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2023年・超個人的この商業BL漫画がヤバい⑧(R18): 加藤スス先生

今年ハマって全作品買ってしまった作家さんが何人かいるのですが、中でも特に好きになってしまった作家さんのひとりが加藤スス先生。

すっきりした線の今っぽい絵柄でありつつも色気があって表情豊か、加えてストーリーやセリフのテンポが良くて笑わせてくれる。コメディっぽいBLを描かれる人のなかでもセンスがずば抜けてるな〜と思います。

FEEL YOUNGとかに載ってそうなシャレオツな恋愛漫画とかも描けそう。でもこの人の作品はBLがとってもいいのでしばらくBL作家さんでいて……!


『24時間オチないKISS』

化粧品会社デザイン部門で働く滝沢含むデザイナー陣の悩みの種は、営業部出身のザ・体育会&リア充系上司・徳良。
無理難題を悪気なく押しつけ、飲み会では理想論を熱く語る…。そんな徳良に滝沢は、イラだちを募らせるばかり。
しかも飲み会後、「男は全員参加!」と無理やり風俗に連れて行かれてイライラは頂点に。
頑なに帰ろうとする滝沢に、徳良は「セックスは大事だぞ!」と勝手に盛り上がり先輩風を吹かせるが、ついに滝沢の我慢も限界に…。
「そこまで言うならどーぞ教えてくださいよ、先輩」
クールな年下デザイナー×営業マン系ちょいウザ上司のスキャンダラスなオフィスラブ!

コミックシーモア 紹介文より引用

なかでも好きだったのがこの作品。

徳良は今どき前時代的なオラついててテンションが高く押しが強い、ウザ系上司。営業の男子たちからは強いリーダーシップで慕われているけど、デザイナー職の社員からは迷惑がられてる。

デザイナー職のなかで唯一の男子の滝沢はそんな徳良のウザさに諦めモード。けれど、女性との恋愛にたいして消極的な滝沢に徳良はしつこく説教してくる。ついにキレた滝沢は徳良を押し倒して……?!

……っていう話なんだけど、このテンション高くてウザいリア充系上司と冷めてるけど仕事への情熱はあって、いざとなるとSっ気を発揮してしまう部下っていうキャラ設定が最高〜〜!!

BL界隈の作品ではノンケだとしてもあんまりこの作品の徳良さんみたいに風俗で遊んだり社内の女の子にバンバン手を付けたり、みたいな描写って少ないと思うんですよね。女子から反感買うからだと思いますけど。

このゴリゴリのノンケの徳良さんが滝沢との関係が深まってくに連れ、エロ可愛くなってしまうのが超よい!!性格にもデリカシーがなく、相手の気持ちを考えるようなタイプではなかったのに滝沢の教育?の賜物か、徐々に今までよりも部下たちに対して思いやりのあるアプローチができるようになっていくんですよね……。

これは……まさに一人の男の成長物語である!!!

滝沢に異動の話が出て、彼を手放したくなくて空回りしたりするのもいいし、これってエコ贔屓かな?とか思いつつもその気持ちを隠しきれないところが可愛い。

そして滝沢にも変化が……!暑苦しい営業職の男子たちとは関わらなかったのにだんだん仲良くなっていくし、かなり冷静で大人な性格なのに徐々に徳良への独占欲&嫉妬心を燃やし始めるのがまた良き。そしてメイクをしておセッセするのが好きとかいう変態性を時おり発揮したり、わりと性的にはイニシアチブを取ってるのも良き……!!

二人の関係性にも萌えどころがたくさんあるんだけど、モブの人たちもみなキャラが立っていて愛らしい。二人の関係に気付いてしまって動揺する男子たちや、あくまでも徳良に冷たい女子たちのギャップがよいですね。社内の人たちとのわちゃわちゃしたやり取りがテンポ良くて笑える。

2巻では恋愛モノではお約束の当て馬キャラが出てくるんだけど、普段は冷静沈着な滝沢のギラギラした嫉妬心が見えてキュンとしました。無自覚な徳良さんってば、罪作り〜。徳良のよいところはちゃんと自分が悪かったところは反省して謝ったり出来るし、案外素直に自分の気持ちを吐露できるところですね。

滝沢が水と油みたいな関係性だった徳良にハマってっちゃうワケにどんどん説得力が出てくるので1巻で徳良みたいな奴、いやだなと思ったひともぜひぜひ2巻まで読んでもらいたい…!

そして、そのあとの単行本には未収録で配信だけされてる続編も読んでいただきたい。自己啓発本で自分の自信(主に性的な部分の)を取り戻そうとする徳良さんの健気な姿が見れます。

2巻で一応完結となってるみたいだけど、また続きが描かれることがあるのでは……?!と期待してます。お願いです……描いてください……!


