液状化

液状化のメカニズム

 緩く堆積した砂地盤が地下水で飽和されていると、地震動による繰り返しせん断力を受けたとき、負のダイレイタンシー(せん断変形に伴って体積が減少する現象)に起因して過剰間隙水圧が発生する。その結果、土粒子骨格に働いている有効応力もせん断強度もゼロのなる。これが液状化の発生メカニズムである。

液状化対策

 現在の液状化は次のように要約できる。液状化を防止する場合は、これらの中から状況に合わせて最適な防止対策を選択する必要がある。

(1) 密度の増大
 ゆる詰めの砂地盤は土粒子のかみ合わせが必ずしも堅固ではない。そこで、地盤に振動や衝撃を加えて締固め、密度を増してせん断強さを増大させれば液状化を防止できる。このような考えに基づく対策工に「サンドコンパクションパイル工法」がある。液状化対策として最も実績があり、1978年の宮城県沖地震などでその効果が確認されている。また、「バイブロフローテーション工法」も同様な考えに基づくもので、振動と水締めの効果によって砂地盤を締め固める工法である。この対策工による効果も1968年の十勝沖地震で確認されており、緩い砂地盤には極めて有効であると言われている。

○サンドコンパクションパイル工法
 工法:強固に締固めた砂杭を地中に造成して地盤を改良する工法で、粘性土地盤では複合地盤を形成し、せん断抵抗力を増すとともに砂杭の透水性の高さが沈下を早期に安定させ圧密沈下量を低減させる。砂質土地盤では原地盤の相対密度を高め、せん断強度を増加させる。
 特徴:様々な地盤に適用可能
    確実性・経済性に優れている
 課題:良質砂が入手困難な可能性あり(または不経済)
  →砂の代わりに砂利や礫を使うことができ、スラグ、コンクリート廃材等を有効利用が可能
    振動・騒音の影響が大きい
    周辺地盤の変位が大きい


(2) 間隙水圧の消散
地震動により負のダイレイタンシーが生じても、地盤の透水性が高ければ過剰間隙錘あるは低く抑えられる。そこで、砕石のような透水性の良い材料を地盤に柱状あるいは壁状に打設し、その非排水効果によって過剰間隙水圧を速やかに消散させる。これがグラベルドレーン工法の考え方である。砕石の代わりに穴あきパイプを地中に打設するパイプドレーン工法と呼ばれるものもある。

○グラベルドレーン工法
 工法:砂地盤中に砕石のパイルを設けることで水平方向の排水距離を短縮し、地震時に生じる間隙水圧の上昇を抑止して、液状化を防止する。市街地など振動や騒音が懸念される場所での施工や既設構造物周辺での施工も可能な液状化対策工法です。
 特徴:装置が簡単で工事も比較的安い
    施工時の騒音・振動が小さい(無振動、低騒音施工が可能である。)
    施工時に発生する周辺地盤変位はほとんどない。
課題:地震後に排水に伴う沈下が発生する可能性がある。
   細粒分含有率が大きいため、適用が難しい。

(3) 地下水位の低下
 土粒子間の空隙が地下水で飽和されていなければ、過剰間隙水圧が発生することはない。そこで、「ウェルポイント工法」や「ディープウェル工法」で地下水位を下げ、地盤の飽和度を低下させるとともに、土粒子骨格の有効応力を増大させれば、液状化発生の危険度を低減できる。

○ディープウェル工法(地下水低下)
工法: 対象砂質土中に 0.5~1.2m の径で削孔し、直径 0.3~0.8m のストレーナー管を挿入して、その周囲をフィルター材で充填して井戸をつくる。その中に排水ポンプを設置・揚水することにより地下水位を低下させる工法である。
 特徴:広範囲の地下水を少ない本数で低下させることができる。
目詰まりや故障に対する補修が可能であり、長期連続運転性に優れる
 課題:シルトと砂質土の互層地盤などでは集水能力が落ちる地盤沈下を伴う可能性がある。

(4) せん断変形の抑制
 地震動によって繰り返しせん断を受けても、せん断変形が小さければ過剰間隙水圧の発生は少なく、液状化の発生までには至らない。そこで、構造物の周辺にシートパイルを打設したり連続地中壁を設けることにより、地震動によるせん断変形を抑制する対策が考えられる。また、「深層混合処理工法」や「薬液注入工法」で地盤の固結度を高めれば地盤剛性が大きくなるので変形を小さく抑えることができ、シートパイルや連続地中壁よりは効果的である。

○深層混合処理工法(格子状改良)
 工法:セメント系等の改良材を水と混合して地盤に圧送し、攪拌翼により攪拌混合することにより地盤中に強固なセメントパイルを造成する。地盤を格子状に改良し、固化体で囲まれた砂地盤のせん断変形を抑止することにより、液状化の発生を防止する。
 特徴:低騒音・低振動の施工が可能である
    基礎構造を直接基礎と出来る。
 課題:必要に応じて強度の調整が可能である。


(5) 粒度の改良

 液状化が予測される砂質土を透水性の良い砂礫や砕石等で置換して粒度特性を変える置換工法がある。対象地盤が浅い場合に有効的である。


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