ノムノム

半年ほど放置してからの復帰です! 2021年4月に海外から日本に17年ぶりに帰国。 右…

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半年ほど放置してからの復帰です! 2021年4月に海外から日本に17年ぶりに帰国。 右往左往しながら日々書いていければ。 趣味はアルフィー、旅行、読書などなど。

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    心に浮かぶいろいろをいろんなアプローチで。

記事一覧

夕陽に答えは書いてない。

あれは二週間ほど前の火曜か水曜の午後だった。学生が一人、事務室にやってきた。学生が来ること自体は珍しくないが二時ごろ、チームの半分はまだ昼休憩から戻っていない静…

ノムノム
2年前
1

馬連馬券。

馬連馬券とは ‐‐ 競馬において一着二着になる馬を予想する買い方。順序は関係なくどちらが一位でもよい。 私が生まれた日、父には友達5人と旅行に行く計画がありまし…

ノムノム
3年前
3

ロックンロール、ベイビー! ~Cook とBake~

在宅勤務が本格化してからというもの、それまではうっすらとした疑惑程度であった事がはっきりと判明しました。 料理と呼ばれる領域はなんとか人並みに出来るのですが、ケ…

ノムノム
3年前
7

トナカイバーガーとシャケパイ

「死ぬまでに一度でいいから北欧にオーロラを見に行くのが夢なの。」 というのは我が妹。彼女とはいろんなところに一緒に出掛けていますし、コロナ禍が始まる直前までロン…

ノムノム
3年前
9

最後の片思い

16歳、高校一年の私は通っていた高校の先生に恋をしていました。東京の大学を出て私の住む田舎町にやってきた23歳の先生。授業が大して上手だったわけでも、世界で一番…

ノムノム
3年前
7

As you like it

どんなお仕事をしている方でもよく聞かれることってあるかと思うのですが、私の場合はすぱっと答えることが出来ず相手をがっかりさせてしまうことのほうが多いので懺悔の意…

ノムノム
3年前
17

Won’t you stay for me ~我が愛しの葬式まんじゅう~

地元にあるお菓子屋さんの閉店のニュースを聞いて複雑な気持ちの土曜日でした。 名物のせんべいが人気の店なのですが、経営者の高齢化とコロナでの売り上げの低下が理由だ…

ノムノム
3年前
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我が母の記 時々は父

「本当にお姉ちゃんはお母さんそっくりね。」 今日も妹はあきれ顔で私に言うのですが自分に一番影響を与えた人は誰ですか?と聞かれたならば、偉大な思想家でもなければ恩…

ノムノム
3年前
9

書き始めた理由

改めまして、ノムノムです。もちろん本名ではありません。アメリカ東海岸に15年ほど居ります。ふわりふわりと仕事をして、連休になればどこか行ったり読書三昧をしたり、…

ノムノム
3年前
30

Losing Game 終

お中元で食品が動く7月はビアガーデンや花火の時期でもあり、年末ほどではないが仕事終わりの付き合いも増える。お酒の付き合いがあまり得意ではない私でも何度かは出かけ…

ノムノム
3年前
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Losing Game 3

「四月からマネージャーに上げるからな、覚悟しとけよ」 年末の忘年会で突然上司に言われた昇進の話を正月に帰省した地元の雪深い道を歩きながらぼんやり思い出していた。…

ノムノム
3年前
12

Losing Game 2

出張は気が詰まるような内容だったが取引先の明るい雰囲気が救いだった。伝染病は思ったよりも広まっていて処分しなくてはいけない乳牛が出たため乳製品の生産量がこれから…

ノムノム
3年前
11

Losing Game 1

我が身を顧みず相手につける注文は多いのが私の悪い癖だ。背は私より高く、年収も車も学歴も相手の家族構成にさえ何かしらチェックする項目があって恋愛はまるで就職試験の…

