【後編】スコープ3とは?5つの削減方法を解説
前編では、スコープ3の概要と15のカテゴリについてお伝えしました。後編となる今回は、スコープ3の具体的な削減方法を解説します。
スコープ3の削減には、自社だけではなく社外への働きかけが重要になります。本記事を参考に、スコープ3の削減方法を知りましょう。
スコープ3の削減方法
スコープ3の削減方法は主に5つあります。
サプライヤーへの働きかけ
調達や物流の見直し
労働環境や業務効率の改善
廃棄を想定した製品設計
顧客・利用者への働きかけ
1.サプライヤーへの働きかけ
スコープ3を削減する1つ目の方法は、サプライヤーへの働きかけです。具体例として下記が挙げられます。
取引先にCO2排出量削減の協力を依頼する
CO2排出量が少ない取引先に切り替える
取引先にCO2排出量の算定や報告を促したり、削減目標の策定や取り組みを促すことが大切です。CO2排出量削減への関心を高め、実際の取り組みを促進することで、協力してサプライチェーン排出量を削減できます。
また、CO2排出量が少ない取引先に切り替える方法もあります。CO2排出量削減に積極的に取り組んでいる企業があれば、注目しておくといいでしょう。
スコープ3におけるカテゴリ1「購入した製品・サービス」やカテゴリ3「スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」などのCO2排出量削減につながります。
2.調達や物流の見直し
スコープ3を削減する2つ目の方法は、調達や物流を見直すことです。具体例として下記が挙げられます。
CO2排出量が少ない輸送方法を選ぶ(モーダルシフト)
大型の船舶・車両を利用する
積載率を向上させる
輸送距離を短縮させる
モーダルシフトとは、トラックなどの車両で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい輸送手段に切り替えることです。環境負荷が小さい輸送手段としては、主に船舶・鉄道があります。
また大型の車両・船舶を利用する、積載率を向上させることで、一度の移動で多くの貨物を輸送でき、何度も往復せずに済みます。輸送する距離を短縮できるため、その分CO2排出量を抑えることが可能です。
スコープ3におけるカテゴリ4「輸送、配送(上流)」やカテゴリ9「輸送、配送(下流)」の削減につながります。
3.労働環境や業務効率の改善
スコープ3を削減する3つ目の方法は、労働環境や業務効率を改善することです。具体例として下記が挙げられます。
リモートワークを導入する
従業員の出張をなくす
リモートワークを導入することで社員が出社する機会が減り、通勤中のCO2排出量を減らせます。出張をなくすことも、移動で排出するCO2削減につながります。
効果はそこまで大きくないものの、大きなコストがかからない点が魅力です。むしろ通勤や出張をなくすことは、現在のコストを下げる効果を期待できます。
スコープ3におけるカテゴリ6「出張」やカテゴリ7「雇用者の通勤」のCO2排出量を削減可能です。
4.廃棄を想定した製品設計
スコープ3を削減する4つ目の方法は、廃棄を想定した製品設計にすることです。具体例として下記が挙げられます。
リサイクルできる素材にする
廃棄時のCO2排出量が少ない素材にする
自社で製造・販売する商品のリサイクル性を向上することで、廃棄時に排出されるCO2を削減可能です。
スコープ3におけるカテゴリ12「販売した製品の廃棄」の削減につながります。
5.顧客・利用者への働きかけ
スコープ3を削減する5つ目の方法は、顧客・利用者への働きかけです。具体例として下記が挙げられます。
CO2排出量の削減に取り組んでいる企業・製品を選ぶよう発信する
CO2排出量が少ない製品であることをアピールし、購買促進につなげる
CO2排出量が少ない使用方法・利用方法を紹介する(ecoモードなど)
製品のリユース・リサイクルを促す
顧客や利用者のCO2削減に対する関心を高めることで、CO2排出量が少ない自社製品の購買を促進できます。結果的に、顧客や利用者によるCO2排出量の削減が可能です。
スコープ3におけるカテゴリ11「販売した製品の使用」やカテゴリ12「販売した製品の廃棄」の削減につながります。
以上のように、スコープ3の削減方法はさまざまです。自社にできることから取り組みましょう。
実際にどの程度削減できたかを判断するには、あらかじめ現在の排出量を算定しておく必要があります。しかし「スコープ3をはじめ、サプライチェーン排出量をどのように算定すればいいの?」と悩む方は多いでしょう。
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