさんの感動をありがとうございました!

お疲れさまでした!

大谷の二刀流ならぬ、大野の二刀流
投げた後の手が外向いてる写真が多かった
ボールを正しい(理想的な?)回転させようとするとこうなりますよね??
今シーズンはとにかく試合会場で笑顔がたくさん見れた
これがなにより嬉しかったです




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