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『きのう生まれたわけじゃない』横浜上映レポート

2月10日土曜日、『きのう生まれたわけじゃない』初日の横浜シネマ・ジャック&ベティでは、上映後に舞台挨拶を行ないました。登壇したのは、くるみさん、正木佐和さん、守屋文雄さんです。
「この映画がまた関東に戻ってきて嬉しいです」と、笑顔とともに元気溢れる正木さんの声。それぞれの自己紹介からスタートしました。

さて、映画が作られるまでにいったいどんなエピソードがあったのでしょうか。
守屋「10月中頃には監督主演だけ決まっていた状態で、台本を一緒に作りがてら出演もしてくれないかという話で。脚本がまだだったから、これは撮れないんじゃないか?と思ったんだよね」という撮影前の裏話が飛び出しました。会場は、その様子が浮かんできたのか笑顔に包まれました。そして、くるみさんが出演に至った経緯を話します。
くるみ「今泉さん(本作出演)と元々知り合いで、監督に話をして下さり、その後恵子さん(プロデューサー)も一緒にご飯を食べながらお話しして、2人とも気遣って話して下さったのがとても嬉しかった事を覚えています」
正木「2回目の打ち合わせが新宿ルノアールで、その日監督遅刻してきましたね〜」と懐かしそうに振り返ります。

左から守屋文雄さん、くるみさん、正木佐和さん

未完だった脚本はどうなったのでしょうか?
守屋「その後すぐに仕上げてきていました。凄いなあと思いました」
「私は七海に似ているところがあったので、気持ちが想像しやすいというのはありました。でも七海は私よりも強い子で、最初の印象からそうだったんです」と、しっかりした言葉で役柄について語ってくれたくるみさん。
くるみさんとの人間関係をあたためていく役柄の正木さんはどうだったのでしょうか。
正木「くるみちゃんは初主演でしたが、堂々としていましたね! カメラが回っていない場所でも一緒に遊んだりして。お互いの人間関係を構築出来たからこそ、自分の役(岬)に入りやすかったかと思います」
守屋「落ち葉で楽しそうだったもんね、二人ともね!」
思い出した! というように守屋さんが話します。こうした共演者同士の言葉のやり取りからも、互いの人間関係の良さと共に現場の雰囲気がなごやかだったことが伝わってきます。

守屋「監督が出演している時は、僕がスタートとか言ったりしたかな。監督からは今の良かったでしょう? と聞かれたりもしたから、監督自身が映る事を楽しんでいる感じがしたよね」
くるみ「楽しかったです。監督が、今日も頑張りましょう、楽しくやりましょうという言葉を毎日かけてくれました」
あたたかい空気が伝わります。

その他にこんなエピソードも!
守屋「お弁当美味しかったよね! 予算が少ない現場は、毎日おにぎり2個がひとつ減り……みたいな世界だけど、福間組はいつも美味しかったね」
正木「いっつも美味しくて、それが楽しみだったなあ」
監督の裏話も出て来ました。
正木「監督はアフレコが初めてだったようで、緊張していたのを見た時、あ!可愛いなあ〜って思って。それと、守屋さんが監督の側に居てきつめに言っている事がちょっぴりあって……」
守屋「予算が少ない上に何日かの中で撮りきらなきゃいけない、と考えた時に、映画を撮りやすいように、他の人に迷惑を掛けないようにばかり気に留めてしまいがちだったけど、監督は普通じゃない場所に手を伸ばそうとしていた。それにもっと寄り添えれば良かったと今振り返ると思います」
とても深い話が心に響いてきました。

そして、最後にそれぞれからひと言ずつありました。
守屋「わりと不思議な映画で、見ている間に色々考えると思うんです。そうやって頭の中に浮かんでくることが監督としては狙いだったのかもしれない」
なるほど! そう言われてみると、私がこの映画を何回も観ている理由も分かる気がしてきました。
正木「捉えどころの難しい映画だけれども、1回目2回目感じる事がその都度違うと聞きます。それを感じて欲しい」
くるみ「詩を書いている監督なので、素敵だと思う言葉が沢山出てきます。ひとつでも好きな言葉を持ち帰って欲しいです」

印象的なエピソードが沢山話されました。やり取りを幾重にも重ねていく中で、作り上げられていった作品なのだという事が改めて伝わってきました。
いらしてくださった皆さん、ありがとうございました。

横浜シネマ・ジャック&ベティでの上映は2月16日(金)まで続きます。
その後東京では、シネマ・チュプキ・タバタで2月29日(木)〜3月12日(火)上映と、『きのう生まれたわけじゃない』は、これから全国へ展開していきます。
皆さま是非一度ご覧くださり、人と人との繋がりをどうか体感してください!

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文責  酢とレモン