日記(2022/06/29)

ジョン・フォード『シャイアン』見終わる。154分の大作。最近の映画で154分といってもそこまで長尺ということには多分ならない。そもそも大作っぽい大作って作られてないというか、長くても短くても映画は映画、というフラットな認識になってる。往年の映画は二時間半を越すとおおむね大作の風格を帯びる、たとえ駄作であっても。このオープニングクレジットの原色と文字溶暗のタメ具合、謎のブロンズ像、等々から漂う説明不可能な「あ、昔の大作映画だ、という感じ」。本編について。ちょうど半分にあたる77分の時点でジェームズ・スチュアートがワイヤット・アープに扮して展開するドタバタの幕間劇が始まるという律儀さには言及しておきたい。そしてこの気の抜けた挿話が一番楽しかった。大筋としてはインディアンを敵として描いてきた西部劇の歴史に対する反省が描かれ、たとえ無能な上官の命令であっても軍人であれば反抗せずに従うことを徳とした『アパッチ砦』のラストと正反対のラストがここでは描かれているが、インディアンとの、あくまでも「白人の法の元での」和解が描かれるラストシーンにおいて、よりによってこの重要な場面でスクリーンプロセスの映像をバックに芝居をするエドワード・G・ロビンソンにどうしても滑稽さを感じてしまう。おじいちゃんだから体調的にロケ無理だったのかな。

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