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10年ぶり2度目の失恋って、甲子園かよ。

ドルチェ&ガッバーナの香水で色々思い出す人もいれば、町の風景で思い出す人もいる。

まさか私に、日常的によく見る風景でズキってなる日が来るとは思わなかったよ。ドライブで家まで送ってもらうもんじゃないね。

ツイッターの方で失恋匂わせのようになっているのでこの際はっきり書いておこうと思う。失恋した。恋人はいたことないのに失恋は一丁前にしているのちょっと納得いってないんだけど仕方ない。私が想う相手はだいたい私を想ってくれない。

就職先が決まって「幸せだな」って思ったのは「決まりました」って伝えたい相手がたくさんいたことだった。その伝えたい相手の中の一人が、私が失恋した相手。

10年前、中学1年生だった私は英語が壊滅的にできなくて、入学早々親に塾の見学に連れて行かれた。1つ目の塾の体験で「英語って楽しいかも」って思えるような授業をしてくれた先生と出会って、そこに決めた。「英語って楽しいかも」が「この人に褒められたいからいい点取りたい」に変わったのはわりとすぐだったと思う。

中学1年生の私からしたら大学生はだいぶ大人な上に、関係性は先生と生徒。クリスマスに授業を入れられた時に「彼女いないんですか」って笑いながら聞いたら、「いるけどね」って笑いながら答えられた。いるんかいな。デートしてあげなさいよ。なんて考えてたのが1回目の失恋。告白も何もせずに失恋した。そして当時は失恋だとも思っていなかった。

そのあとはせめて「いい生徒」でいようと頑張って、45点から始まった英語の点数は90点前後まで伸びた。テストの成績表には他の科目も載ってるから、悪い点数を見られたくなくて文系科目は相乗効果みたいに点数が上がっていった。その人がいなかったらきっと今の大学には入れてない。

中学3年生になるまでそこに通って、高校に入るタイミングで先生が辞めることになって、私も辞めた。高校生になりました、大学生になりました、成人しました、などのタイミングで連絡をとってて、向こうから誕生日おめでとうLINEが来ることもあった。そして、就職先が決まりましたのLINEをした。

「内定祝いにどこでも好きなとこ連れてくよ。車も出すし。どっか行きたいとこある?」「海!」

内定祝いに海ってどんなよって思うけど、車だしてくれるんだからちょっと遠出したくて。いろいろ考えた結果、海ほたるに連れてってもらった。道中は話してるのも楽しかったし、沈黙も苦にならなかった。先生は当時とあんまり変わっていなくて、私は12歳から22歳になったんだから「大人になった」って思ってもらえてたらいいなって思った。

ご飯食べて、お買い物して、さあ帰りますかってなった車の中、急に先生が恋話(?)をふってきた。

「今、絶賛婚活中なんだよね」

内定祝いに連れてってもらう1週間くらい前にLINEをしてた感じだと何かに落ち込んでいるのは伝わってきてた。そしてそれがきっと恋愛に絡んだことなんだろうなってのも何となくわかってた。これを女の勘って言うのかな。

話を聞くと、1ヶ月前に結婚を意識していた彼女と別れたらしい。簡単に言うと価値観の相違みたいな。音楽の方向性ばりに私には遠い世界の話。

いい人いないかなー、べるつりー(実際には下の名前)ちゃんはどんな人がタイプなの?こういう感じの人がいいと思うよ、なんて私の未来の彼を想像して2人で笑ってたら、先生は突然笑えないことを言った。

「べるつりーちゃんの友達でいい子いたら紹介してよ(笑)」

えー、どんな子がタイプなんですか?とか笑いながら聞き返したけど、先生の隣を私の友達が歩いているところを見たくないと思った。想像もしたくなかった。なんだ、私先生のこと好きじゃん。友達を紹介してっていうなら私でもいいじゃん。むしろ私にしてよ。

そんな悲しいことで「好き」を自覚してしまった。先生が言ったタイプの子は、私も当てはまらなくなかった。ワンチャン?とかそういう軽い気持ちではなく、この人が好きだと自覚してしまった。そして、10年前に「憧れ」だと思っていた気持ちは、ちゃんと「好き」だったことも。

渋滞にはまって帰りは3時間くらいかかった。恋愛話になったのは帰り道の割と始めの頃。好きを自覚してしまった相手、その相手は友達を紹介してと言ってきた。私にとっては幸せで最悪な3時間だった。

家まで送り届けてもらってから、何で私は恋愛対象ですかって聞かなかったんだろうって後悔した。当時の好きだった気持ちもあいまって、どうしようもなかった。そして、LINEでもいいからと思って、つい問うてしまった。

「私は、恋愛対象外ですか?」

想像はついていたけれど、先生からの返事は「教え子にしか見えない」だった。失恋してちゃんと泣いたのは初めてだと思う。友達に電話して泣いた。10年前、失恋だと思っていなかった失恋の分も含めて、泣いた。聞かなきゃよかったと区切りがついたんだから聞いてよかったの気持ちが半々で、どうしたらいいのか分からなかった。

こうして私は同じ人に10年ぶり2度目の失恋をした。

そのあと返信で「勘違いさせちゃったかな」って言われたことを友達に伝えたら、「それこそ独りよがりの勘違い」って言ってくれた。この言葉にだいぶ救われた。私は勘違いして好きになったんじゃないし、勘違いして思いあがっているんじゃない。10年前からちゃんと好きだった。

10年前の日記にこう書いてあった。「『中学生は子供にしか見えないけど、大学生とかになったら見方変わるよね』って先生が言ってた。」10年前の私、残念だけど見方は変わらなかったみたい。

一つだけ強がりを言うと、ドライブで海ほたる行ってアウトレットで買い物をしたその「擬似デート」はとっても楽しかった。

もう一つ言うと、私はタバコを吸う人は嫌だから、先生なんか願い下げだ。


でも、ちゃんと好きでした。

先生に、先生と幸せになってくれる人が現れますように。



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