統計のウソ

AさんとBさんが宅建試験の勉強法について話しています。

Aさん
「宅建の独学合格者は1割しかいない。9割は資格予備校を利用している」

Bさん
「えっ、独学が1割!?そんなに少なくないでしょ?」

なぜ、2人の認識が違うのでしょうか?

Bさん
「独学合格が1割って信じられない。何のデータ?」

Aさん
「資格予備校がデータとして出しています」

確かに「独学が1割」と書いてあります。
しかし、それと併記して、
「※公式発表ではなく、弊社予備校に登録している会員向けのアンケート結果」とあります。

謎が解けました。
「資格予備校に登録している会員に、"予備校を使いましたか?"と聞いた」ということです。

データに偏りが生じるのは当然のことです。

そのことをAさんは伝えずに、
「独学合格者が1割。データもある」とだけ言っているため、
Bさんの認識とは違っていたということです。

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「その正確なデータが人に意味を与える時にしばしばウソをつく」
(『カモのネギには毒がある』より)

漫画『カモのネギには毒がある』では、
正確なデータを用いても、与える印象が違ってくることを説明しています。

例えば、紅緒の資格講座が、
「合格率80%!※アンケート回答者を分母として算出」
だとしたら、あなたはどんな印象を持ちますか?

「合格率80%って凄い!」と思うでしょう。

はい、「凄い」と思ってほしくて「合格率80%!」と書きました。

しかし、全受講生が100人で、
合格者が20人です。
(念の為ですが、ずっと仮定の話をしています。)

このままでは「合格率20%」になってしまい、低いと思われてしまいます。

全受講生100人にメールでアンケートを実施したところ、25人しか回答してもらえませんでした。
合格者の20人は全員回答してくれました。
合格したことを伝えたいと思ってくれたのでしょう。
しかし、不合格者だった受講生は「自分が落ちたことをわざわざ言いたくない」と思ったのか、ほぼ全員が回答してくれませんでした。

このデータを使いたいと思います。
「アンケートを実施したところ、回答のあった25人のうち20人が合格、5人が不合格と回答。つまり、20人÷25人で8割。」

「合格率80%!※アンケート回答者を分母として算出」
これで合格率を20%から80%にすることが出来ました。
きちんと「アンケート回答者を分母」と書いてます。
正確なデータを用いました。ウソは一切ついていません。

このようにどのデータを使うかで、全く違う印象を相手に与えます。

詳しくは、カモネギ第7巻を!

https://www.amazon.co.jp/dp/4088931777

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