撫でてもいい?

「保護犬ちゃんと仲良くなりたい…」と、遊び場に出かける前に息子がひとりごちた。
遊び場に通って2年になるけど、こんなことは初かもしれない。

保護犬ちゃんと息子は、臆病で噛み癖吠え癖あり、こだわり強く甘えん坊、どこをとってもよく似ていて、ひそかに笑い種になっている。
性質が近く反発し合うのは野生の勘で分かるのか、端からお互い距離をとって、普段から近づきもしない。

とはいえ私が保護犬ちゃんをいつも気にしているので、親近感が芽生えたのかもしれない。

「保護犬ちゃん触ってもいい?」
夕方、満を持して代表に尋ねる息子。
なんせ距離感センサーを持たない奴なので、許可を得る前からもう手を伸ばしながらじりじり近寄って、早くも保護犬ちゃんを怯えさせている。

代表は少し考えて、
「ちょっと待っててね」保護犬ちゃん、中型犬2歳を、よいしょと抱え上げて、
「どうぞ!撫でていいよ」
保護犬ちゃんの背中を息子に見せるかたちにして差し出した。

待望のモフモフタイム!

1、2回、おずおずと毛ざわりを確かめるように撫でていて、毛の向こうの温度に触れた途端にワーッと笑顔で駆け出し、そのまま遠くに行ってしまった。
「息子さん、バンザイしてますよ」
代表がアハハと笑っていた。


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