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Eric Clapton Live at Montreux 1986

1986年にエリック・クラプトンが、モントルー・ジャス・フェスティバルに出演した際のライブ・パフォーマンスを収めた作品で、2006年にDVD化されました。

この頃のクラプトンは、
ギタリストとしてではなく、
ボーカリストとしての一面が強く感じます。

前年の1985年に発表されたアルバム『Behind the Sun(ビハインド・ザ・サン)』

1985年3月に発表されたアルバム。プロデューサーにフィル・コリンズなどを迎えて、シンセサイザーやドラムマシンを中心とした当時のコンピューターサウンドに自身のギターサウンドをクロスオーバーさせ、ボーカリストとしても格段に上がり始めた作品だと思う。

このアルバムで得たものを、
次作のアルバム『August(オーガスト)』に引き継ぐようになり、

1986年11月に発表されたアルバム。共同プロデューサーに、フィル・コリンズとトム・ダウトを迎えて制作されたアルバム。アルバムタイトルの『August』は、後に『Tears in Heaven』のモデルとなった息子のコナーが生まれ月から由来している。

よりボーカルや自身のギターサウンドとのクロスオーバーに加え、
前作に引き続き、
バックミュージャンにグレッグ・フィリンゲインズやネーザン・イーストなどを加えて、新たなクラプトン像が作り上げられたアルバムになっていきます。

当時の流行の80'sのサウンドに、
自分の歌声とギタープレイが、
どのようにして化学反応を起こせるのかをある意味“実験”していたのではないか?と、楽曲を聴いてわかる気がします。

この『August』のアルバムレコーディングが終わったあと、
イギリス・ロンドンで、
プリンス・トラストというチャリティライブが行われます。

The Prince Trust 1986に出演したアーティストの集合写真。

新旧のトップ・ミュージャンが集まったこのライブは、まさにクラプトンに大きな刺激を与えたのではないかと思わます。

この写真を見てわかる通りに、
ど真ん中にティナ・ターナーがいて、
ポール・マッカートニーが左に、
フィル・コリンズが右に、
その上の左右に、エルトン・ジョンとクラプトン。
クラプトンの隣には、マーク・ノップラーがいる。
この当時のブリティッシュのメインストリームに、クラプトンもいたんだなという写真でもあります。

このプリンス・トラストが、
1986年の6月にロンドンのウェンブリーで行われたあと。

7月にクラプトンは、
フィル・コリンズのドラムと、
グレッグ・フィリンゲインズのキーボード、ネーザン・イーストのベースでの4ピース編成スタイルで、ヨーロッパ各地の音楽イベントに出演します。

ネーザン・イーストは、この頃からクラプトンのバックを務めるようになって、今現在に至っています。

その頃の演奏を収めたものが、
この『Eric Clapton Live at Montreux 1986』と、
『Eric Clapton & Friends LIVE 1986』です。

1986年7月15日、イギリス・バーミンガムでのライブ・パフォーマンスを収録されたもので、翌年の1987年にVHS(ビデオ)で発売され、2003年にDVD化された。

この『Eric Clapton & Friends LIVE 1986』は、9曲しか収録されておらず、カットされた楽曲もたくさんありました。

その中で『Eric Clapton Live at Montreux 1986』は、ほぼ、その頃のパフォーマンスを収めているので、個人的に最初見たときは、すごく嬉しかったものです😄

前置きが長くなってしまいましたが😅

ここから『Eric Clapton Live at Montreux 1986』に収録されている楽曲を、1曲ずつ解説していこうと思います。


01.Crossroads(クロスロード)

オリジナルは、1937年にロバート・ジョンソンの楽曲。

1968年にクラプトンがクリームでカバーしたことによって、ロックンロールのスタンダードナンバーになりました。

この頃から、この曲をライブのオープニング・ナンバーとして披露するようになり、1993年のオール・ブルースでのパフォーマンスまでオープニングを飾る1曲になっていました。

【Eric Clapton & Friends LIVE 1986 Ver.と同じライブ音源】↓


02.White Room(ホワイト・ルーム)

1968年のクリームのアルバム『Wheels of Fire(クリームの素晴らしき世界)』に収録されている名曲。

ジャック・ブルースが書いている楽曲ですが、1985年に出演したテレビ番組「レイト・ナイト・ウィズ・デビット・レターマン」に出た際に、クリーム解散後に初めて『White Room』を演奏したそうで(この時の映像がYouTubeに無いのが残念💦)

85年に行われた“ライブ・エイド”でも披露され、クラプトンのライブでは定番のナンバーとなり、今現在もレパートリーとして演奏しています。

【Eric Clapton & Friends LIVE 1986 Ver.と同じライブ音源】↓


03.I Shot the Sheriff(アイ・ショット・ザ・シェリフ)

オリジナルは、
1973年のボブ・マーレーのナンバーで、同年に『461 Ocean Boulevard(461オーシャン・ブルーバード)』でカバーし、クラプトンのキャリアの中で全米ナンバーワンを取っている作品でもあります。

今年(2023年)の来日公演でも披露した楽曲ですが、この中に収録されているバージョンは、また違うアレンジで披露しており、年代によって、この楽曲のアレンジや歌い方が、どんどん変わっていくのが、他の映像作品に見てとれます。


04.I Wanna Make Love to You(アイ・ワナ・メイク・ラブ・トゥ・ユー)

アルバム『August』に収録されるはずだった楽曲(アウトテイク)

