第四章:木曜日
さかさまのままごとあそび
裸のままの電球で
祝いのケーキを照らした。
古びた戸棚の奥にしまわれたある街に、
そっと頬をあててみる。
染みだらけの地図を、
画鋲で止めて、
物語の終わりに印をつけた
まだ、クジラの足音を、
夢見ている。
チュウモン、ハナタバ×五、八千九百円
あと、正直に嘘だけを、丸めておいてください。
広がった花の中心に
天秤でつるしたリボンをむすんで、
言葉は
汽車の煙に
のってゆくのを待っている。
アーケードから指先まで
クリスマスソングから南米まで
そのままゆっくりと、なくなって、
高速道路の真ん中で、たぶん、自由に踊っているだろう。
☆☆☆
花のない木曜日。
食べ物のない木曜日。
時間の隙間を、ただねじ伏せている木曜日。
ただれた唇を花びんに飾って、
四時の鐘をきいた。
白いタイルの上に、
赤子と一緒に転がっている貝殻を掬って、
ひとつずつ吸っている。
ウリアゲの紙を
丁寧にたたんだあの人が、
アーケードのセンヨウイリグチから、
国の旗を振っている。
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