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人生、タイムスリップ

人生とは何か。

海外のお寺に行って偶然見かけた壁画がある。
説明では、人間の人生を一つの画として表現したものらしい。

仏説譬喩経という仏教的な視点からの思想らしい。

もう20年ぐらい前になるが、初めてこの画を目にした時には
なんとも自分の中でインパクトが強かったものか。

最後の晩餐、モナリザのような一生忘れようとしても忘れられない画というものが誰にでもあると思うが、まさにそれに近い感じがした。

画にあるオブジェにはそれぞれ象徴しているものがあり、それらすべてが一つの画として、ストーリーがあり、教訓を与えるというものだ。


作品はこれ!!


ストーリー
ある男が大きな野原を歩いていたら、暴れ狂った一匹の象にであった。

彼は、驚き、後ろも振り返らず逃げ出し、古き井戸にのしたに伸びた藤づるを握りようやく危機を免れることができた。

だが、その中には他の敵が待っていた。
井戸の底で毒蛇が毒気を吐き出している。

上には狂った象がいて、下では蛇が舌を出しているので、
どうすることもできない男は、
唯一の頼りである藤づるだけでこらえていたが、
どこからか馬の蹄のような音が聞こえてきた。

おかしく思った男は、耳を澄ましその音を聞いていた。
しかし、それは彼を助けに来た人が乗る馬の蹄ではなく、
自分が掴んでいた藤づるを白と黒のネズミが交互にかじっている姿
であった。

なんとも数奇な運命の男であろうか。
彼はぼーっと空を見上げた。

すると、木の枝には何匹かの蜜蜂が巣を建てようと飛び回っていた。
巣から飛び立つ度に落ちてくる蜂蜜が4、5粒。
舌に蜜が落ちた瞬間、彼はすべてを忘れ夢中になった。

そんな中、大地では火が起きはじめ、燃やせるものはすべて燃やしてしまった。



という話だ。
では、ここでオブジェは何を意味しているのか。

野原は、
無名長夜を意味する。
無名長夜とは、無明にとらわれて、真理に目覚めがたいことを、長い夜にたとえた語。


は、
人生を意味する。


は、
無常を意味する。
無常とは、人の死。


井戸は、
生死を意味する。


藤づるは、
命綱を意味する。


白と黒のネズミは、
昼と夜を意味する。


毒蛇は、
死を意味する。


蜜蜂は、
無駄な考え、つまり雑念を意味する。


蜂蜜は、
五欲を意味する。
五欲とは、財欲・色欲・飲食欲・名誉欲・睡眠欲の五つ。


は、
老いて病むことを意味する。
上の画には炎がなかったので、他の同じ画ではこんな感じになる。


この画の教訓は特に説明しなくても想像がつくと思う。
久しぶりに20年前の海外のお寺にタイムスリップした気持ちになった。

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