ノムノム
3年前
17

Five Women and A Man

これは五人の女が語る一人の男の物語。 1. 私はね、彼と一番長く一緒にいるの。年は私が二つ上ね。ギターをもって歌う姿を私は若いころから見てたわ。 彼のすごいとこ…

ノムノム
3年前
10
夕陽に答えは書いてない。

夕陽に答えは書いてない。

あれは二週間ほど前の火曜か水曜の午後だった。学生が一人、事務室にやってきた。学生が来ること自体は珍しくないが二時ごろ、チームの半分はまだ昼休憩から戻っていない静かな時間だ。

「退学届けください。」

静かにその子は言った。

「え?」 

退学届けってそんな簡単に窓口でもらうものだっけ?少なくとも私には大学を退学するなんて人生の一大事に思えた。 キムタクばりにあの一言が頭をよぎる。 ちょ、まてよ

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馬連馬券。

馬連馬券。

馬連馬券とは ‐‐ 競馬において一着二着になる馬を予想する買い方。順序は関係なくどちらが一位でもよい。

私が生まれた日、父には友達5人と旅行に行く計画がありました。 病院に生まれた赤ちゃんを見に行ってそのあと何もすることがないと思ったのか、なんと父は出かけてしまったのです。

私が母ならその時点で離婚案件でしょうね。

とにかく出かけた父はみんなとまず競馬場によりました。最初の子が生まれたのはと

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ロックンロール、ベイビー! ~Cook とBake~

ロックンロール、ベイビー! ~Cook とBake~

在宅勤務が本格化してからというもの、それまではうっすらとした疑惑程度であった事がはっきりと判明しました。
料理と呼ばれる領域はなんとか人並みに出来るのですが、ケーキやクッキーなどBakeの領域が全く、壊滅的にダメなのです。

外国に住んでいると日本に住んでいるのと同じ材料を同じような予算で手に入れることは難しいし、コンビニもありません。自然と我慢するか、工夫してもどきを作るか、日系のスーパーで高い

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トナカイバーガーとシャケパイ

トナカイバーガーとシャケパイ

「死ぬまでに一度でいいから北欧にオーロラを見に行くのが夢なの。」
というのは我が妹。彼女とはいろんなところに一緒に出掛けていますし、コロナ禍が始まる直前までロンドンに行っていてフットワークの軽くなっていた私は安請け合いで「行きましょう。」 日本にいる妹と同じガイドブックを買わせ、一緒に読んで気になる場所やイベントをチェックします。タイミングは入国制限もありますから二人ともワクチンを打ってからという

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最後の片思い

最後の片思い

16歳、高校一年の私は通っていた高校の先生に恋をしていました。東京の大学を出て私の住む田舎町にやってきた23歳の先生。授業が大して上手だったわけでも、世界で一番のイケメンだったわけでもないけれど、大好きで大好きで仕方がなかった。運動系の部活の顧問をしていた彼が愛用していたブランドも、彼の車の種類も好きだと言っていた食べ物も誕生日も全部覚えています。

先生に会いたくて、サンプルでもらったあまりのド

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As you like it

As you like it

どんなお仕事をしている方でもよく聞かれることってあるかと思うのですが、私の場合はすぱっと答えることが出来ず相手をがっかりさせてしまうことのほうが多いので懺悔の意味を込めてこれを書いてみようと思います。

15年ほどアメリカで働いていますと言うと聞かれることが少なくないのは「頭の中は日本語と英語とどちらで考えてますか?」。英語を日本語に直して考えているのか、英語を英語で考えているのかという表現をよく

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Won’t you stay for me ~我が愛しの葬式まんじゅう~

地元にあるお菓子屋さんの閉店のニュースを聞いて複雑な気持ちの土曜日でした。 名物のせんべいが人気の店なのですが、経営者の高齢化とコロナでの売り上げの低下が理由だそう。 

