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2024/08/12 猛暑の読書は、これ! 大和田 良著 『写真技術の基礎と実践』 

今年の夏は、猛暑と五十肩で苦戦しております。そんな中で、楽しみはオリンピック観戦と読書。

選手の皆さんから、日々、元気をもらっています。歓喜に沸くいっぽうで、時代とともにオリンピックの意義も変わり、さまざまな思いもありますが、それはさておき本日は読書について書きます。

図書館から借りてきた本の返却日がせまり、さっと目を通しただけのものもありましたが、新しいGRが届いたのに散歩すらできない酷暑のなかで、秋に向けて、ちょっと真面目に写真について考えてみました。大和田良さんの本をご紹介します。

3部から構成されています。Capter1はちらっと。そして、Caputer2から読み始めました。Chapter3は一度読んだ後、もう一回読み返しました。その中から、とくに心に残ったものを書き出します。

1、組写真について

どこかに出かけたあと、ある程度まとまった枚数の写真が撮れた時は、家でプリントして手作りブックを作っています。このお出かけで、自分は何を感じたのか、もし見てくれる人がいるとしたら何を伝えたいのか。漠然とではありますが、心の中で反芻するのは楽しいものです。

大和田良さん曰く、
組写真には、シークエンス、タイポロジー、ストーリー、エッセイの4種類があるとのこと。

私のブックは、「シークエンスとストーリーを、てきとうにごちゃまぜ」というところでしょうか(笑)

これまでの写真を見返してタイポロジー的な組写真や、文章と写真を合わせたエッセイ集とか…。そんなブックを作れたらいいな。

2、写真は量か

大和田良さん曰く、
写真を自在に使いこなすことは、言葉を操ることと、とてもよく似ている。赤子は意味が理解できなくても、まず大量の音を耳から学び、それを発声しなが言葉として少しずつ認識し、徐々に高度な会話を成立させる。

撮ることもちろんだが、膨大な写真集や写真論を眺めることで、少しずつ自らの写真的感覚が育てられる。写真というイメージで頭を満たし、それを自分の目にうつる世界に投影しながら、また写真として再現する。

これまで、写真を見ても、わからない!という感想を持つことが多く、写真展にはあまり足が向かなかった。まずは、赤子になった気持ちで始めよう。

3、写真で世界を抽象化する

大和田良さん曰く、
自らが注目している物事や意味を抽出する。説明的な要素をできるだけ省いてみる。フレーミング、トーン、画面構成、ブレ、被写界深度など、さまざまな撮影技術を駆使して1枚の写真の抽象化を行う。

2023年秋、撮影
都会の公園で凛と咲く植物を、あえて環境を省いて撮った。

4、写真に写るもの 写らないもの

大和田良さん曰く、
写真には意図せずに写り込んでくるものがある。その細部が見るものに強く作用することがある。

これを、プンクトゥムというそうです。初めて聞く言葉です。

シャッターを押した本人さえ気づかなかったものが写り込む。最近、これが写真の醍醐味だと思うようになりました。じつは、新しいGRを購入した理由の1つは、広角の28mmなら、目には見えていないが意識の隅にあったものまでが映り込むのではないだろうかと思ったからです。

また、大和田さんによれば、写真に直接的には写らない気配や雰囲気を伝えようとしすぎて表現を過剰にしてしまうと、むしろ見る側の解釈を狭めてしまうとのこと。

5、荒選びとなる一次審査の段階で1/10くらいの数に絞っていく

コンテストの審査員をされた時の話です。

大和田良さん曰く、
被写体に撮らされるのではなく、自ら選択することが重要である。

何を撮るかではなく、どう撮るか、どう解釈するのかにどれほど情熱を注いだのかが、結果的に写真に個性を与える。その情熱が選者の目を射抜く。

2023年2月17日に開催されたGR SNAP WEEKENDのオンライン講評会で、大和田良さん、岡嶋和幸さんに講評いただいたことがあります。作品テーマは"陰影"です。

このとき、オンラインで講評会を見ていた人から、選者が二人の場合、どのように選ぶのかという質問がありました。大和田さん、岡島さんのどちらがお答えになったかは覚えていませんが、一次審査ではだれが選者でもだいだい同じだと言っていました。

で、なんと!そのとき、私の写真を選んでいただいたのを思い出しました。

よく行く地元の公園の池に写り込んだ木々

実際のコンテストでは、その後の選考が難しいそうです。応募者が少なかったのかもしれませんが、とはいえ、その中の1割だったわけです\(^^)/

自分の都合のいいように解釈して(笑)、たまには気を良くしてもいいでしょう。

6、豊かな階調

大和田良さん曰く、
階調表現は身につけるべき写真術としてきわめて重要である。気配や雰囲気といった写らないもののを想像させる。

7、外示と共示

大和田良さん曰く、
写真というメディアはレンズの機械性が担保する客観性、記録性による外示で構成されるイメージである。写真へ意図を介入させることによってイメージの持つメッセージは共示に属するものとして強調される。

写真における外示と共示の関係は、互いに呼応しながら成立する。構図や露出、ライティング、フォーカスなどの明確な意図を持った撮影技術は共示を作り出す非常に優秀なテクニックである。

8、編集者としての私

大和田良さん曰く、
技術的な不足はそのまま写真としての失敗にもつながるのだろうか。不明瞭であることが、むしろ鑑賞者に豊かな想像を促すこともあるだろう。きれいに撮れていることをセレクトの条件から外してみるのも、表現的に有効な一つの方法である。

外示:赤提灯 
共示:今日も1日、お疲れでした
秋葉原にて
たまたまボケた写真(笑)だけれど、そのときの気分が写っているような気もする

自分の人生の編集者は自分自身。写真は、まさに自分を映す鏡ですね。


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