【推薦入試レポート】筑波大学情報学群知識情報・図書館学類【2020年度】

<今回の記事の要点>

・推薦条件のハードルは非常に低くなった
・推薦入試は国語と英語の小論文と集団面接(ビブリオバトル)
・小論文はテーマ型小論文だが、テーマの傾向が読めない
・過去問を解いて先生によく見てもらうこと
・ビブリオバトルは形式と雰囲気をある程度掴んでおくと吉


こんにちは。YAMA-CHANGです。

今回は私が受験した筑波大学情報学群知識情報・図書館学類の推薦入試について、「受験レポート」としてまとめていきます。来年度この学類を受験する人の参考になればいいなと思っています。

しかし、私と全く同じ状況・環境で受験する人はまずいないと思います。受験の勉強法は人それぞれです。ですので、この記事に書かれていることだけを鵜呑みにせず、色んなことを調べて、自分に合ったやり方を模索し実践して頂きたいと思います。

高校やベネッセの受験レポートも書きましたが、その時も結構びっしり書いたので、この記事もそれなりの長さになってしまうかもしれません。その点はご了承ください。

※この記事に書かれている情報は令和2年(2020年)2月13日編集現在の情報です。最新の情報は各自で確認をするようにお願いいたします。

<この記事に書いてあること>

①私がこの学類を目指すまで
②推薦するための条件
③推薦入試の内容と私の対策
④入試当日の流れと感想

①私がこの学類を目指すまで(読み飛ばしOK)

「司書」という職業との出会いは遡ること小学生の時。私の小学校には一人の司書の先生がいました。その先生はどの児童に対しても優しく接し、月に一度ほど行われるPTAの保護者による朝の読み聞かせには積極的に参加していました。また、私の小学校の図書委員会では、毎年読書週間のシーズンになるとイベントを企画・運営していたのですが、先生自ら企画を立案したり、そのイベントの一つである演劇の台本を書いたりして、児童とともにイベントを盛り上げていました。人柄が良く、児童と接する機会も多かったため、その先生は人気がありました。

小学5年生になって委員会に所属するようになる頃には、「先生と活動してみたい!」と強く思うようになり、その後8年にも及ぶ図書委員人生がスタートしたのです。この頃には「本に関わる仕事がしたい」と思い始め、小学生の時の卒業文集にはもうすでに「将来は司書になりたい」と書いていました。

転機は高校への入学でした。中学生の時から筑波大に行きたいと思っていた私は隣町の県立名門校を目指しますが、思うように学力が伸びず、結局確実に入れるであろう市内の県立高校を受験して入学します。その高校も進学校であったため、筑波大への望みを捨てなかった私は担任の先生にそのことを相談しました。

すると、その先生も司書資格を持っていることがわかったのです。これはもう奇跡と言っても良いでしょう。まさに運命的な出会いでした。その後、先生は様々なことを教えてくれました。図書館司書の資格が取れる国立大は少ないこと、筑波大には資格を取れる学類があること、私の高校から公募推薦が出せること、そして私の一つ上の代から方式が変わること…

私が本格的にこの学類を目指し始めたのはこの頃からでした。

②推薦するための条件と志望理由書

私が受験した令和2年度(2020年度)の学生募集要項には、推薦要件として次のように書かれています。

(1) 調査書の学習成績全体の平均評定値が4.0以上の者,又は筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者
(2) 知識や情報に対して明確な問題意識を持ち,それらに関する自主研究やクラブ活動,社会活動において優れた実績を有する者(実績を証明する客観的資料があれば添付のこと。)
(3) 高等学校等において,国際的な課題をテーマとする探究的な学習や,国際交流に関する活動に取り組み,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的な素養を身につけた者(その根拠として,本人の作成する「活動報告書」を添付のこと。)で,筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者

(1)の「平均評定値が4.0以上の者」という文言が割と利いていて、他学類では「学習成績概評A段階に属する者」という条件になっています。つまり、他の学類よりも条件が緩和されているのです。

さらに、定員は40名ですが、上記の(1)~(3)のいずれでも、一校で推薦し得る数の制限がありません。一つの高校から何人でも出願することができます。

さらにさらに、出願資格の項目には

高等学校(特別支援学校の高等部を含む。)又は中等教育学校を卒業した者又は令和2年3月までに卒業見込みの者

とあります。これはつまり、既に卒業して浪人していても推薦入試の出願ができるということです。

ちなみに、「評定平均値4.0以上」「出願人数の制限なし」「既卒生の出願が可能」は知識情報・図書館学類のみに適応されています。

志望理由書についてですが、私は上記①の小学生の頃の体験談を踏まえた上で、学校図書館の司書と公立図書館の司書との違いに言及し、アメリカの公立図書館で行われているレンタル電子書籍の例も取り上げて志望理由書を書きました。何度も担当の先生に添削をしてもらい、自分の熱意が伝わるよう、より適切な語や言い回しを選んで完成形に近づけていきました。

