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【レビュー】SpitfireAudio ORIGINALS JANGLE BOX PIANO

MNGしました、Spitfire Audio OriginalsのJANGLE BOX PIANOです。なんとなく欲しいなぁと思ったので買いました。

Spitfireといえばオーケストラ音源で有名ですが、ピアノ音源も独特の雰囲気があって面白いです。必ずしも汎用性が高いシリーズではありませんが、「こういう音がピンポイントで欲しかった!」みたいな外角低めギリギリを狙ってくるマニアックさが好きです。Spitfire LABS(フリー音源)のSoft Pianoを使ってみると雰囲気は伝わると思います。

以下、僕が感じたポイントを羅列していきます。気になっている方はご一読を。


低音域がめちゃくちゃ主張する

200Hz以下のゴツゴツした低音域がめっちゃくちゃ主張してきます。ソロピアノでも少しカットしたいくらいにゴッゴッと押出し感があります。これはネガティブな側面と言えなくもないですが、ちゃんとマイク録音して部屋や床の鳴りが入っているリアリティと言えるでしょう。気持ちのいい低音ですが、もしポップスや歌物で使おうと思っているなら注意が必要です。YouTubeにアップしたピアノ曲もハイパスしています。


奇数倍音多めで派手

アップライトピアノにありがちな奇数倍音、つまりゴチャっとした響きの倍音が豊富です。これについてはマイクポジションによってコントロールできます。つまり、Closeのマイクだと倍音をたくさん拾っている音になるけど、Roomだとそのあたりが丸まった音になるということです。
ハープシコードみたいなプリセットもありますが、それはそれで派手な音です。僕はなんとなく民族楽器っぽさを感じました、尤もそれが目的でMNGしたのですが・・・・(笑)
他の楽器と混ぜた時に奇数倍音がどう働くかは、やってみなきゃ分かりませんが、基本的には暴れる音だと言えるでしょう。


ピッチが純正率的

実機のピアノをそのまま録音することがORIGINALSのコンセプトなので、ピアノのピッチも独特です。シンセ音源に慣れていると音痴に聴こえるかもしれません。それほどまでに上の音は低く、下の音が高いチューニングになっています。現在の平均律チューニングとは違った思想でチューニングされている、純正率的なのかもしれません。
実際の生ピアノを弾く人には、そんなに気にならないかもしれませんが、DAWでしかピアノ音源を扱ったことがない人は面食らうかもしれません。「なんだこの音源?音が変なんだけど!?」みたいな。
けどこれはSpitfire Audioの拘りだと思うので、僕はむしろ「なんてこった、すげぇ!」と感じました。


The Beatlesっぽさは半端ない

Spitfire Originalsの別の音源はストレートにThe Beatlesのペニーレインで使用された音を再現されていました。

JANGLE BOX PIANOは必ずしもThe Beatlesを目指した音源ではないかもしれませんが、やはりアビーロードスタジオ録音なのでThe Beatles感はすごくあります。というか、The Beatlesの曲の曖昧なピッチ感(435Hzで作られている曲が多い)は、ピアノのチューニングが今よりワイドバンドだったからなのかなぁと空想してしまいますね。


ピンポイントで熱く刺さる尖ったピアノ音源

ということで、全体的にマニアックな尖った音源だというのが印象です。特にピッチが、現在の常識的な平均律チューニングとはだいぶ違っています
ですが、それが本物っぽさの秘密でもあるでしょう。リアルタイムでピアノが弾ける人にとっては、音が暴れて面白い音源となるでしょう。倍音が派手派手なので、使い所は考えなきゃいけないとは思います。
ピンポイントで刺さる、あと弾いてて楽しい音源です。SPECTRASONICS Keyscepeみたいな汎用性は薄いかもしれませんが、煮詰まった時に立ち上げて奮起するには良いと思われます。


最後に、この音源に近い印象の音源はWESTWOOD INSTRUMENTSのピアノ音源やFRACTURE SOUNDS Woodchester Pianoが挙げられます。どれもメローで、マニアックなピアノ音源です。参考までに。




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