日記(2022/06/19)

家で映画見れる集中力が戻ってきた。なので今日は見れるだけ見ようと思ってまず1本目ジョン・フォード『メアリー・オブ・スコットランド』。1936年作。キャサリン・ヘプバーンがスコットランド女王役。やけに顔が長くて四角いジョン・キャラダインは途中で殺される側近役。この人のシルエット、独特で好き。ジョン・フォードもやっぱりそう思っていて、この人の影だけを印象的に撮ったカットがある。身体のパーツがワルイージみたいに全部長い。そして触ると堅そう。映画は最後の女王処刑の場面が素晴らしい。やっぱり白黒映画では雷を見たい!キャサリン・ヘプバーンが処刑台への長い階段を歩くところをカメラが正面やや俯瞰で構えているかと思うと、ヘプバーンがこちらに向かってくるのに連れてカメラは次第にヘプバーンと正対する。この堂々としたカメラワークとヘプバーンの足取り。
デカルト読んだり間食挟んだりして2本目ロバート・バトラー『ジャグラー/ニューヨーク25時』。渋谷のTSUTAYAで行くたびに借りられていたやつ。大人気なのも分かる。めちゃくちゃ面白い。少女誘拐犯と父親のチェイスをひたすらひたすらこれでもかと見せてくれる。ニューヨークという街のごちゃつき感、人種問題とルサンチマン入り交じった男たちのむさ苦しい殴り合い、暴力刑事のイカレきった目つきなど、映画そのものがギンギンに興奮しきっている。本当にただただ面白い映画!それにしてもニューヨークってこんなに治安悪いのか?この映画で見る限り地獄なんだが。
夕食と風呂挟んで3本目ジョン・フォード『黄色いリボン』再見。IVCのブルーレイ、ほんまに1949年の映画か?ってくらい美しい映像でびっくりし続ける。インディアンが唐突に放つ矢がアメリカ人の武器商人の胸に真っ直ぐに突き刺さる瞬間が両者の切り返しショットによって提示され、その暴力の唐突さとあまりにもストレートな提示の仕方に心底ビビる。全編にわたってほのぼのとした大らかさが漂うなかでこのショッキングさはどこか突出している。暴力的といえばこの前見た『アパッチ砦』でも感じたが馬の疾走はめちゃくちゃ暴力的だ。隆々とした筋肉、巻き上がる砂埃、蹄鉄の音、すべてが。自動車や機関車の無機質な暴力性とは異なる、「生きている物の暴力性」としか言いようのない、このみなぎったバイオレンス。速度の制御を一切考えてない感じ。現代の整備された車道につきまとう厳密な交通ルールが恐らく存在していなかったということもあるのだろうが、それよりもやっぱり対向車(馬)が存在せず、全ての馬が同じ方向を目指して走り続けるというのが大きい。

久しぶりに1日に何本も見て疲れる。たとえ休日であっても映画は一日に一本と決めておく方が幸福感あると最近は思うようになった。

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