筑波大学の推薦入試の志望理由書は、この知識情報・図書館学類を含めたいくつかの限られた学類を受験する者にしか課せられていません。また、字数も600字であるため、簡潔に自分の意志を書き著すことが重要になってくると思います。

③推薦入試の内容と私の対策

この学類の推薦入試は①国語の小論文問題 ②英語の小論文問題 ③集団面接(ビブリオバトル方式)の3つです。それぞれについて大まかな内容と私の対策を書いていきます。

①国語の小論文問題

国語では、一つの文章を読んでその内容について答えたり、小論文を書く形になっています。いわゆる「テーマ型小論文」というものです。問いの内容は年によって異なります(例:抜き出し、空所補充、文章読解など)が、いずれの年でも500字前後の小論文を書く問題が出題されています。

また、(恐らくここがこの入試の厄介なところですが)出題される文章のテーマも年によってかなりバラバラになっています。いくつか例を挙げると、

・知識の定義
・ある作家のエッセイ
・「文系」と「理系」を分けることの是非

などなど、情報に関係しない事柄の文章も出題されたことがあります。

現在の入試方式になったのは2019年度(私の一つ上の代)からなので、これから先の入試で出題傾向がはっきりしてくるかどうかはわかりません。しかし、少なくとも2019年度と2020年度のテーマは全く違いました。なので、テーマは統一されないものだと思って勉強しましょう。

私の対策ですが、過去問を6年分(2018年度~2013年度)解きました。2年分くらい書いたら担当の先生に見せて添削してもらい、また書いて見せて…の繰り返しです。ちなみに、あまり褒められたことではありませんが、私は書いた小論文は添削の時しか見返していませんし、同じ問題を2回解くことはしませんでした。時間もあまりありませんでしたし、文章の傾向が読めない以上過去問をやるのが最善だと思ったからです。

また、私の一つ上の代の先輩がオープンキャンパスの際に紹介していた参考書(「吉岡のなるほど小論文講義10」)もかなり役に立ちました。(私は解いていませんが)練習問題も載っていますし、この本を読むだけでも文章の質が変わると思います。この学類を受験する人だけでなく、小論文が課されている入試を受験する人におススメします。

②英語の小論文

英語では、長文が一つ提示され、その文章についての問題を解きます。毎年最低1問は下線部訳が出題され、少なくとも100字前後、多い時には400字の記述問題が出されます。ここでのポイントは、「記述問題が必ずしも自分の考えを書く問題ではない」ということと「英作文ではなく日本語で書く」ということです。後者はいいとして、前者については様々なパターンがあるので一概には言えませんが、文章の内容を踏まえて書くものだったり、文章で述べられている事柄に関連した例を提示して書くものもあります。もちろん、自分の考えを書く問題がないわけではありません。

英語の問題ではその他にも、文章の読解が要求される問題も出題されたりするので、長文を読み解く力が大切になります。

そして、英語の問題は国語の問題と同じく、出題されるテーマがバラバラです。科学系の問題だったり、言語系の問題だったり、スピーチが出てきたこともありました。しかし、注で捕捉される語の量も比較的多いので、構えすぎる必要はありません。

私の対策ですが、過去問を4年分(2018年度~2015年度)と、担当の先生から渡される長文問題と和訳プリントで勉強しました。英文和訳は確実に出されると思って、勉強しておくと良いと思います。練習ではわからない単語・熟語・文法が出てきても、「きっとこうかな?」ぐらいの気持ちで思い切って自分の解答を出しましょう。

ちなみに、国語と英語の問題合わせて90分で解きます。どちらから解いても良いですが、片方に時間を掛けすぎてもう片方の時間が足らなくなってしまった、なんてことのないように気を付けましょう。

③集団面接(ビブリオバトル方式)

まず、ビブリオバトルとは何かを簡単に説明すると、お互いの紹介したい本を持ち寄ってプレゼンを行い、誰の本が一番読みたくなったかを投票しあう、「知的書評合戦」です。それぞれの受験生に5分間のプレゼンタイムと2~3分間の質疑応答の時間が与えられます。(詳しくは近日中に公開する記事に書きます。)
私の時の推薦入試では次のような手順で行われました。

