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スコープ1、スコープ2の削減策~エネルギーフローの見直し~

前回の記事で、温室効果ガス(GHG)排出量算定におけるスコープ1 ・2の具体的な削減策として、「マテリアルフロー」の見直しポイントについて解説しました。
【過去の記事】スコープ1・2の削減策を検討する~マテリアルフローの見直し~

「マテリアルフロー」が見直された結果、「エネルギーフロー」も変わるといったように、両者は相互に関連しています。したがって、マテリアルフローの見直しを進めることにより、エネルギーフローもかなりの部分が見直されます。

 その上で、エネルギーフローを見直す際には、自社のエネルギー消費構造やGHG排出構造の特徴に基づき、特に注目すべき領域を特定した上で、本当に必要なエネルギー消費を突き詰めることが重要になります。

2回目の本記事ではこの「エネルギーフロー」について、解説を含め、見直しを進める際のポイントを具体例を交えて説明します。

エネルギーフローについて

温室効果ガス(GHG)排出量算定における「エネルギーフロー」とは、自社の製品・サービスの製造・取組・提供等の過程において、どれだけのエネルギーが生成、転送、変換、消費されるかを示す指標です。

エネルギーフローを見直すポイント

一例として、ボイラ及びその蒸気を熱源とする各種加熱設備から構成されるプロセスに注目する場合、「ボイラの発生蒸気←各種加熱設備の要求蒸気←製品の加温←製品の成分反応」といったエネルギー利用の目的まで立ち返り、本来求められるエネルギー需要(負荷条件)を把握します。その上で、このような負荷条件を満たすために、最も望ましいエネルギー供給の設備構成や運用方法(供給条件)を追求することになります。

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

エネルギーフローの見直し~具体例~

例えば、「事業所間の業務分担、自社とサプライヤーとの業務分担の見直し」を前提に置いた上で、手順に沿ってエネルギーフローを見直す手段を以下に示します。
1)ビジネスモデルを見直す
2)製品設計を見直す
3)プロセスフローを見直す
4)個別のプロセスを見直す

1)ビジネスモデルを見直す・2)製品設計を見直す
ビジネスモデルや製品設計を見直した結果、他の事業所や事業者と工程を統合・集約し、原料製造から輸送までに要する排出量を削減できる可能性があります。この場合、工程の統合・集約先の事業所や事業者では排出量が増加することとなりますが、部分最適に陥らずにあるべき姿を検討することにより、全体として排出量の削減を実現することが可能となります。 

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

3)プロセスフローを見直す
エネルギー利用目的まで立ち返って本来あるべきプロセスを検討することにより、例えば工程数の削減等、プロセス自体の見直しを検討します。
また、製品品質への影響を見極めた上で、要求温度等の管理値を緩和するといった負荷条件の見直しを検討します。
さらに、この結果を踏まえながら、間接加熱から直接加熱への変更や排熱・未利用エネルギーの利用等、エネルギー供給条件の見直しを検討します。

4)個別のプロセスを見直す
3)で検討した負荷条件・供給条件の見直しも踏まえながら、高効率設備への更新やGHG排出量の少ないエネルギー源への変更を検討します。

環境省:SBT等の達成に向けたGHG排出削減計画策定ガイドブック(2022年度版)資料

まとめ

エネルギーフローを見直す上で重要なことは、現状(事業所のレイアウト、製造方法、管理値等)を前提とせず、また個々の設備単位ではなく、 前後のプロセスも含めた全体の視点に立つ事です。そしてエネルギー消費の用途・背景に対する洞察こそが、GHG排出の根源的な要因を探るカギとなります。
そうすれば、従来の省エネルギーの枠組みにとらわれずに、効果的なGHG排出量削減が期待できるでしょう。

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