故郷を離れているものにとって、戻ればそこにいてくれる銘菓とか名物という存在はいつも思い出すわけでなくても、やはりそこにいてくれないと困るもの。勝手に出て行っておきながらいなくなられては困るなどとわがままは承知の上でこんなことを書

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我が母の記 時々は父

我が母の記 時々は父

「本当にお姉ちゃんはお母さんそっくりね。」

今日も妹はあきれ顔で私に言うのですが自分に一番影響を与えた人は誰ですか?と聞かれたならば、偉大な思想家でもなければ恩師でもなく、私は確かに母だと答えるでしょう。彼女は強く厳しく、ちょっとだけ他のお母さま方と違うようなのです。

昭和育ちの私ですから一般的な家庭では日常の小さなことを母親が注意し、大きなことは父親が出てきて叱るというスタイルが多いのではな

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書き始めた理由

書き始めた理由

改めまして、ノムノムです。もちろん本名ではありません。アメリカ東海岸に15年ほど居ります。ふわりふわりと仕事をして、連休になればどこか行ったり読書三昧をしたり、ぽわんと生きていました。

それが変わったのは2020年のコロナ禍。 いまだその呼び方にも慣れない、目に見えない小さな敵はそれほど人との付き合いもない私の生活ももれなく変えていきました。私の職場は小さいながらも仲が良く、雑談で一日終わったこ

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Losing Game    終

Losing Game 終

お中元で食品が動く7月はビアガーデンや花火の時期でもあり、年末ほどではないが仕事終わりの付き合いも増える。お酒の付き合いがあまり得意ではない私でも何度かは出かけなくてはいけないだろうと思っていたところに後輩が金曜の予定を聞く。
「このままいくと残業だわね。忙しい時期だし。」
「お願いがあるんですけど。 実は広報の子に取引先の「花火を見る会」がお台場のホテルであるから一緒に行こうって言われてて。」

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Losing Game    3

Losing Game 3

「四月からマネージャーに上げるからな、覚悟しとけよ」

年末の忘年会で突然上司に言われた昇進の話を正月に帰省した地元の雪深い道を歩きながらぼんやり思い出していた。 例のソースはコマーシャルの放映も決まり、年明けからはますます頑張ろうと社長が挨拶した直後だった。上司は部下には愛想のかけらもない男だが、仕事はできるし何より感情的にならないのが良い。それに普段はケチで鳴るくせに、時折思いついたようにコー

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Losing Game    2

Losing Game 2

出張は気が詰まるような内容だったが取引先の明るい雰囲気が救いだった。伝染病は思ったよりも広まっていて処分しなくてはいけない乳牛が出たため乳製品の生産量がこれから先一年ほど影響を受けることは残念だ。
「仕方ないじゃない、病気だもの。私たちよりも手塩にかけた乳牛を処分している酪農家のほうがきっとつらいわ。野生動物が他の国にも運ぶからってその駆除も始まったみたいよ。それに比べたら私たちはオフィスで仕事し

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Losing Game    1

Losing Game 1

我が身を顧みず相手につける注文は多いのが私の悪い癖だ。背は私より高く、年収も車も学歴も相手の家族構成にさえ何かしらチェックする項目があって恋愛はまるで就職試験の面接のようだった。若いころは「三高」なんていう言葉もあったからそれを不思議には思わなかったが、母はそれを「お前は本当の恋を知らない」と嘆いた。

そんなことを麹町の駅から少し離れたところにある半地下のバーで考えていた。ここに来るときはティー

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Five Women and A Man

これは五人の女が語る一人の男の物語。

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私はね、彼と一番長く一緒にいるの。年は私が二つ上ね。ギターをもって歌う姿を私は若いころから見てたわ。
彼のすごいところはね、まぁたくさんあるんだけど、聞いたらすぐ弾けることなの。ビートルズだって、S&Gだって、弘田三枝子だってすぐに弾けるわ。でも自分の曲は違うわね。何度も何度も練習してる時もあるし、同じ曲を違うアレンジで歌う時もある。ベースも弾け

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