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燃やされているから、燃えているように見える

アラサー女子4人でやっているこのマガジン、今週のお題は#あたしおかあさんだから。


アラマガのメンバーの中で唯一育児経験のあるわたしですが、この話題、正直なんとも思わないんですよねー。


元児童書担当の書店員なので作者のことは知っていましたが、最近の活動にも特に興味もなかったので、歌詞だけ見れば納得することろもあります。

新幹線の名前を覚えたりピタゴラスイッチを1日20回見たり、確かにお母さんじゃなかったらしてなかったことだし、子育て中だからこその制限や不自由もあるけど、子どもを持ててよかったのも全部事実。

飲み会やアーティストのライブでは遠征を含めて何公演も行ってたりしたけど、子どもを産んでから機会が減ったのも事実。


ものすごい反響になっていて#あたしおかあさんだけどってタグもついてるけど、子どもを産んで生活や価値観が変わるのは男性も同じだと思っているので、わざわざお母さんとかお父さんとか付けて反論するのも違うような気もしてる。

わたしはわたしです。


作者の生い立ちや最近の絵本の話題にまで触れて熱くなってる人を見るとむしろそのエネルギーに圧倒されちゃって…

毎日の育児で体力気力が疲れてるので、あまり感情的でネガティブな言葉に近寄りたくないんですよね。なんていうか負のオーラ?

どうせ時間を使うなら楽しいことをしたい。心のリソースを割く余裕もないのでコウノドリもサスペンス系のドラマも見れなくなっちゃいました。


と、距離を置いていたんだけど、このマガジンで取り上げることになったのでちょっと考えてみましたよ。


SNSが付け加える「バイアス」

この歌を家のテレビで初めて聞いたら、みんな違う感想をもったんじゃないかなーって。


だいすけお兄さんの歌
あたしおかあさんだけど
子どもを産む前と生活は変わったけど
おかあさんになれてよかった
あなたに会えたから


ってこれだけ見たら、人によって行間の感じ方は変わるだろうけど、肯定的になれた人も(今よりは)いたと思う。


でもこれが、

賛否を巻き起こしてる絵本を書いてる人が作詞で、
「こんなのあり得ないんだけど」って炎上してる歌
Twitterで話題になってる歌

として聞くと、もう「あり得ない歌」にしか聞こえなくなっちゃうんだよね。「おかあさんになれたから」を素直に解釈できないというか。

たぶん、このムーブメントではじめてのぶみを知ったアラマガメンバーもそうでしょ?
本当にフラットにこの歌詞を読んだって言える?っていうか歌聞いた?ちなみにわたしは聞いてません。



受け手の感性や解釈にゆだねるために作ってあった作品の余白は、口コミバイアスで埋められた状態でシェアされて届けられる。


同じことはムーニーのCMの炎上の時も思ったんだよね・・・

わたしはあのCMは素直に子育て中の孤独感をリアルに描いていると思った。
炎上ではワンオペ美化とか言われてたけど、どんなに子煩悩な夫がいても日中の孤独感でああいう瞬間ってあるよね?(少なくともわたしにはあった)

でもこういうフラットな意見はサイレントマイノリティとして追いやられていくのもまたネットの特性なんだよね。(もしかしたらマジョリティかもしれないけど)


数十秒の動画や数行の歌詞の外側を、みんなが勝手に私怨を交えて語るから、わけがわからなくなるのが炎上の正体だなぁとは感じます。
(炎上経験がある人ならわかると思うけど、「そんなことは一言も言ってない」に尽きる)

#あたしおかあさんだから →あたしお母さんだけど はまだしも、#おまえおとうさんなのに とかもうほんと怖い。まったく話がちがう。

ちなみにツイッターでは話題かもしれないけど、(少なくとも私のまわりの)ママ友の間では特に話題にもなってませんね。来週の行事とか持ち物とかインフルエンザ対策とかの情報交換に忙しいので!


現代の広告・アートの課題

いまはSNSで情報の拡散スピードが速い。作り手がつくったつもりの余韻や余白は、簡単に埋められて広まる。

だからこそ、テーマや主張がぶれないような「締め」に工夫を凝らさないといけない。誤解が入り込む余地は作ってはいけない。

解釈の余地こそが芸術の価値だけど、今の社会のスピードでは丁寧にじっくりと解釈してもらえることなんてまずないです。


今回の歌詞だと誰が見ても「応援歌だ」と感じるようなものでないといけない。作り手が解説したり釈明せざるを得ないものは表現として不適格。

となると、わかりやすく単純なモノばかりになっちゃうけどね。でもそこが作り手の腕の見せ所かなぁとも思います。

要するにセンス。そして人柄。この人が言うからこう感じるってやつ。つまるところ発信力や影響力。

これはクリエイターだけでなくライターやブロガーにも言えることですね。自戒。


少なくとも今回の歌に関しては、「この人が書いた歌詞」の影響力を読み切れてなかったマーケティング不足が問題だと思いました。

この人が書いたから・男性が書いたからってコメントたくさん見ました。

どういうことがうたわれているかより、どういう人の言葉かのほうが受け手にとって重要。これが現代社会のスタンダードです。


と、ここまで書いたところで私よりもっとわかりやすく解説されてる記事を見つけたよ・・・納得。

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