この『24時間〜』と同じ世界線の作品がこちら。

『巧みなKISSで受注して』

大嫌いだった元同級生が
えっちなお兄さんになってました

大企業の御曹司・広瀬は、実力勝負がしたいと化粧品会社へ中途で入社。
しかし野心は空回るばかりで、くすぶる日々を送っていた。
そんな中、仕事現場で高校時代の同級生&部活仲間だった安達と再会する。
安達は、若くして施工会社の副社長を任され、部下からの信頼も厚く、相変わらず完璧な男前であった。
広瀬はそんな安達が、昔から嫌いだった。
仕事上の取引相手となった今、どうにかマウントを取りたい広瀬だったが――
「なんでこいつ、こんなに具合イイんだよ!?」
極上アニキに陥落寸前!!!

コミックシーモア 紹介文より引用

「24時間〜」と同じ化粧品会社が舞台の作品。あちらはプチプラコスメの部署だったけど、こちらはブランドコスメ部なんですね。途中、チラっと徳良と滝沢が出てくるのも嬉しい。他の部署の男どもに徳良さんは人気のようで滝沢くんがイラっとしてるのが可愛いですね。


大企業の坊ちゃんの広瀬は転職してきたものの、やる気が空回りして周囲からちょっと浮いてしまっている。プライドが傷つく日々を送っているなか、現場に施工業者として来ている高校時代の同級生・安達に再会する。

安達はサッカー部でもライバル、好きな子を取られたという恨みもあって天敵認定していたのだけど、その安達は今や会社の副社長、部下からの信頼も絶大でますます広瀬のコンプレックスは刺激されることに。

けれど酔いにまかせてなんとなくいい雰囲気になってしまった二人がいざコトに及ぶと、陽に焼けた褐色の肌&めちゃくちゃ性格も見た目も漢らしい安達が実は受だったという……

はい!逞しい受の方が好きなわたしにとっては僥倖でしたね。ありがとうございますと言いたい。

しかも安達、外ヅラは頼れる凛々しいアニキだけど、広瀬にはすごく甘くて優しい……!愚痴ったり泣いたりする広瀬を言葉だけでなく色んな方法で励ます姿は、けなげかつエロい!

広瀬も安達に甘やかされてどんどん居心地良くなってハマっていってしまう。安達がどうやら自分以外とも遊んでいるのを知って恋人でもないのにぐちぐち言う姿はうっとうしいけど可愛い……

広瀬に対する長年の片思いがようやく実ってどんどん包容力の強いおかあさんみたいになってる安達もとってもよい。需要と供給が一致した最高のカップリングです。

『俺のアオハルは渡さない』『俺のアオハルが進まない』

クールな王子様系キャラで、学校イチのモテ男グループに属する昴(すばる)。でも実は、大の少女漫画好きの超純情ピュアボーイv 少女漫画を聖書(バイブル)に、理想のヒーローを目指して日々奮闘中だ。ところがある日、そんな昴の本性を知っている旧友・陣内(じんない)が転校してきて大慌て!  「俺のアオハル計画は絶対に邪魔させないからな!」けれどなぜか陣内が相手だと、まるで愛読書のヒロインのように胸キュンが止まらなくて!?

コミックシーモア 紹介文引用

スス先生の他の作品とはまたひと味違って、青春ラブコメのようなこの作品。大好きだった、ドラマ化もされた『消えた初恋』のような世界観……!
あちらよりもちろん色気あるシーンもたくさんあるけどそういう場面もめっちゃ可愛いです。

ちょっとヘタレで鈍臭い姿を隠して、高校ではクールでイケメン王子様風に振る舞っている昴。本当は少女漫画の恋愛に憧れ、いつか登場人物のようにかっこいい自分で女子とお付き合いすることに憧れている。

けれど根っからのドジっ子の愛されキャラでなかなか理想の王子様的振る舞いが出来ない。転校してきた中学の同級生・陣内のせいで余計に計画は狂いっぱなし、あげく王子様的な行動をしてるのはどう考えても陣内の方で……

夢見る男子の昴が陣内のスマートな振る舞いにどんどん乙女な部分が爆発して好きになってっちゃうのが萌える!そこに他の友達も絡んできて、まさに『ママレード・ボーイ』的な展開に…!!!

続編ではこれまで大人っぽく振る舞っていた陣内が昴の言葉に動揺して珍しくテンパったり空回ったりするのもよい感じ。こんな青春を送りたかったよ〜〜(かなり特殊だけど)

純粋な昴がすぐ色んな少女漫画の影響受けちゃうのもいいし、陣内がそんな昴を愛おしく思ってるのがいい。他のF4(※花男)メンバーみたいな友達との関係性も最高〜。


スス先生の作品にはクズなキャラも純粋なキャラも、ヘタレも有能な人もいてそれぞれ愛おしさが溢れていてすごい!

たぶん出版されてるものも配信のみされてるものも全部読んでしまったけど、どれも好きです。オリジナリティの高いストーリー、独特の間で繰り出される台詞、ちゃんとしたエロ描写がクセになる〜!!

『いけにえもんぜんばらい』とか『アンアンコールが鳴りやまない』なんかも最高でした。

色んなシリーズを並行して描かれてるっぽいので次に何を描かれるのか楽しみ。けど、一番『24時間〜』の続編が読みたいです、お願いしますお願いします(再)


つづく。


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