2022年　マイルCS　予想

【コース形態・形状】
　阪神芝1600m、外回りで行われる。先週のエリザベス女王杯と同じAコースの実施。エリザベス女王杯はいずれも外枠の馬が馬券内に飛び込んできた。
　今週も雨予報であり、外枠有利になりそうな予感。しかし、向こう正面が長く、直線も長いため、内回りほど枠順の不利は受けない。直線でスムーズに外に出せるかが鍵。

【枠順】
　基本的にまんべんなく馬券に絡む。連対率でいえば7枠、複勝率でいえば5枠が不振気味。阪神開催の近2年でも内外それぞれ馬券に絡んでおり、よほど馬場が重くなるなど、そういうことがなければ気にする必要はなさそう。
　周囲の馬との関係次第か。

【年齢】
　4歳馬が最も良績を残している。次いで3歳と5歳。勝率でいえば3歳、複勝率でいえば5歳が優れている。6歳もダノンシャーク、フィエロがそれぞれ連対経験がある。いずれも前年に馬券に絡んでおり、リピーター有利なレースといえる。とはいえ、3コーナーで大きな坂があり、平坦な直線の京都と、急坂が待つ阪神の違いを考慮すると、これまでは京都巧者が馬券に絡んでいた印象も。
　阪神芝1600mは実力がハッキリと出やすいコース。大荒れはしない。

【血統】
　阪神芝1600mは王道のコース。それだけにディープインパクト産駒が過去10年で5勝。瞬発力に富んだ馬の独壇場になっている。
　次いで成績を残しているのはハービンジャー。これはひとえに京都マイル巧者のペルシアンナイトのおかげか。阪神芝1600m、ハービンジャー産駒の過去3年の成績は（4-5-4-60）で勝率5.5％、連対率12.3％とリーディング上位の種牡馬と比べると少し成績が落ちる。
　その他種牡馬の成績を見るとあとは同じ程度。ダイワメジャー、ロードカナロア、スクリーンヒーローなど。意外とキングカメハメハ、ハーツクライはマイルCSでは成績があまり良くない。しかし平場の阪神芝1600mは流石の成績なため、問答無用で馬券から外すほどではないと見る。

【脚質】
　近2年はいずれも中団、その前後に構えた馬が馬券に絡んでいる。コース形態としては差し追い込みが決まる舞台。馬場状態を考慮しても逃げ、先行勢はやや割引にしておきたい。

　1枠1番　マテンロウオリオン
　ダイワメジャー産駒の3歳馬で祖母はオークスを勝利したレディパステル。ダイワメジャー産駒としてのマイラー適性とトニービンによる東京巧者が遺伝した印象で、東京マイルの決めて勝負に強いタイプ。転じて、決め手勝負になる今回の舞台も合っている。
　スワンステークスは阪神芝1400ｍ内回りを最後方追走し、上がり最速で7着。
　さすがにこの舞台で最後方では届かないか。陣営もマイルCSを目標に据えていた印象で、スタートから後方に控えたところを見るに、叩き台だった。
　外回りに変わり、1ハロン延長されたことで決め手勝負には持ってこい。内枠なのは気になるが、鞍上が鞍上なので後方追走し最後は外から突っ込んでくる姿も想像できるのが怖いところ。

　1枠2番　ウインカーネリアン
　Ｌ競走を2戦、そして関谷記念で3連勝目を飾った怪我明けのスクリーンヒーロー産駒。先行して抜け出す、優等生な競馬をしている。
　前走関谷記念は2番手につけながら上がり3ハロン2位の脚で抜け出して勝ち切った。強い勝ち方だった。
　しかし今回の舞台では先行して勝ち切るのは難しいと思われる。一昨年のマイルCS（阪神開催）で先行して3着に残ったのはアドマイヤマーズだが、この時点でGⅠ3勝していた。それだけの地力が必要と考えると、もう少し力を付けてほしいと思う……

　2枠3番　ダノンザキッド
　種牡馬ジャスタウェイに初のGⅠ勝利を届けた馬。皐月賞では気性の悪さを見せて大敗、その後怪我によって秋まで休んだ。度々気性の悪さを見せているが、1600m～1800mのレースでは安定して走っている。
　去年のマイルCSでも中団から伸びて3着に飛び込んだ。シュネルマイスターにあわせてついていった内容からも、併せれば伸びられるはず。隣に本命馬シュネルマイスターがいることは有利に働くだろう。
　リピーターレースというのもあり、ここは人気薄として抑えたい。

　2枠4番　シュネルマイスター
　マイルGⅠで惜敗続きの3歳マイル王者。3歳時の安田記念から切れ味勝負であれば現役トップクラスな姿を見せ続けている。前走のスプリンターズステークスは除外していいだろう。
　欧州血統の持ち主で、馬場が荒れた中でトップスピードを発揮させるタフさを兼ね備えている。DanzigのスピードとSadler’s Wellsのスタミナをこの舞台でぜひとも発揮してほしいところ。
　内枠寄りな点だけが少し不安だが、鞍上はC.ルメール騎手。心配するのは野暮というもの。脂が乘った4歳馬という点も魅力で、ここは本命にしたい。

