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墓地退化の最適な構築について

墓地退化についてです。簡単なシミュレーションを使って最適な構築について考察します。

墓地退化は最速4t目にビッグアクションが取れます。4t着地を安定させることで全ハンデスまたは全ブレイクという理不尽を押し付け勝ちに近づく。最近はあまり見かけませんが、この動きを安定化させることさえ出来れば今でも十分通用するのではないかと考えました(シュテロン使いたい)。
しかしこのデッキが流行らないのは要求値が非常に高いとされるためだと考えています。身の回りにもそう言って手放した人を見かけてきました。そこで今回はこの要求値を低くするための構築を考えます。というのも、必須なパーツをたった4枚積みとしている構築を多く見かけて、既存のテンプレ構築に手をかけないで要求値が云々と言って手放すにはどうも不十分に思えたからです(シュテロンめっちゃ使いたい)。

このデッキを構成する必要な要素は4つです。
墓地肥やし(ルーター) : エマタイ、チューン
墓地進化 : デスマーチ
バウンス呪文 : 落城
フィニッシャー : HDM、シュテロン

このうち墓地進化とバウンス呪文は4枚しか採用されないことが多い様です。それなのに両方を一度ずつかませないといけないのが要求値が高いとされる所以だと思います。
→安定のためには各要素の枚数を増加させる必要があります。そこでゴワルスキーとセンジュも採用。

そして、要求値を下げる上で最も重要なのはルーターの枚数でもあります。他の要素は3ないし4t目までには引けている必要があるため、2t目にキャストできるルーターが重要になってくると考えられます。
→2コストのルーター増量。アツト、ノロンを追加。

ここまでで、理想の4t着地にはいくつかのパターンが新たに増えます。つまり、4t目にセンジュを使わざるを得ないのならば3t目にデスマーチ着地が必須。4t目にゴワルスキーを剥がすなら3t目にはゴワルスキー着地が必要で、そのためには2t目には必ず墓地肥やしをしなければならない。まとめると以下のパターンです。


2t ルーター
3t ルーター
4t デスマーチ落城


2t ルーター
3t ルーター+デスマーチ
4t センジュ


2t ルーター
3t ゴワルスキー
4t 落城orセンジュ

一番注目したいのは、①~③の全てのパターンを取るor取りやすくするためには2t目のルーターが必須である点です。そして②の3t目の動きを取るときに2コストのルーターが寄与している点です(当然2t目に落とせていれば無くてもいいのですが、その分パーツを揃えにくくなります)。
③のパターンは2t目ルーターと素のドローのみでパーツを揃える必要があり、正直かなり厳しいです。しかし、このサブルートがあることで少しでも勝ちに繋がりやすくなるのであれば考慮すべきです。

以上を踏まえると、2コストかつ墓地肥やしが可能なルーターは一番重要。次いで他の3パーツだと言えそうです。
しかし退化は枠がキツキツです。ルーターを増やしたりセンジュを入れたりする、ということはテンプレから何かしらを抜かなければなりません。
テンプレ構築のそれぞれの役割を検討したときに、チューンバイケンのギミックが果たしていま必須だろうか、ということに思い至りました。確かにバイケンを3~4枚採用することでエマタイチューンの8枚がトリガー枠になるというのは魅力的です。シュテロン着地後に盾から割られたバイケンが、盤面全破壊可能な札になるという点もテクニカルで魅力的。
しかし、そもそも退化はトリガーが非常に多いデッキです。
相手がどんなに展開してもクロックでターンが渡りHDMでワンチャンが生まれるならばクロック4。それを墓地のクロック経由で達成出来る上にダンテを越えられる生き物であるスパイナーも無理なく4(貴重な闇マナという役割もあります)。そもそも落城も4。ここまでで12枚トリガーです。
それを20枚体制にすることにどれだけ合理的な説明がつくのかいまいち考え付きませんでした。なにより、自分の動きを押しつけるためにここまで最適化しようとしているのに、条件的にしか有効に機能しないバイケンは特に重く感じました。以上を踏まえてバイケンは全抜き。もちろん環境によっては再検討もありだと思います。

今度はチューンの必要性に関して。もちろんチューンはかなり強いと思います。3枚掘ってパーツ落として手札も減らない。①のルートを達成する上でも極めて合理的な札です。しかし上でも述べましたが、①~③のいずれかを達成するために特に重要となるのは2コストのルーターです。そもそも2t目にルーターを打つことこそが、3t目以降の要求値をぐんと下げることにも寄与する。高速化した環境においてはあくまで自分の動きを強くすることが勝率を上げることになると考え、今回は2コストルーターを増やして計算を行うことにしました。

