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ルワンダに渡ったスポーツチャンバラ6(評価5項目を用いたプロジェクト評価)

ルワンダで2013年にスポーツチャンバラを教え始めてから、早くも6年目になりました。本業とする国際技術協力プロジェクトであれば、長くても一つのプロジェクトは5年で終わるので、私のスポチャンプロジェクトも、もう第1フェーズは終わりとなります。そこで、プロジェクト終了時評価のような趣旨で、現在の状況を見ようと思います。本業のプロジェクトは国際的によく利用される5項目評価という枠組みに沿って評価されるので、それに沿って評価したいと思います。5項目評価とは、1. 妥当性、2. 有効性、3. インパクト、4. 効率性、5. 持続性です。これらを厳密に当てはめるためには、そもそも、プロジェクトの明確な設計が必要ですが、そこは偶発的に始まったプロジェクトなので、まあ、かなり良い加減になることをご容赦ください。

1. 妥当性

これは、相手国側のニーズに合致しているかどうかが最も問題となるところですが、スポーツチャンバラの競技者人数が既に300人近くなった事実から、十分にニーズはあったと言えます。また、私は、国際的に認められた「国際スポーツチャンバラ協会(ISCA: International Sports Chanbara Association)」の公認師範代であり、従って、ISCAからの公認段位を生徒達に授与しているなど、妥当な技術を提供していると言えます。

2. 有効性

この項目は、プロジェクト目標が達成できたかを問われるところです。スポチャンプロジェクトは明確な目標が設定されていた訳ではないのですが、私は武道として教えています。そして武道とは、弱者が弱さを克服して力強く生き残る道と考えます。これに照らし合わせれば、たくましく成長したインド系の少年、健康と若さを取り戻した初老の男性、中等学校を卒業後にスポチャンの人脈で職を得た青年、スポチャンをルワンダ東部に広めて大活躍中の少女など、スポチャンとの出会いで生活の質が向上した人々は多く、そうした人々が力強く生きることへ貢献ができたと言えます。

3. インパクト

有効性ではプロジェクトの目標が達成できたかが問われましたが、逆にこの項目では、当初予想しなかったことに対する正負の効果を検証します。予想しなかったこととしては、ルワンダにおいても、スポチャンより歴史の長い空手団体から多くの生徒の流入があります。両者ともに日本文化に立脚した打撃主体の武道という共通点があるため、お互いの交流が進んだと考えられます。そして、お互いに各々を補完する良い効果が見られます。例えば、スポチャンは、かなり自由なところがあり、それが行き過ぎると日本の武道文化である礼節が疎かになりかねないのです。ところが、礼節がしっかりしたカラテ家達の流入によって、その危惧が無くなりました。また、空手から見るならば、スポチャンでは柔らかい武器を使うため、気兼ねなく相手を思い切り叩いて技を試せる利点があります。

4. 効率性

これは、投入と成果、もしくは、コストパフォーマンスを問う項目です。これについては、かなり自信があります、というか、国家間のプロジェクトのような資金源がないところで自腹を切ってきたので、投入量は自分の本業の方と比べれば、100分の1以下です。投入量である分母が絶対的に小さいところで300人近くが受益者になっているならば、効率性が低い訳はありません。

5. 持続性

これについては、政府事業であれば予算的な裏付けが必ず問われます。この財政的観点からは、スポチャンに対する十分な資金源は今のところ確保されていないので、弱いと言えます。ただし、民間事業と位置付けるならば、今後、収入が十分に見込めるビジネスモデルを確立して、持続性を担保することも考えられます。逆の言い方をすれば、財源がないところで、これだけ活動が広まっているのであるから、参加者のコミットという意味では非常に持続性が高いとも評価できます。

まとめ

以上、自画自賛と取られかねないような評価結果となりましたが、私はそう思っていません。なぜなら、自分のインプットはあるものの、ルワンダでここまでスポチャンが発展したのは、むしろ、現地で頑張っているスポチャンのメンバーのお陰と考えているからです。ベンジャミンをはじめとするコアメンバーはもちろんのこと、末端でそれを支えるメンバー達、みんなのお陰で、この活動が大きく育っているのです。

おまけ

最後に、百聞は一見にしかずなので、先月、キガリで開催され、私が講師を務めたスポチャン講習会の様子を下に示します。これは現地のニュースで紹介された時の動画です。言語はルワンダ語なので分からないと思いますが、雰囲気だけでも感じ取っていただけるならば、幸いです。


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