松原始『カラスの教科書』

最近カラス観察にはまっているので読んでみた。筆者のカラス愛がすごく伝わってくる本だった。カラスの子育ての様子や縄張り争い、喧嘩、遊びなどの描写が、本当にカラスの話をしているのか疑いたくなるくらい人間臭くて、なんだかカラスに親近感がわいた。かわいらしい挿絵が多く、文章も平易なので読みやすかった。

主にハシボソカラス(以下ボソ)とハシブトカラス(以下ブト)について述べていた。その辺で見かけるカラスは大体この2種のどちらかである。ボソは開けた場所を好む。また、地面をちょこちょこ歩きまわり、嘴を使って色んなものをつっついたりひっくり返したりして餌を探す。ブトは森林などの見通しの良くない場所を好む。また、地面にはあまり降りず、空から餌を探して、見つけたら降りてまたすぐ飛び立つ。ブトの方がボソより体が大きい。場所の好みは異なるが、街中にはどっちもいる。

カラスは本来スカベンジャーであるということが度々述べられていた。スカベンジャーとは、大型動物などの食い残しを食べたりする自然界の掃除屋のことである。狼の食べ残しに群がるカラスと人間が出したゴミに群がるカラスは、どちらも大型動物の食べ残しを処理しているだけだ。こう考えるとゴミを荒らすカラスに対しても少し寛容になれる気がした。

ボソもフトも繁殖できる個体は夫婦(一夫一妻)で縄張りを作り、まだ繁殖できない(しない)若い個体は集団で塒で寝ている。カラスがものすごく沢山いる木を夕方ごろに見たことがある。あれは塒で、あそこにいたのはほとんど若い個体だったということが今更わかった。集団でいるカラスとそうではないカラスをもっと注意して見てみようと思った。

他にもカラスにまつわる意外な話が盛り沢山だった。続編もあるみたいなので読んでみるつもりだ。


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