それでは具体的な計算に移ります。それぞれの要素を増加させるといっても、何枚増やせばいいのか。引ける確率を一定以上に揃えるためには、何枚が一番適切なのか。

確率に関して、何%以上なら大丈夫という明確な基準は無いと思います(「引ける確率が70%以上なら許容出来ると思いましたとか書かれても70%に根拠ない」とある有名プレイヤーが言われていました。確かにその通りだと思います)。

ちなみに、これと似た内容は他の分野でも議論されてたりします(http://www.jerrydallal.com/lhsp/p05.htm)。 95%以上間違いなければ意味があるとみなされてきた統計手法の伝統的な考え方に、待ったをかけたいというものです。95%確からしいということと、94%確からしいということに大した違いはないだろうという考え方に近いです(厳密にはニュアンスが違いますが)。


そこで今回は、確率の値に関して明確な基準を設けることはせずに、与えられた枠の範囲内で4t目に各パーツを揃えることが出来る確率が最大となる配分を採用することにしました。100%に近づけたいのであれば特定のパーツを際限無く増やせばいいけれど(それはそれで他のパーツを揃える確率は下がるが)、そもそも40枚という制限もあるからどだい無理な話だし、クロックやカマス等の枠を考慮する限りは、出来ることが有限だということに気づいたからです。

下に示すコードを用いることで最も効率的な配分を推測することが出来、従来の考え方(「引く確率を~%以上にするために~枚以上入れる」というもの)とは異なる考え方で構築を捉え直すことが出来ます。

今回作成したコードはこちらになります。

(後攻で固定、3ターン目にルーター挟む/挟まないの分岐も追加するともう少し確率の値は上がるはずです。)


このコードでは、トップが濁る等の事故や色が足りなくなる等の事故は簡略のために無視しています(これも込みでの簡略なコードがあれば是非教えてほしいです)。また「4t目トップからゴワルスキーを初めて引いた場合にキャスト出来ない」パターンも無視してます。ここまで限定的なコードを書くとあまりにも煩雑になるからです。今回は4t目までに各主要パーツが最低一枚以上揃う確率を最大化する配分を考えます。注意したいのは、あくまで「カードを揃えられる確率>それらのカードをキャスト出来る確率」である点です(マナの色不足や多色事故による)。


そこで、以下の各パターンに対して比較検討を行いました。ちなみに、予想としては可能なだけルーターを多くして他の3要素を等しく配分するのが最適なのではないかと思っていました。というのも、ルーターを増やせば増やすほど他の全ての要素へのアクセス可能性が高くなるというのは感覚的にも自明に思えたからです。今回は減らすことが出来ない枠としてクロックスパイナーの8枠とカマスの2枠(3~4枠が普通だと思います。今回は残り30枚とキリ良くしたかった)を設定しました。

k1=2コストのルーター(2枚掘れるもの)
k2=墓地進化(デスマーチ、ゴワルスキー)
k3=剥がす呪文(落城、センジュ)
k4=フィニッシャー(シュテロン、HDM)


(k1,k2,k3,k4)=
(14,5,5,6)
(13,5,6,6)
(12,6,6,6)
(11,6,6,7)
(10,6,7,7)
(9,7,7,7)
(8,7,7,8)

(k2,k3,k4)の枚数配分に関して、(5,5,6)としても(5,6,5)としても確率は同じですが、フィニッシャーを4ターン目に引いても意味がないことを考慮すると優先度としてはk4>k2=k3だと考えたのでとりあえずはこの配分で計算しました。


既に結果は上に示しましたが、各条件で100万回の試行を繰り返した結果、4t目までにルーター、フィニッシャー、墓地進化およびバウンス呪文をそれぞれ1枚以上揃えられる確率が最大になるのは
(9,7,7,7)
の配分でした。

そこで今回はこれを採択。ここまで構築を作り上げることが出来れば、あとはひたすら4tシュテロン着地しまくるだけです。ここでスザクとムカデが無理なことに気づいたためカマス枠にポクチンちん入れました。

これでどんな相手にも4t目全ハンデスor全ブレイク。
こんな理不尽はありません。僕の一軍です。











P.S.
めっっちゃ負けました。なんなん

これでも前時代のカードパワーのようです。



P.P.S
最新版も作ってみました
https://dmvault.ath.cx/deck2057620.html

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