テクユニ13章・14章 小ネタ解説/考察/おすすめSF小説

【チャプター1 小ネタ解説】

SFの古典作品が好きな人からすれば一目瞭然でしょうが、13章に登場したアンドロイドの猫ピートは明らかにロバート・A・ハインライン「夏への扉」のリスペクトすね。

去年実写映画が公開されたりしてましたし、知名度はなかなかのものだと思いますが、猫のピートが主要登場キャラクターであることをどれだけのオタクが知っているのか、わたし、気になります!(氷菓風。そういえば氷菓でフロルベリチェリ・フロルのコスプレが云々という場面があり、めちゃくちゃ興奮した思い出があります。)

メインライターがSFラノベ作家ということで、SF小説の知識は豊富な方とお見受けしました。となると、おそらくボーラの元ネタは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で間違いないでしょう。
WGと何らかの関係があることがあちらこちらで示唆されているボーラにブレードランナーの要素がなかったら逆にびっくりである。
簡単に解説するとブレードランナーとは「PSYCHO-PASS」における執行官みたいな奴らのことです。

【チャプター2 考察】

月徒陰陽開心の曲のフレーズの中にある「約束の地」が気になって仕方がない今日この頃です。
テクユニは聖書の要素をふんだんに取り入れています。聖書で「約束の地」といえばただひとつ。カナンの地しかありません。出エジプト記です。
信徒を導く役目を与えられているコヨミは、もしかしたらモーゼなのかもしれません。
モーゼはユダヤ人を率いてエジプトを脱出し、途中で十戒を授けられます。長い旅の果てに約束の地「カナン」に到着します。が、モーゼはカナンに足を踏み入れることができませんでした。
神に対して疑いの気持ちを抱いたからです。
この文脈をコヨミに当てはめるとしっくり来ますね。自分が信じている神や教徒たちがすべて偽りの紛い物であったとしたら? モーゼ=コヨミの価値観には揺らぎが生じ、すべてを疑わずにはいられなくなるでしょう。
神を疑ったものは約束の地には辿り着けない=ノックスと同じ場所には行けないことの暗喩ではないだろうか……と疑っています。
しかしコヨミが他者を理解したいと言う度にファフナーの傷を抉られてしまい、とても辛いです。暉を思い出してとても辛い。世界を見る大切さを知り、人類軍のウォルターを許し、誰もが目を瞠るほど精神的に成長した暉が生きている姿を見たかった……。

林檎について
先日テクユニ公式ツイッターアカウントが月徒陰陽開心について「独特すぎる雰囲気のある彼らの曲」と意味深な発言をしており、あっ、と思ったことがあります。
林檎=電子頭脳破壊プログラムの正体って、音楽なのでは? つまり魔道祖師の金光揺が使った手段と同じなのでは? と。
もしも林檎が音楽であり、旋律であり、歌であるとすれば。それをコヨミが知らずに歌っている可能性があります。コヨミ以外のアンドロイドも歌っている可能性があります。
そしてそれをどこかでカイトが耳にしている可能性が浮上します。もしそうであればカイトが「これだから人間は信用できないんだ」と言い放った描写(林檎に汚染されている描写)があるのも納得できます。
また14章第1話で「月の恵」の教徒が「林檎など知らない。そのような薬物のことなどは」と発言しますが、薬物にわざわざ濁点が振られており、強調されています。つまり、林檎=麻薬はミスリードであり、薬物ではない可能性が強いということですね。マジか~~~~~!

【チャプター3 おすすめSF小説】

・アンディ・ウィアー著「火星の人」(オデッセイの原作)翻訳のコミカルさが最高!

・新井素子著「星へ行く船」シリーズ 新装版の表紙デザインがとっても素敵!児童文学?なので初心者にも読みやすい!

・逸木裕著「電気じかけのクジラは歌う」テクユニ好きさんにぜひとも読んでほしい一冊。近未来SF物で電子音楽と作曲がテーマのミステリー×物作りのお話。

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