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ビール・音楽・レトロゲームの融合「麦酒夜宴 第十六夜」に酔いしれてみた。

2016年11月19日(土)。

14時から始まる夜宴に参加するため、小雨に濡れる東京・秋葉原に足を伸ばした。

そこにあったのは、ビールを楽しみながら音楽に浸れる空間だった。

公式ブログにはこうある。

旨い音楽を聴くと、旨い麦酒を呑みたくなる。

そんな一時を、一緒に過ごしませんか?

ビールが主役のゆるふわ系ラウンジイベント。

「麦酒夜宴 -Bier Yaen-」

Beer+Music+AnalogGameなイベントを

アキバのド真ん中でやっちゃいます!

(「麦酒夜宴 -Bier Yaen->11/19(土) 麦酒夜宴第十六夜」より)

ビールと音楽の融和性をこの場で論じはしないが、実際にこの宴に参加することで、より深く体感することができた気がする。

今回で第16夜となる麦酒夜宴。

簡単に言えば、「ビール好きが行っている音楽同人イベント」と表してもいいかもしれない。

いわゆる興行ライブ的な印象はそこには無く、学園祭などを連想させる手作り感あふれる空間が広がっていた。

どこか手慣れない受付、自作CDを手売りするミュージシャン、オーディエンスと共に演奏に浸るスタッフ……。

こう書いてしまうと、とても頼りないイベントで、大きな意味で目に見える運営面はプロフェッショナルではないかもしれない。だが、演奏、ビール、食事、その空間に存在する多くのパーツには、安定感や説得力と言える妙なパワーがあった。

『M3』というイベントをご存知だろうか。

1998年から年2回実施されており、「参加者は毎回約1万人程度となっており、2014年に実施された第34回における参加サークル数は1200を超えた。」(「wikipedia>M3」より。)という音系・メディアミックス同人即売会だ。

後から知ったのだが、今回の麦酒夜宴にもM3に参加する演奏者が多く登壇していたそうだ。

ステージ上での進行も予定調和なものではなく、演者の中でも合言葉のようにMCで語られた「このイベントは無茶振りが基本」の言葉通りのアドリブ合戦がジャムセッションじみていたことも、会場の一体感に繋がっていた。

演奏されるジャンルも幅広く、いわゆるオタク文化的なアニメ音楽、ゲームミュージックがイベントの筆頭にはあるのだが、生演奏パートではJazzのスタンダードナンバーや、Jamiroquaiの『Virtual Insanity』など多岐に渡り、誰もが楽しめる場面あるレパートリーが展開されていた。

特に先陣を切って登場した「おきああがり赤ちゃん」の得も言われぬ世界観と、終盤の「滅茶PIPE」のバグパイプの迫力がこの日最大のヤマ場だったのは会場に居た誰しもが認めるところではないだろうか。


とはいえ筆者の目当てはビールであり、正直なところ音楽演奏に期待をしていなかった。

音楽が嫌いな訳ではないが、「素人の演奏なんて……」のような思いでいたことは否定できない。

しかし、知らず識らずのうちに音に入り込んでいる自分がおり、同時に酒が進んでいる。

想像以上に高かった演奏のクオリティもさることながら、これが音楽とビールの融和性なのかもしれない。

肝心のビールについても触れておこう。

この日は氷冷サーバーが2台設置されており、

★Kronenbourg1664(フランス)
★ノースアイランドビール(北海道):コリアンダーブラック
★舞浜地ビール工房ハーヴェスト・ムーン(千葉):ベルジャンスタウトウィート
★KIRIN Hard Apple Ciders(日本[ハードシードル])

などが提供されていた。

主催のwhoopee氏によると、このイベント発足のきっかけのひとつにノースアイランドビールとの出会いがあり、「このような美味しいビールを多くの人たちに知ってもらいたい」という思いがあったのだそうだ。

★Kona Beer(ハワイ)
 ~Big Wave Golden Ale
 ~Longboard Lager
 ~Fire Rock Pale Ale
 ~CASTAWAY IPA
★Walawang CraftAleStar barley wine(カンボジア)
★Budejovicky Budvar(チェコ)

瓶・缶のビールも充実。

筆者は今回のイベントで初めて、WalawangのCraft Ale Starというビールを知ったのだが、このような出会いもまたこのイベントのコンセプトなのだろう。嬉しくもあるのだが、まんまとしてやられた気分でもある。

会場となるAKIBAPOP:DOJO 秋葉原スタジオ-イベントホールは、漫画や同人誌の専門店「とらのあな」が管理するスペースで、雑居ビルの4階。
秋葉原駅徒歩5分ほど、いわゆる雑居ビルな風貌ではあるが、大通りに面しアクセスも申し分ない立地だ。

「アキバのど真ん中」というコピーは立地だけではない。

先にも述べたM3は、あのコミケ(コミックマーケット)に端を発するイベントであるし、選曲家の流す音楽もアニメ・ゲームにまつわるものも多く、それらをBGMに会場内で提供されていたカードゲームなどのアナログゲームに興じる姿も多く見かけられた。

ある意味仕方の無いことかもしれないが、もしこれを「オタク界隈で行われているイベント」という色眼鏡で敬遠するとすれば、あまりにも惜しい。

もちろん、アニメ・ゲーム、音楽、ビールに長けているほど、このイベントを楽しめるだろう。

だが、イベントタイトルにもなっている「麦酒」も伊達ではなく、頻繁にステージから音頭が取られる乾杯の歌「Ein Prosit」(アイン・プロージット)は、一気にオクトーバーフェストな空気感を醸し出す。

アニメ・ゲームミュージックで一息入れているところに不意を突かれ、あわててグラスに手を伸ばすのも、このイベントの魅力のひとつかもしれない。

また、演奏家のアドリブによる色とりどりの「Ein Prosit」にも注目したい。


ビール、音楽、アナログゲーム。
どこに主観を置くかで参加の意義は大きく変化するであろうこのイベントではあるが、フラットな気持ちで参加してこそ新たな喜びとの出会いが待っているのかもしれない。

[2016.11.23記]



【蛇足】手前味噌ですが会場の端っこでビールグッズ(Tシャツなど)売ってたりもしましたw

〔「びーるのみたい。Web Shop」でも買えますので、よろしくお願いします。〕

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