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モウリーニョVSポチェ~組織戦略論から~

はじめに

 初noteです。ベンDです。お手柔らかに。

 今回は、「スパーズをひとつの企業として見たときに、組織戦略論的な観点から、監督を中心として、戦い方やスカッド構成はどのように決まっていくのか」ということを書いてみた。

 最初に組織と戦略に関する一般論を述べた後、スパーズについてポチェッティーノとモウリーニョを通して考察する。

 僕は大学で経営学の組織論についてほんのちょっとかじっているので、このテーマにしてみた。戦術分析ではない。できない。

「組織」と「戦略」の関係性について

 本題に入る。とりあえず読み進めてほしい。組織戦略論にはどちゃくそ有名な学説がある。

①「組織は戦略に従う」

②「戦略は組織に従う」

 前者はチャンドラー、後者はアンゾフという経営学者が唱えた学説。

 社会でどれくらい使われているのかは社会に出たことがないので知らないが、経営学系の大学生、卒業生は耳タコなはず。

 企業が存続し成長していくには、経営の目的・目標を達成しなければいけない。その達成には「戦略」と「組織」が不可欠であるが、「戦略」と「組織」に整合性がなければ、経営はうまくいかないらしい。だから、「戦略」と「組織」の関係性を理解して、両者に整合性を持たせようというもの。上記の相反する2つの考え方の違いが、結果的に企業の将来の姿に大きく影響する。らしい。

 ごちゃごちゃ書いたが、いまからサッカーに例えて説明する。
 実際は、会社の組織構造はもっと複雑だが、今回は、単純化のために監督を経営者、スカッドを会社と考えてほしい。
 

①「組織は戦略に従う」

 ①「組織は戦略に従う」については、リバプールを思い浮かべてほしい。
 クロップが掲げる「ゲーゲンプレス」「4-3-3」のような鮮烈で明白な戦略・戦術があり、それに適した選手を埋めていくやつ。
 優秀なスカウティングであれ、巨額の移籍金であれ、クロップの思い描く「戦略」を実行できる人材を連れて来て、最適な「組織」を作り上げたのである。

②「戦略は組織に従う」

 ②「戦略は組織に従う」については、シーズン途中に残留を目標に就任する下位クラブの監督を思い浮かべてほしい。
 シーズン途中に就任した監督は、「俺の理想とするフットボールは華麗なパスサッカーだ!今の選手じゃ体現できない!」なんて言ってられない。今目の前にいる選手たちにできて、最も勝てる(負けない)フットボールをしなければいけないのだ。
 結局ドン引きカウンターサッカーに落ち着きがちなのは置いといて、要するに、現状の「組織」の下で最適な「戦略」を見つけ出す。

小括

一つのチームで例えるなら、移籍・補強については戦略ベース、シーズンを通しては組織ベースで考えることが多いのではなかろうか。

 注意してほしいのは「戦略」と「組織」のどちらが先行するのかということが重要なのであって、どちらが正しい・優れているということではない。
 現実には、戦略と組織は相互規定的(互いに影響し合う)のであって、常にループしていくものだ。
 どうやらアメリカ人とツイッタラーは二元論が大好きらしいので、ほんとに注意してほしい。何事も中庸が大事と偉い人が言ってた。

ではスパーズは?

 さて、やっとスパーズについて触れられる。今説明したことを頭に入れて、監督交代を社長交代と考え、両者について①「組織は戦略に従う」型なのか②「戦略は組織に従う」型なのか見ていこう。

 題名では「モウリーニョVSポチェッティーノ」と書いたが、サッカーキ○グみたいに注意を惹きたかっただけであって、ジョゼとポチェに対立構造があるわけではないことを先に述べ、謝罪する。

 ポチェッティーノ

 結論から述べると、ポチェは②型だったといえよう。そしてそれがうますぎた。

 就任当初からCL決勝後まで、フロントの補強方針やチームの財務状況から決してポチェの理想とするスカッドを作り上げたことはなかっただろうが、「組織」から最適な「戦略」を実行していた。だから、3-4-2-1や4-2-3-1といった様々なフォーメーションを駆使し、多くのけが人を出しながらも結果を残してきた。

 逆に言うと①が下手だった。今シーズンはタンギやロチェルソなど、ポチェの理想とするスカッドに近づける補強ができただろう。
 しかし、蓋をあけると待っていたのは悪夢の4-3-1-2。チーム内の不和があったのかなかったのかイマイチわからないが、策定した戦略が間違っていたのも失敗の一つだろう。もしかすると、戦略が組織に悪影響を及ぼしたのかもしれない。

モウリーニョ

 これも結論から言うが、僕にはわからない。中途半端で申し訳ない。
 就任前のイメージは①型で「戦略」に基づいて、大型補強をバンバンして強くなる監督だと思っていた。
 が、今はよくわからない。現時点でスタメンは固定だが、明確なプランAが見えてきたわけではないし、戦い方もコロコロ変わる。
 「戦術家ではなく戦略家」といった表現もちらほらみられた。この表現は、一見矛盾するが②型である。シーズン途中就任でスカッド構成が歪なことを考慮すると、今は②で来シーズンは①色が強くなるかもしれない。

 ものすごく楽観的に解釈するならば、①と②をハイブリッドに行える監督なのかもしれない。だからこその過去の輝かしい栄光なのかもしれない。過去に指揮したクラブを詳しく見ていた方がいらっしゃるのであれば教えてほしい。

 とにかくわからないので、来シーズンを待ちたい。

 モウリーニョについては中途半端になってしまったが、最後にスパーズとしてはどうなののか。
 てっきり、補強方針もジョゼのために①型に変わるのかと思いきや、ホイビュアを最安値でとろうとしているムーブから、大きく変わったわけでもなさそうである。
 今後も指揮官が欲しがったのか、レヴィが欲しがったのかよくわからない選手も出てくるだろう。その時は、「私の戦略に適さない」なんて言ってられない。

 この先は、わからない。

終わりに

 実際、この組織と戦略の関係性について分かったところで、この話はそれ以上でもそれ以下でもない。また、無意識にこの思考は行っているものであり、言われてみると当たり前のことだと思うかもしれない。「こういう見方もあるんじゃないの」くらいにとどめてほしい。

 すこし強引な考察もあったかもしれないが、所詮趣味の域を出ないので論理の正確さにはこだわっていません。

 これからも、組織論的な観点からスパーズについて述べたいが、適当にぼやきに使うかもしれないし、これが最初で最後になるかも。

 なにはともあれ、最後まで読んでいただきありがとうございました!!


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