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全スコープ・全カテゴリーを算定しないといけないの?

温室効果ガス(GHG)排出量算定をしていくなかで「全スコープ・全カテゴリーを算定しないといけないのか…」という疑問が出てくるケースは多いでしょう。

どのような基準に沿って、どこまでの範囲を算定する必要があるのでしょうか。

結論からお伝えすると、GHGプロトコルの基準をもとにスコープ1、スコープ2だけでなくスコープ3まで算定することの重要性が高まっています。しかし、いきなり自社ですべて算定するのは難しいものです。

本記事では、初年度の目標設定や、優先順位から一緒に考えていきましょう。

排出量算定のステップ

まず、排出量算定は大きく分けて4つのステップから成り立っています。

環境省:「サプライチェーン排出量とは」資料

初年度の算定目的

前回記事でも紹介したように、公表された排出量関連資料や文献を参照しながら算定するのは、かなり難しく、ざっくりとしたラフな数字になりがちです。
【過去の記事】第三者検証って必要?
しかし、初年度は大枠の「桁」を把握することを優先させてください。毎年実施して、スキルアップすれば問題ないでしょう。

GHGプロトコルでも推奨しているように、算定目的に応じた算定精度というのが存在します。まずは「全体感把握」を目的として、支出額等を活動量として推計し、カテゴリー毎の傾向を見ることができれば十分です。

算定対象範囲の設定

「GHGプロトコルに基づいて算定・報告する」という前提であれば、計算をする前に、「算定対象範囲(バウンダリ)」を決める必要があります。
対象範囲としては、以下の2種類の境界を考えます。
1.組織境界
2.活動境界
「1.組織境界」については、下記のとおり「支配力基準」と「出資比率基準」の2種類のグループ範囲があります。

環境省:「SBTの認定基準」資料

「2.活動境界」は、自社の事業と関連のある排出量を特定すること。つまり、直接排出量(スコープ1)を特定し、算定対象とする間接排出量(スコープ2及び3)を選択することです。
実際に計算する前に、「境界」「基準」「支配」を元に算定範囲を決める必要があるという事だけ念頭に置いて下さい。
今後の記事で詳しく解説させていただく予定です。

対象範囲外の活動について

自社の事業形態上、該当する活動が無いカテゴリーがある場合や、排出量が非常に小規模なカテゴリーがあり、情報収集等で苦労することが予想される場合は、どうすれば良いのでしょうか。

サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (Ver.2.2)においては、一部のカテゴリを算定対象範囲から除外する際の基準として「該当する活動がないもの」が挙げられます。そのことを示しておけば問題ありません。

環境省:「代表的なカテゴリーの算定方法」資料

例えば、上記赤枠部分のカテゴリー13「リース資産(下流)」・カテゴリー14「フランチャイズ」等は、全ての算定事業者に適用するカテゴリーではありません。

カテゴリー内で一部の算定対象範囲を除外する場合の基準は、以下の通りです。

環境省:「サプライチェーン排出量算定に おけるよくある質問と回答集」資料

スコープ3算定~開示の重要性

優先順位としては、スコープ1、2に次いで、最終的にスコープ3算定となるのですが、多くの企業では、スコープ3排出量が自社GHG総排出量の大半を占めています。このため、企業の包括的な気候戦略の一環として、スコープ3排出量を算定・管理することの重要性が年々高まっています。

二次データからの脱却

「スコープ3」の算定においては、これまで、産業連関表に基づく業種平均の排出係数や業界団体が定めた数値など「二次データ(=推計値)」を使用してきた企業も多いです。
しかし、GHGプロトコルでは15のカテゴリーの中から、優先順位の高い活動に関しては「高品質の一次データ(=実測値)を集めるべきである」との基準があり、日本においては二次データからの脱却が国際的に見ても急務となっています。

スコープ3開示必須の流れ

温暖化ガス排出、取引先含め開示 スコープ3国際基準に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

さらに、2023年6月26日「世界のサステナビリティの開示基準を決めている機関(ISSB)」が新たなルールを発表しました。上場企業が取引先など供給網全体の「スコープ3」を含めた情報開示を求められる見通しとなり、ますます「一次データ活用」の推奨が強められていく流れとなっています。

それを受け、岸田首相はGX推進を加速するため、「カーボンプライシング」などを含む新政策を7月目処に決定すると発表しています。

スコープ1、2だけではなく、スコープ3についても正確に算出していく必要があることは明らかです。

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