須磨シーワールド感想文

Bellです。
2024年6月にリニューアルオープンされた須磨シーワールドに行きました。
感想を一言でまとめると「Not for me」です。
オタク語りをするのでこれから行くのを楽しみにしている人は読まなくていいです。


拝金主義的

まずは当館目玉のシャチとシャチ水槽について、シャチ水槽は2階が水面でショーが見られるエリア。1階には水中のシャチを見ながら食事ができるレストランとシャチの生態を解説する動画や骨格標本を見られるエリアがあります。シャチの解説エリアについてはしっかりと解説されていたので良かったです。
リニューアル直後のためシャチのショーに人が押し寄せていてゆっくり泳いでいるのを見られなかったのはさておき、個人的に気に食わなかったのはレストランに入場しないと水面下のシャチを見られないところ。バックヤードツアーのような+αの体験をするための課金でなく、しないと損をした気分にさせられるタイプの嫌な課金圧を感じました。時間制限付きでゆっくり見られないのもマイナスポイント。一日中ゆったりシャチを見たいなら名古屋港水族館に行った方がいいです。

最近ディズニーランドに対して「情報と資金力で一般人と差をつけるゲーム」みたいな言葉が話題になっていましたが、ここもそれに当てはまる節があるなと思いました。

まあこれについては私が勝手に気に食っていないだけでお金を払ってシャチを見たい客層はいくらでもいると思うので「Not for me」で済む話です。

情報量不足

次にシャチ、イルカ以外の生物展示館について。展示されている生き物については珍しいやつや地域色のあるやつがいて良かったですね。
磯エリアにはアカメがいました。アカメとはその名の通り赤く光る眼が特徴で、ビワコオオナマズ、イトウと並ぶ日本三大怪魚の一角。日本の太平洋沿岸にしか生息していない固有種。絶滅危惧種ENで、これはアマミノクロウサギやアカウミガメ、二ホンウナギと同じレベル。大半が宮崎~高知で確認されており、大阪湾での捕獲例は過去には数例しかなく、2021年に大阪湾で捕獲された個体が前身の須磨水族館で展示されていました。おそらくこれと同個体?
また兵庫と言えばイカナゴ。イカナゴを甘辛く煮た釘煮は兵庫の食文化として有名ですね。生体を見る機会はあまりないためよかったです。
そして関西の食文化を語るうえで欠かせないのがタコ。瀬戸内海のマダコは有名ですよね。多くの水族館では蛸壺とセットで展示されがちですが、元々タコは岩礁に生息する生き物。岩礁を模した水槽に10匹以上のマダコが所狭しと展示されていて新鮮でした。ちなみにタコは縄張り意識が強い生き物で、25m^2/匹くらいのスペースが必要とされています。またタコは岩の隙間等の狭い場所が大好きです。つい蛸壺に誘われてしまうのもこの習性のためですね。でもこの水槽には隠れる場所は特にないです。なのでマダコ水槽では不安そうに泳ぎ回るタコが常時見られます。Nつ巴の喧嘩だってそこかしこで繰り広げられていました。ダイナミックなタコが見られてお客様は大満足!…動物愛護団体はここをつついたら勝てるんじゃないでしょうか。知らんけど。

さて、ここまで私が述べたことについて、館内での説明は一切ありませんでした。アカメは専用水槽で飼育されていてもいいくらいなのですが、その辺の魚と一緒に交ぜられていました。当館が公開している情報は種名のみ。生態や、人間や地域との文化的な関わりや水槽のコンセプト等の説明は皆無。

ほんまか?

展示数が減った

旧須磨水では入館直後に目の前に広がっていた大水槽。岩礁があって荒々しく波が立っているところを水槽の上下から見ることができま、そこにはロウニンアジやシノノメサカタザメ等の大型海水魚が泳ぎ回っていました。他のエリアにはダイオウグソクムシがいて、暴れまわるワニガメがいて、デンキウナギが放電している様子が観察できて、ピラニアがいてアナコンダがいてウミヘビがいて…
ホホジロザメの頭部標本やノコギリエイの標本も迫力満点でした。
これらはみんななくなっていました。悲しいですね。ちなみにシーワールドの海洋大水槽には岩礁も波もなくとってつけたようなやる気のない岩が端にあったくらいでした。
日本の淡水魚エリアやサンゴ礁エリアとかはかなり気合の入った展示スペースを用意していたのですが、気合の入ったところとやる気のないところの差が激しすぎます。

まあ何というか、まとめると「映え」が至上命題の都市型水族館という印象を受けました。最近はこういうのが流行っていてこういうものの方が受け入れられるのでしょうか。一般の方々からしたら、「シャチとイルカと魚」くらいの認識なのかもしれません。が、特にこの規模の水族館でそれをやったらおしまいでしょう。今後このような水族館が次第に主流になっていくのでしょうか。私はめげずに昔ながらの地域密着型学術施設としての水族館を応援していきたいと思っています。

私は今回苦手意識が先行してかなりネガティブな文章を出してしまいましたが、ここから海洋生物にのめりこむ人だっているのかもしれません。人の好きは人それぞれなので良いと思ったならそれを大事にすべきだと思いました。
知らんけど。

頭の固い水族館オタクの駄文はこれで終わりとします。


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