この楽曲を書いているのは、
ジェリー・リン・ウィリアムズというアメリカのシンガー・ソングライター。

『Forever Man』『Running on Faith』『Pretending』を書いた人で、クラプトンの80年代中盤から90年代前半までのヒットソングを書いた方です。

2019年の来日公演で久しぶりに披露され、約30年ぶりの披露となりました。


05.Miss You(ミス・ユー)

1986年のアルバム『August』に収録されているナンバー。

クラプトンと、
グレッグ・フィリンゲインズと、
Blood,Sweat & Tearsのドラマーでプロデューサーのボビー・コロンビーとの共作。

ちなみに、
このボビー・コロンビーは、
“ベースの革命児”と言われたベーシストのジャコ・パストリアスの1976年のファースト・デビュー・アルバムをプロデュースしています。

さらに余談ですが、
クラプトンとジャコは交流があったらしく、彼が1987年に悲劇の死して以降、彼へのトリュビュートで、ウェザー・リポートの『A Remake You Made(お前のしるし)』を演奏してから『Layla(いとしのレイラ)』を始めるという時期がありました。

その模様が、
今年(2023年)に『24ナイツ』の完全版『The Definitive 24 Nights』のオーケストラディスクで見て聴くことができます。


06.Same Old Blues(セイム・オールド・ブルース)

1985年のアルバム『Behind the Sun』に収録されているクラプトンが書いたブルースナンバー。

この頃のクラプトンは、
クロスオーバー(フュージョン)にハマっていたとされており、
ネーザン・イーストのベースソロや、
グレッグ・フィリンゲインズのキーボードソロをライブ・パフォーマンスの中でフューチャーしています。

クラプトンのギターソロも、素晴らしい👍🏻

※貼り付けてある音源は、スタジオ・バージョン。


07.Tearing Us Apart(ティアリング・アス・アパート)

アルバム『August』に収録されている楽曲で、ティナ・ターナーとのデュエット。

ティナ・ターナーのパート部分は、
この頃はクラプトン自身が歌っていたが、後にライブのバックコーラスのケイティ・キッスーンやテッサ・ナイルズなどが歌い、現在もライブ演奏されている。


08.Holy Mother(ホーリー・マザー)

アルバム『August』に収録されている楽曲。

86年に自殺した、ザ・バンドのキーボーディスト“リチャード・マニュエル”に捧げた鎮魂歌。

サウンドは、
プリンスの“パープル・レイン”に影響されたと近年クラプトンは言っている。

個人的に、すごく好きな一曲でもある。

【Eric Clapton & Friends LIVE 1986 Ver.】↓


09.Behind The Mask(ビハインド・ザ・マスク)

アルバム『August』に収録。

もともとは、
YMOの1979年に発表した坂本龍一氏が作曲した楽曲。

マイケル・ジャクソンが、
アルバム『スリラー』製作中に、
クインシー・ジョーンズが来日した際にこの曲を気に入り、マイケルに新たなメロディーと歌詞を加えて録音されましたが、『スリラー』には収録されませんでした(マイケルの死後の2010年に発表されました。)

1984年に、マイケルのバックをやっていたグレッグ・フィリンゲインズがソロで、この楽曲をカバーし、アルバム『パルス』に収録し、シングルカットもされます。

グレッグ・フィリンゲインズがカバーしたおかげで(?)、クラプトンにアルバム『August』のレコーディングの際に、この曲を紹介して、クラプトンはレコーディングしました。

クラプトンも、1987年にシングルカットして、全英で15位を記録することになりました。

このライブでは、グレッグ・フィリンゲインズがメインボーカルをやっていますが、クラプトンも自身のライブや他のライブで歌声を披露しています。


10.Badge(バッジ)
11.Let It Rain(レット・イット・レイン)

『Badge』は、1969年にクリームとして発表したクラプトンとジョージ・ハリスンの共作曲。

『Let It Rain』は、1970年のクラプトンのファースト・ソロアルバムにラストに収録されている曲。

2曲をメドレーに(正確言えば、『Behind The Mask』との3曲メドレー)したバージョンで、
前年の85年の『Behind the Sun』ツアーでも同じメドレーでやっていたのがわかるので、この4ピース編成でも上手くアレンジされたバージョンになっている。


12.In the Air Tonight(夜の囁き)

1981年のフィル・コリンズの楽曲。
全米2位の大ヒットソング。

フィル・コリンズをフューチャーされたパフォーマンスで、そこにクラプトンのギターが加わることで、より一層素晴らしいものになっている。

フィル・コリンズが終盤に歌いながら叩くドラミングは、圧巻のひとこと。

【Eric Clapton & Friends LIVE 1986 Ver.】↓


13.Cocaine(コカイン)

オリジナルはJ.J.ケイルの1976年の楽曲で、翌年の1977年にクラプトンがアルバム『Slowhand』でカバー。
シングルカットされ、全米30位。
今現在もクラプトンのライブの終盤で、演奏される楽曲です。


14.Layla(いとしのレイラ)

言わずと知れたクラプトンの代表作。

【Eric Clapton & Friends LIVE 1986 Ver.】↓


17.Sunshine of Your Love(サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ)

1967年のクリームの代表作。

この頃からアンコールで、
この曲を演奏されるようになり、
90年代・2000年代前半のアンコールソングとして定着。


16.Further on Up the Road(ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード)

1957年に、ボビー・ブルー・ブランドで知られているシカゴ・ブルースナンバー。

1975年のライブ・アルバム『E.C. Was Here』や76年のザ・バンドの“ラスト・ワルツ”などで演奏されている楽曲。

メンバー紹介も含めて、
この時のギターソロが...良い...


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