お母さんトンネルになる

自閉症の人が見ている世界を学んでいる。
当事者としてはどの話もあるあるで面白いというのもあるが、主催者が定形寄りの人なので、比較解説して貰えるのがなにより有難い。
「普通はこうじゃん?」という曖昧は、健康な定形のみに優しい理論だと思う。

パズルが好きな子どもには、生活そのものをパズルのように分かりやすく。
文房具は赤、キッチンは緑、そんなふうに工夫する人もいると紹介されていた。
視覚に訴えかけて日々やりやすくするプログラムはティーチと呼ばれている。

よく登場するのは「お支度ボード」、「減る時計」、「絵カード」、シンプルに「貼り紙」などで、我が家にもある。

効果が高いのはもちろんだった。
でもこれらを私が「私のために」使おうとするとき、子どもたちはもう全く、見向きもしなくなるということがあり、個人的にはとても面白い発見で、それも含めてとても良い買い物だった。

この授業の趣旨は、ティーチが「定形の生活に寄せる」ためのものではなく、「親や教師の言うことをきかせる」でもなく、
「自閉症の人が、自閉症のままで健康に生きていくため」のプログラムであるという啓発のようだった。

「私が子どもにとっての最大の見通しになろう」という意識なしに利用しても効果がないのだと教えてもらい、私はトンネルになろうと決めた。

私が間違った方向にトンネルを作ったときにも、子どもたちはお構い無しで突き破ってくれるパワーを持っているので、これはこれでいいぞと思ったりもする。

見通しは柔らかく、基礎はしっかりと…ということかもしれない。

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