①6~5人ずつでグループが割り振られる(筆記試験の後に貼り出される)
②グループごとに呼ばれ、別室へ移動する(それまでは待機)
③部屋の前で荷物を置き、自分の使う本だけを持って入室する
④受験番号の早い人から順番に発表と質疑応答をしていく
⑤全員の発表が終わった後に、読みたくなった本に投票する
⑥すべての手順が終わったら退室する(終わった人から解散)

紹介する本は小説、新書、漫画、電子書籍など、なんでも構いません。ただし、発表時間の5分間はすべて使わなければならず、途中でやめることは出来ませんし、逆に5分以上話すことも出来ません。質疑応答は受験生同士で行われ、面接官が質問することはありませんでした。質疑応答の時間は面接官の裁量によって変わってきますが、最低でも2分間、長くても3分間になります。

私はこの推薦入試のために、学校などが主催する大会に積極的に参加してきたので、結構な場数を踏んでいたのですが、ここでは推薦入試のためにしたことをお話ししておきます。

まず、自分が入試で使ってみたい本を3つまで絞り、担当の先生2人や学年の先生方にも協力して頂いて、「一人ビブリオ」をしました。本を一つに絞ったら、その発表の中で伝えたいポイントが明確になるように、メモと語りを修正していって、より良い形に近づけていきました。

ただ、ビブリオバトルを経験しているのとしていないのとでは雲泥の差があるので、地域の図書館などで開かれているビブリオバトルに参加するなどして、雰囲気や感覚を掴んでおくのは大事だと思います。ビブリオバトルの公式ページには、日本で行われているビブリオバトルの日程が出ているので、それを見て近くのビブリオバトルに参加するのも良いでしょう。また、YouTubeで動画を探せば、ある程度大きな大会で優勝した人の発表を見ることができるので、参考にしてみるのも一手です。

ただ、こういったプレゼンなどは経験値がものを言うと私は思います。やればやるほど、話す速さや時間を余らせた/超えそうな時の対処法、発表を引き立たせる質問やそれへの対応などが身につきます。まずは身近な人に発表を聞いてもらうところから始めていくと良いでしょう。

④入試当日の流れと感想

当日は9時ぐらいには会場にいました。会場の外に受験者数や注意事項などの書かれた貼り紙がされているので、それらを確認してから、印刷してきた受験票を係の人に見せて入室しました。

筆記試験の会場は大教室(というのだろうか?)で、受験者全員が同じ部屋で受験しました。時間になると解答用紙と問題用紙と記述の下書き用紙が配布されました。

筆記試験が終わると、集団面接のグループ分けが書かれた表が教室の前後に貼りだされ、面接が始まるまで待機になります。この待機時間に昼食をとったりトイレに行ったり出来ます。

面接の時間になると最初のグループから順番に呼ばれ、別室へ移動します。移動した先で荷物を置き、面接で使う本だけを持って入室します。面接が終わったら各自解散になります。

入試を受けた当時の感想ですが、非常に緊張しました。筆記試験が始まったときから手の震えが止まらず、結局最後まで震えっぱなしでした。また、私は国語の小論文に時間をかけてしまったせいもあってか、英語の時間がかなりギリギリでした。小論文の問題についての話で、「片方に時間を掛けすぎてもう片方の時間が足らなくなってしまった」というのは私のことです。和訳で文構造が捉えきれなかったことや、文章で述べられていることが難しく感じてしまったこともあり、記述が上手く書けずに苦し紛れの解答を時間ギリギリまで粘って書きました。

面接は6人中6番目の発表だったので、周りの発表を全て聞いたうえでの発表になったわけなんですが、一人目からかなりレベルが高く、プレッシャーを感じていました。しかし、落ち着いて練習してきたことを思い出し、自分の思い通りのプレゼンをすることが出来ました。結局チャンプ本(1位に選ばれた本のこと)にはなれませんでしたが、ほぼ全員に一票ずつ入っていたようなので、「高度な戦いになったな」と割り切っていました。

2020/8/10編集:文章の読みづらくなっている部分を修正しました。

<最後に>

自分の受けた推薦入試について振り返ってきましたが、想像以上の長文になってしまいました…(全体で約6000字) ここまで根気強く読んでくださった方、お疲れさまでした。

もしこの記事の中でわからないことがある方や、もう少し詳しく知りたいという方は、私のtwitter(yama_4_klis)のDMに連絡して頂きたいと思います。

それでは、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

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