週刊少年チャンピオンの歴代掲載作品における主人公の分類に関する調査
【はじめに】
以前に「週刊少年チャンピオンは世間の『不良!暴力!』というイメージと違って女性主人公の作品も多いのでは?」と疑問に思い調査を行いました。
『過去11年の週刊少年チャンピオンの連載作品における主人公の男女比に関する調査』
今回はそれを拡大し、創刊から現在までの全作品として調査を行いました。
【資料と方法】
〔対象作品〕
創刊〜2015年6月までに週刊少年チャンピオン本誌で2週以上掲載された作品を対象としました。
今回参照したのは 週チャンマニアクス様とWikipediaの週刊少年チャンピオン連載作品の一覧です。
これらの作品について各年ごとの連載開始作品について主人公の分類を行いました。
短期集中連載と本格連載の分類については週チャンマニアクス様の分類に従いました。
〔主人公について〕
《分類》
①男性
②女性
③動物など人間以外の生き物
④その他(オムニバス形式の作品 例:不安の種)
の4つに分類しました
《各作品における主人公の判定》
①タイトルに名前が含まれる、あるいはタイトルが示しているキャラ
(例:ドカベン/刃牙道/無敵看板娘など)
②主人公は2人までとする
以上の基準を元に作品数をカウントします。
例として
「思春鬼のふたり」
男性主人公1作品、女性主人公1作品として重複してカウント。
「TWO突風!」
男性2人の主人公ですが男性主人公作品として1作品としてカウント。
主人公の判定については公式HPやファンサイト、当時の感想、Googleが贈検索などによって書影やあらすじを確認して判定しました。
【結果】
創刊〜2015年までにチャンピオン本誌で掲載された全作品数は878作品でした。このうち男性主人公は587作品(66.9%)、女性主人公は154作品(17.5%)、動物主人公は24作品(2.7%)、その他が19作品(2.2%)、不明作品が126作品(14.4%)でした。
各年ごとの全掲載作品、短期集中連載作品、本格連載作品における主人公の分類は以下のグラフの通りです。
上記のグラフに関して歴代編集長の就任期間を追加したグラフが下になりますが、正確な就任期間は不明でしたので区分はあくまで目安です。
歴代編集長の平均作品数とその分類に関しては以下の通り(敬称略)です。
また、記事の末尾に上記のデータにつういて全体に締める割合で示したものを載せています。
【考察】
☆チャンピオンの女性主人公って本当に多いの?
今回の集計では創刊以来ほぼ毎年、女性主人公の作品が掲載されていること、特に近年の沢編集長就任後は短期・本格連載ともに女性主人公の作品が増えていることが分かりました。
また連載開始作品中で女性主人公が占める割合は10%前後を推移しており(末尾のグラフ参照)、沢編集長就任後は30%程度まで上昇しています。倩様の調査によると少年ジャンプ(1980〜2013年)における女性主人公の割合は約7%でした。集計方法が異なるので直接の比較は出来ませんが特に近年のチャンピオンの約30%はかなり高いと言えると思います。サンデーやマガジンに関してはデータがありませんが、現行作品(2015年6月現在)ではサンデーはチャンピオンとほぼ同等、マガジンはチャンピオン/サンデーとジャンプの中間ぐらいに感じます。
☆なぜチャンピオンは女性主人公が多いのか?
①特定の漫画家さんによる影響
調査を行っていると女性主人公の作品を複数手掛けている漫画家さんがいました。具体的には吾妻ひでお/とり・みき/小山田いく/きくち正太、近年では佐渡川準/桜井のりお/木々津克久などです(敬称略)。同じ漫画家さんが繰り返し連載することで女性主人公枠のようなものが定着、あるいは編集側にも読者側にも女性主人公が存在することが当たり前のこととなったのかもしれません。
②少女漫画からの転向
他誌にも同様の例はあると思いますが、チャンピオンでは立原あゆみ/白倉由美/望月あきらなど少女漫画を手掛けていた方が連載を持つパターンが確認されます。編集者の異動などによって女性を主人公として描くことに長けた漫画家の方が本誌で連載するようになった可能性はあると思います。
③編集の方針
特に沢編集長が就任してからは顕著ですが、メディアミックスによりアニメ化/ドラマ化された作品においても「無敵看板娘」「みつどもえ」「侵略!イカ娘」「24のひとみ」「実は私は」など女性主人公の作品が目立ちます。特に今年に入ってからは掲載作品の主人公比はほぼ半々ですし、この変化はある程度、狙って行っているのではないかと考えています。
☆今回の調査の制限
今回は各作品の主人公について可能な限り客観的な判定を行う為に「タイトルにキャラクターが含まれている」かどうかを基準の1つに採用しました。しかし、その為にラブコメ作品でも男性主人公作品/男女主人公作品に分かれる場合がありました。
また、タイトルが主人公を示していない場合は公式/ファンサイトのあらすじや画像検索などによって書影や本編の画像を探し、判定を行いましたが、精度は劣っていると思います。
そして、2000年以前の特に短期集中連載作品や未単行本化作品に関しては主人公の不明の作品が多く、全体としても1割以上の作品で判別出来なかったのは残念な点です。
☆まとめ
今回の発端は「チャンピオンの世間でのイメージと実像って違うよね?」という点が発端でした。実際に調査を行ったところ、特にここ10年程は女性主人公の割合が多く、過去においても定期的に女性主人公の作品が出ていたことが分かりました。少なくとも沢編集長がトップにいる間はこの傾向はあまり変わらないのだと思います。
今回は女性主人公に着目して調査を行いましたが、チャンピオン本誌には「刃牙道」「ドカベン」「弱虫ペダル」「囚人リク」「錻力のアーチスト」などメインキャラクターのほぼ全員が男性の作品も多くあります。今回の記事を切っ掛けにチャンピオンに興味を持ってもらって、その差にも着目しながら読み始めて頂けたらチャンピオンの一読者として幸いです。
☆最後に
今回使用した作品一覧のExcelファイルをアップしておきます。違う基準で分類したい方に利用して頂いたり、また不明作品について情報をお持ちの方は連絡して頂ければ大変ありがたいです。
【備考】
先述のデータについて作品数ではなく作品の占める割合について示したものを載せておきます。
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