　3枠5番　サリオス
　5歳春まで迷走していた感じもあったが、今年の安田記念で復活、毎日王冠では狭いところ割って伸びる、馬の力を見せつけられたレースだった。
　ハーツクライ産駒は古馬になってから本格的に力を発揮する馬が多い。また、姉のサラキアも5歳になって府中牝馬Ｓ勝利→エリザベス女王杯2着→有馬記念2着と本格化した。2歳ＧⅠを勝利しているとはいえ、ここにきて完成してきたか。
　シュネルマイスターを見ながらレースをできるのも好枠だろう。
　唯一の不安は雨が降る可能性。重馬場は得意ではないため、どこまで乾いた馬場でやれるかがキーポイント。良馬場なら重い印を打ちたい。

　3枠6番　ソダシ
　芝マイルで無敗、GⅠ3勝の白毛の女王。先行してスピードで押し切る快速馬だ。
　今回に関しては舞台が向かず、危険な人気馬という印象を抱いた。牡馬相手に通用するかどうかでいえば、問題ない。
　しかしこの馬は常に淀みない流れ、いわゆるミドルペースで勝ってきた。しかし阪神芝1600mはスタートから第3コーナーまで距離が長く、位置取り争いが熾烈にならず、ペースは上がらない。しかも逃げ馬不在となっては、例年通りスローペースでレースが進むことが予想される。
　ワンターンのマイル戦は問題ないが、展開を考えると不安が大きく、オッズ的にも重い印は打てない。入れても紐まで。

　4枠7番　ジャスティンカフェ
　前走毎日王冠で2着に飛び込んできた4歳馬。ここにきてオープンに上がった晩成型だ。
　血統的にもサドラーズウェルズとワークフォースでSadler's Wellsの4×4のクロスを持っている。Sadler's Wellsの血を持つ日本調教馬は古馬になってからオープンまで上がってくることが多い。スピードと瞬発力を重視する日本では最高スピードを出せる体になるまでが長い、と個人的に考えている。
　真偽はともかく、ジャスティンカフェもここにきて本格化した様子。決め手勝負なら十分チャンスがある。

　4枠8番　ロータスランド
　高松宮記念で2着に入り、波乱の一角を演出した。得意であろう前走では先行しつつも伸びきれず、敗戦。休み明けが響いたか。今回はより直線が伸びて、決め手勝負になる。馬場が重くなるなら面白いが、まともにやるとこの舞台は合わないか。

　5枠9番　ピースオブエイト
　無敗でダービーに駒を進めた素質馬。小倉記念、富士Sと古馬相手に対戦してきたがまだ発展途上で、古馬GⅠは厳しい。本格化はまだ先で、今回は見送る。

　5枠10番　セリフォス
　素質充分なダイワメジャー産駒。NHKマイルカップこそ伸びきれず敗北したが安田記念では見せ場を作った。前走富士Sではソウルラッシュ、ダノンスコーピオンといった実績馬を相手に奮闘し、勝利。
　今回は斤量差が無くなるまたは縮まり、どうなるか気になるところ。朝日杯ではドウデュースの2着にくるなど、実力は確か。相手強化となるが、決め手をどこまで発揮できるかが鍵。チャンスはある。

　6枠11番　ソウルラッシュ
　ルーラーシップ産駒で今年春は4連勝でマイラーズカップを制覇した。安田記念は不利を受けたのもあって大敗したが、休み明けの前走は外を回って2着。充分力があるところを見せつけた。ほどほどの外枠に入ったのもあり、荒れていない馬場をロスなく走れるのでは。

　6枠12番　ホウオウアマゾン
　出遅れた前走は除いて、阪神は得意としている。しかし今回のレース、前目でレースを進めては決め手に欠ける分、少し厳しそう。よほど飛ばしてリズムよく走りたい馬でもないので、今回は消し。

　7枠13番　エアロロノア
　追い込みという点では舞台にあっているが、安田記念では上がり最速で7着。GⅠのペースに中団でついていくのは流石に厳しそうで、よほどのスローペースでないと厳しい。ここは力が足りないと見る。

　7枠14番　ベステンタング
　10歳となるベテランホースでタイキシャトル産駒。流石に厳しい。心情的に勝ったら感動するが、そう簡単にはいかないから競馬は面白い。なのでここは消しで。

　8枠15番　ダノンスコーピオン
　オリオンを倒したサソリという流れが美しかったNHKマイルカップ。マイルでは世代トップレベルなところを見せつけた。今回の舞台で外枠なのもマイナスにはならない。
　前走はリズムよく進んで外に持ち出したように見えたが、決め切れなかった。セリフォスの決め手やソウルラッシュの終始外に回ったレースぶりを見ると、力関係的に少し厳しいのか。変わり身があれば面白い。
　雨が降るとマイナスと思われるため、馬場が渋れば割引評価。

　8枠16番　ハッピーアワー
　今年で6歳。前走も見せ場なくブービーで、年齢的にも実力的にも旬が過ぎている。今回は消しで。

　8枠17番　ファルコニア
　唯一のディープインパクト産駒。人気はないが、8番人気のダノンシャークが優勝するなど侮れない。とはいえ、マイルCSで勝利したディープインパクト産駒はいずれもGⅠで3着以内の成績を残していた。
　そしてこの馬も瞬発力勝負というよりは前目で結果を残してきた馬で、タイプが合わない。今回は消しで。

　以上を踏まえて予想は

　◎シュネルマイスター
　〇ソウルラッシュ
　▲サリオス
　△マテンロウオリオン、ダノンザキッド
　☆ジャスティンカフェ

　とした。

　×ソダシ
　ペースと脚質が不向き
　×セリフォス
　安田記念では決め手勝負で決め切れず。斤量差が減る今回では切れ負けすると予想。

　今回もまた、雨で予想を変更する可能性はあるが、おおむねこの予想で行く予定。