春のあの人
心の浮わつきを春のせいにするあなたが、今年も横にいる。1枚分軽くなった服装と、少し気合いをいれて巻いた茶髪は、僕を新しい気分にさせた。
春は特別だ。仕事も家事も普段通りやってくるのに、花粉は鬱陶しくて寒暖差が服装を悩ませるのに、それでいても春は僕をあたたかくした。
咲きかけの桜にスマホを近づけて撮ってみる。あの人に送ろうとしてやっぱりやめた。あとで会ったときに見せることにした。季節の変化が僕たちを繋ぎ止めているような気がする。もしこの世界がずっと冬だったり、春だったりしたら、僕があの人に飽きない自信はない。空と風と、同じように表情を変えるあの人が、僕は好きだった。
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