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スコープ1、2とは?具体例と計算方法を解説

「スコープ1、2とはどういうもの?」
「自社のスコープ1、2を算出する計算方法は?」
とお悩みではありませんか。

スコープ1、2とは、企業の事業活動において関わる一連の流れのうち、自社における温室効果ガス(GHG)排出量のことです。企業が脱炭素に取り組む上でまず把握すべき指標といえます。

環境省サイト資料参照

本記事ではスコープ1、2の概要や具体例、計算方法を解説します。最後まで読むことで自社のスコープ1、2を算出する方法がわかり、自社に合った方法を選び取る参考になるでしょう。


スコープ1、2とは「サプライチェーン排出量」の分類・内訳

スコープ1、2とは「サプライチェーン排出量」の分類・内訳の名称です。

サプライチェーン排出量とは、企業の事業活動における原料調達・製造・物流・販売・廃棄などの一連の流れ(サプライチェーン)で排出される温室効果ガス(GHG)の量を意味します。自社だけでなく取引先や消費者まで含んだ排出量を指しています。

サプライチェーン排出量は、1998年に発足した国際的な温室効果ガス(GHG)排出量算定・報告の基準である「GHG (Greenhouse Gas)プロトコル」で定義されたものです。

GHGプロトコルにおいて、サプライチェーン排出量は上流・自社・下流、あるいはスコープ1、2、3に大別されます。
サプライチェーン排出量のうち、スコープ1、2は自社における温室効果ガス(GHG)排出量を指します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

スコープ1とは「自社による温室効果ガスの直接排出」

スコープ1とは、自社による温室効果ガス(GHG)の直接排出の指標です。事業者自らによる燃料の燃焼や工業プロセス等に伴う排出を指します。

ースコープ1の例
スコープ1の具体例として下記が挙げられます。

燃料の燃焼
・製造設備などにおける燃焼で生まれる温室効果ガス
・発電機から排出される温室効果ガス
・燃料使用の暖房から排出される温室効果ガス etc

工業プロセス等
・セメントの製造によって排出される温室効果ガス
・ドライアイスの使用から排出される温室効果ガス etc

ースコープ1の計算方法
スコープ1の排出量を求めるには「排出量=活動量×排出原単位」で計算します。排出原単位とは、活動量あたりの温室効果ガス排出量のことです。

活動量とは「ガソリンの消費量」「軽油の消費量」などで、社内にあるデータを利用します。排出源単位はあらゆる活動ごとの排出量がまとめられた「算定方法・排出係数一覧」を参考にしましょう。

たとえば、ある企業のスコープ1に該当するものがガソリン、軽油、LPG、都市ガスである場合、それぞれの排出量の計算方法は下記のとおりです。

【ガソリン消費量 kL】×【2.322tCO2/kl】 
【軽油消費量 kL】×【2.585tCO2/kl】 
【LPG消費量 t】×【2.999 tCO2/t】
【都市ガスの消費量 千m³】×【2.234tCO2/千Nm3】

参照:環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」

上記の合計値がスコープ1となります。

なお、スコープ1の削減方法の例として下記があります。

  • 燃料を電気や都市ガスに切り替える

  • 各設備の熱排出を再利用する

  • 各設備の省エネに取り組む

削減の取り組みを実施した上で排出量を再度求め、排出量の変化を見ることで削減量を把握できます。

スコープ2とは「自社が他社から購入したエネルギーの使用に伴う間接排出」

スコープ2の主な具体例として、電力会社から購入している電力が挙げられます。

ースコープ2の例
スコープ2の主な具体例として、電力会社から購入している電力が挙げられます。
自社で発電している場合はスコープ1、電力会社で発電された電気を契約・購入して使用している場合はスコープ2に分類されるため注意しましょう。

ースコープ2の削減の計算方法
スコープ2の排出量を求めるには「排出量=活動量×排出係数」で計算します。環境省が「算定方法・排出係数一覧」で事業者ごとの排出係数を公開しているため、計算時に参照しましょう。

電気の場合は【各拠点の電気使用量 kwh】×【拠点別の契約電力会社の事業者別排出係数】で計算します。

たとえば、電力会社のミツウロコグリーンエネルギー株式会社と契約している場合、供給された電気の使用に伴う排出量は、下記の計算式で算出します。

【電気使用量 kwh】×【0.000408t-CO2/kWh】※メニューJ(残差)

参照:電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用) -R3年度実績- R5.1.24環境省・経済産業省公表

