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人妻妄想日記-果実

初めまして。"あっ!初めまして"お互い顔も知らないSNSで繋がった二人。私は既婚者だった為誰とも会うことなく何年か経った。はれて独り身となった私はいつも優しい言葉をかけてくれるまるさんと会うことに。実家へ帰る途中、彼の待つ街へ降り立った。仕事がどうしても抜け出せなく近くの喫茶店に行く

珈琲を頼みまるさんを待つ。しばらくすると扉が開いた。"みやさんですか?"あっはい。立ち上がると少し見上げた目線にまるさんのはにかむ笑顔。あっ思ってた通りの優しい人。そんな印象を抱きながら心臓が激しく高鳴る。まさか会えると思っていなかったのでここまで来るのにも何度も迷った。

何を話そう?あっえと。思ってた顔でした?SNSでは顔は見えないからお会いしたら幻滅されるんじゃないかと思ってドキドキしてました。ちょっとおどけたいけど緊張のあまり顔が引き攣るのが分かる。"えっ!そんなことないですよ!思ってた通りの方でした。"嘘でも嬉しい。少し緊張が和らぐ

"あっ。あの。出ませんか?"あっそうですね。言い終わるか終わらないかでまるさんがレシートを持って立ち上がりレジに向かう。あっお会計!慌てて席を立つがあっという間に済ませてしまった。すみません。"いえ"何だか表情が硬い。何か怒らせてしまった?また強い緊張が戻る。"行きましょう"

あっはい。店を出るとキョロキョロしながら"こちらへ"と促される。歩幅も違うのにどんどん先に行ってしまう。小走りに追いかける。ここで迷ったら帰れない。待って。彼の袖を掴む。彼が気がつき私の手を握り、また辺りを見渡しながらどんどん進んでいく。本当にどうしたんだろう。困惑する私をよそに

数メートル歩いたところでビルの影に入る。急に止まるのでぶつかってしまったが、彼はこちらを向き私を抱きとめていた。えっ!あっごめんなさい。離れようとするが強い力で身動きが取れない。ふと見上げると怖い顔。えっと。"あなたが悪いんですよ"そう見据えられ気がつけば唇を重ねていた。

強く激しいくちづけ。息ができない。でも優しく愛おしく感じてくれているのが分かる。息が続かないせいか、彼が激しく求めてくれているせいか、頭が痺れる。身体の力が抜けるも力強く抱かれてるお陰で崩れ落ちることはない。"すみません。我慢できなくて。落ち着くところにいきましょう"

言葉も出ず力も入らない為抱えられるように歩き出す。"本当にごめんなさい"そう謝りながら先ほどとは違い優しく寄り添ってくれる。タクシーを捕まえ私達は近くのホテルへ向かった。椅子に座らされ、"待ってていてくださいね"うなずく私。"予約していたものです。"お待ちしておりました。

"お待たせしてすみません。行きましょうか"支えてくれようとする彼に、大丈夫です歩けます。と告げる。後ろを振り返りつつ先を歩く彼の足元を見ながらついて行く。落ち着く雰囲気の部屋。私のこと思って選んでくれたのかな。なんて希望にも近いことを考えながらベッドに二人で座る。

"何か飲みますか?"そう言いながら冷蔵庫を開け水を取ってくれた。はい。そう言えば緊張のしすぎで喉がカラカラだ。少し口に含み喉を潤す。横に座りこちらを見られているのがわかるが、顔を見ることが出来ない。えっと。と呟く。"はい。"私の為に予約しててくれたんですか?

そうであろうが、そんな言葉しか出ない。"はい。お会いしたらあれもこれもと考えていたのですが、緊張しているみやさんを見ていたらいてもたってもいられなくなってしまいました。本当にごめんなさい。"そう申し訳なさそうにいう彼に、いえと首を振る。嬉しい。けど、どう表現していいか分からない。

若い頃出会った元旦那しか付き合った経験がない。結婚してからも仲が良いわけではなかったが浮気をしたこともないし。こういう時どう振る舞えばいいのだろう。彼は私の様子を見ながらそっと背中に手を添え待っていてくれる。"大丈夫ですよゆっくりで"いつも私を気遣い言葉をかけてくれるあのまるさんだ

少し緊張が解けた。"ご飯食べに行きますか?"でもまるさんお昼食べたばかりじゃ?"大丈夫ですよ?"でも、あまり食欲なくて。"そうですか。ルームサービスでも頼みますか?"あっいえ。少し沈黙が続いた。"あの抱きしめてもいいですか?"えっ?…頷く。先ほどとは違い優しく包むように抱きしめられる

少しづつ緊張も解けてきた。あたたかい。優しく大事に思ってくれてるのが伝わる。何だか涙が出てきた。"えっ?どーしたんですか?"おろおろする彼に何だかおかしくもなってきた。泣き笑いになる。"えっ?あっ。ふふふ"つられて彼も笑う。再び抱かれる。"あー。やっと実感できる"そう耳元で呟く彼。

え?笑ってしまう。こういうところが好きだな。改めて顔を見られる。なんだか恥ずかしくて目を逸らす。"率直に言いますが、抱いてもいいですか?我慢できない。"真剣で苦しそうな表情だ。はい。小さい声で頷く。"あっシャワー浴びますか?"あっはい。でもお先にどうぞ。"あっわかりました!"

足早にバスルームへ向かう後ろ姿に、ゆっくりでいいですよと声をかける。"はい!"ふふっなんだか早く出てきそうな雰囲気だな。トイレに行こう。そう思い立ち上がるが力が入らずそのまま座る。深呼吸して立ち上がりトイレに。出ると頭をタオルで拭きながら出てきた彼が"どうぞゆっくり入ってください"

はい。そう言いながらバスルームへはいる。はたと気づく。そうか、これからそういうことをするのか。急にまた緊張が走る。処女なわけじゃないしそういう話もいっぱいしてきたのに。こういう時、モテる女性ならどうするんだろう。とりあえず、待たせてるし身体を洗おう。えっ化粧…落として少しする?

とにかく早く出なきゃ。待たせてるし。なんだか何をしていいか分からずおろおろする。ええいままよ。ざっと全身を洗い髪を手早く拭きさっと化粧をする。ごめんなさい!慌てて出ると明らかにそわそわしてる彼と目が合い、吹き出す。"だめじゃないですか、ちゃんと乾かさないと。座ってください"

そういうとドライヤーを持ってきて椅子に座らせ頭を乾かしてくれる。他の子も乾かしてあげたのかな。少し胸が詰まる。"ほらいいですよ"そういいながらドライヤーを机に置くと後ろから抱きしめられる。"いいですか?"頷く。両腕をそっと抱えられベッドに。されるまま座って横に座る。彼の顔が近づく。
[続]

photo by:qutakuta様 ◡̈⃝ᵗʱᵃᵑᵏઽ*