憧れになる

一昨日朝方6時まで友人と話をしていた
お笑いのこと、映画のこと、自分のこと、家族のこと
だいたい何でも話している人だ
相手のことは何も知らない
私も深くなればなるほど話しているけど、好きな食べ物も好きな色も、自己紹介で言いそうなことは何も話していない

何も知らない方が楽しいでしょ
のもと自分の名前も相手の名前も知らないままだった
今もそれが名残り、相手の名前は呼んではいない

友人の口癖は「子供と大人の境目のままでいたい」だ
突然走り出すし
突然歌い出す
子供くらい大きな口を開けて笑うし
自分の好きなこととしたいことしかしない
きっと今もいつまでも子供と大人の境目を生きるのだと思う
友人はそうやって生きていける才能がある
上には上がいる、比べる人間じゃない、生きる世界が違うのだと今気がついた
私は流れにさからえず就活をしている
だめになってゼミを休むし授業もバイトもよく休む続かないただの出来ない大人だ

少し心が軽くなりよくやく言葉を紡ぐことができるようになったので、友人とのことを少しだけでも残しておこうと思う

友人は言葉が上手い
思考力と紡ぐ力がどちらも十分にあり
分かりやすく友人らしく伝えてくれる
初めてであった日3時間ほど話した
好きだった人が知識の共有は愛だと、
私はその言葉が好きだという話をした
知識の共有との距離感が恋だと思ったと答えた
久しぶりに人と会話をした日だった
ずっと忘れられない日だ

喫茶店をハシゴすることが多い
2、3時間話すことはざらだった
1軒目で2時間話し、2軒目で2時間話す
居酒屋で人間観察しながら大口空けて笑い、また2時間ほど話すなんてことをした

私には夢がある。
25で死にたいということだ
心を許している友人くらいしか話したことが無い私の夢だった
会って間もないのになんだか言いたくなった
口を滑らしたではなく自分の意思で。
いいねえ、といつも通りに言った
あまりにも他人事で、否定も肯定をしない友人だ
以前あなたは否定から入ることも
否定することもないよね
と言ったことがあるが無意識と言っていた
いいと思ったことにしかいいって言わないとも言っていたことを今思い出す
それまでにたくさん自分のこと出来るやん
全部やろうや
とも言った
だから25って決めてるんやろ、
自殺はダサいからな～どうしよう
と隣に座る、ケーキを半分こして食べる初々しいカップルを見ながら
メンソールのハイライトを一緒に吸った
喫茶店で流れてくる音楽が
教えてくれたものだと分かり、この曲教えてくれたやつやんね、と言うと
嬉しそうに、これは名曲やな～と頭をかいていた

別日、また喫茶店で高校の時の話をした
虐められていたことを話すと本当に怒ってくれた
虐められたのが私じゃなくて友人くらい、
それくらい自分の事のように怒ってくれた
絶対に社会的に抹消するから待っときやと言ってくれたりもした
家族の話、高校の時の話、割と隠したい過去を全部初めてへらへらと話した時
ちょうど難波を散歩していた時のこと
道のど真ん中で大丈夫やからな～と抱きしめてくれたこともあったし
あんたは絶対大丈夫やと思うけど
挫折は早いほうがいい、早く挫折してるから勝ち組やでと言ってくれたこともある
初めて人に大丈夫と言われて大丈夫になることを知った
友人もきっと何度も挫折してることだけは分かった

また別日、話の何かのタイミングで
私が産まれたから父親もいないし、私が家族を崩壊させてしまったし、高校は中退してるし、いい大学に言ってるわけでもない
生きてる価値あるかなと嘆いたことがあった
生きるうえで価値なんかいらんで
どう生きたかやで
とだけLINEが来た

突然夜中に
椎名林檎いいなとだけ連絡が来た
ごめん聴いたことないからまたよさ教えて
と返事をすると
だるいとだけきた
その次の日に歌詞の考察のしがいが凄いねんと長文が送られてくる

友人はかなり自由奔放だ
今梅田にいると言うと突然来る時もあれば
全く連絡が取れないこともある
もうこれから会えないかもしれないし
連絡がもう来ないかもしれないときに病んだりこちらはいつもしている
今もそうだし、
私は友人見たく何も持っていない
私といつまで話してくれるかなんか分からないし
私がしつこいからだろうし、しつこいし重いのに
なんでなんだろうと思う
その分大事だし、好きだからね、とこちらも自由に気持ちを伝えているから離れた時の後悔はきっと少ない
後悔はないと言えばそれは人と出会って別れているから後悔はあるだろうからないとは言えない
例え苦手な人と別れても、この人の良さが私には分からなかったと後悔をするくらいだから

私はたくさん好きと言ってしまう、まあ全部流しててよ、といって了承を得ているし
こちらの気持ちは基本無視だから
あちらの気持ちも無視している
それでいいしこれがいい

友人への好きは
尊敬とか憧れに近いものだと気づいた
熱がぶり返した今日の朝のことだった
すべてどうでも良くなって家族も友人も恋人も全部私の前から消えてしまったと思った
そしたらこの友人に対する優劣とか比較とか好きとか愛とか重たいものが消えて
友人も消えそうになった
もう夏の暑さはいいや、
ジャケット羽織って秋っぽいことしたいな

駄菓子屋行ったり知らない駅おりて知らないスナックとか入って歌で人々魅了しようかな、
動物園で写生大会しようかな