留意事項として、GHGプロトコルに準拠したスコープ2の算定が求められる場合(CDP回答など)は、ロケーション基準(系統網の平均排出係数を用いて計算する方法)とマーケット基準(契約に基づく排出係数を用いて計算する方法)の2通りの方法で算定し報告をするのが一般的です。

なお、スコープ2の削減方法の例として下記があります。

  • 再エネ由来の電力に切り替える

  • 自家消費型太陽光発電を導入する

削減の取り組みを実施した上で排出量を再度求め、排出量の変化を見ることで削減量を把握できます。

スコープ1, 2の算定方法

スコープ1、2を算定する方法は主に3つあります。

  1. 自社で算定する

  2. ソフトウェアを利用する

  3. コンサルティングサービスを利用する

自社が排出する温室効果ガスを削減するには、まず現状の排出量を把握し、排出量の変化を明確にすることが重要です。スコープ1、2を算定する方法の選択肢を知り、自社に適した方法を選びましょう。

ー自社で算定する
1つ目は自社で算定する方法です。社内に知見を持つ人材がいる場合に有効な方法となります。

メリット:
・費用面のコストがかからない
デメリット:
・算定に関する専門的な知識が必要になる
・労力面のコストが大きくかかる
向いてるケース:
・温室効果ガス(GHG)排出量の算定・削減の知見を持つ人材が社内にいて、社内リソースを割けることができる

自社で算定する場合、担当者を立ててデータの収集・算定にあたります。担当者はどのようなデータが必要なのか、どのような計算で算定できるのかといった専門知識が必要です。

また、データの収集には関連する各部署への働きかけが必要になります。労力的・時間的にコストがかかることを理解しておきましょう。

知見を持つ人材が社内にいない場合は、自社で算定することが困難です。社内の状況に応じて後述するソフトウェアやコンサルティングの利用を検討しましょう。

ーソフトウェアを利用する
2つ目はソフトウェアを利用する方法です。近年はクラウドで利用できる温室効果ガス(GHG)排出量算定のソフトウェアが提供されています。

メリット:
・排出係数を自動で更新してくれる
・排出量の管理が容易になる
・デザイン性に優れたUI
デメリット:
・データの収集作業や入力作業は基本的には自社で行う必要があり、一定の労力がかかる
・必要データがない場合のシナリオ設定の対応など、専門知識がないと途中で躓いてしまう可能性がある
・ランニングコストがかかり続ける
向いてるケース:
・算定に関する知識を有している
・すでに必要なデータが揃っている

ソフトウェアの利用は、社内に専門知識を持つ人材がいて、すでに必要なデータが揃っている場合、排出係数を自動で更新してくれ、温室効果ガス(GHG)排出量の管理が容易にできることが魅力です。

一方で、「必要なデータが揃っていない」「何から始めるべきかわからない」という場合は、ソフトウェアの利用が適していない可能性が高いです。より柔軟なサポートを受けられるコンサルティングサービスを検討するといいでしょう。

ーコンサルティングサービス利用する
3つ目はコンサルティングサービスを利用する方法です。企業の状況に応じて温室効果ガス(GHG)排出量算定のサポートを受けられます。

メリット:
・社内の状況に応じて必要なサポートを受けられる
・基本知識がなくとも算定できる
・データ入力等の作業をアウトソースできる
デメリット:
・一定のコストがかかる
向いてるケース:
・温室効果ガス(GHG)排出量の算定・目標設定・削減について一貫した支援を求めている
・データ収集、入力、自社に合った算定方法の確立等のサポートを必要としている
・人員が避けない為、できる限り労力をかけずに算定を行いたい

コンサルティングサービスは、社内状況のヒアリングから始まり、ニーズに応じた支援を受けられることが特徴です。「脱炭素化に取り組みたいが何から始めるべきか」という段階から「CDP質問書に対する回答に利用したい」といった自社の要望に合わせて適切な活動量収集のアドバイス、算定方法のアドバイス等を対応してもらえます。

社内に知見のある人材がまったくいない場合でも、コンサルティングサービスを利用することで専門的な知識やノウハウを得て温室効果ガス(GHG)排出量の算定ができるでしょう。

さらに、単に温室効果ガス(GHG)排出量を算定するだけでなく、削減目標の設定や削減のアドバイスや提案を受けることが可能です。脱炭素化をどう進めるべきかと悩む場合にも適しています。

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